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第3話 婚約破棄イベント

転生初日...という言葉は無いけど本日は4月21日の深夜


「マジか...婚約破棄イベント...明日じゃんか」


そう明日の朝、学校に登校すると学校の下駄箱横の廊下で登校してきた大勢の生徒を前に、城二は許嫁の宮下 藍瑠に婚約破棄を告げられるのだ


『私、宮下 藍瑠は今を以って、北野 城二との婚約を破棄します!!』


ゲームプレイしてた時は藍瑠の横から、目の前で顔を真っ赤にして憤慨している城二を見て「ざまぁ」と笑っていたけどな


その後、藍瑠の婚約破棄は尊が言わせたと決めつけられ、城二から思いっきり頬を殴られ倒れ込んだ主人公が藍瑠に抱き起されるシーンで鬼の形相の城二から決闘を申し込まれるんだよな...


「学校を休むか?・・・いや駄目だ、学校を休むと例の大事なイベントフラグが回収出来ない、そうなると、どの道詰みだ」


「考えろ俺、この世界の事は一番良く知っているはずだ、何か打てる手を考えろ」


その日、机の上で明日のイベントに対し、どの様に死亡フラグを回避するか必死に思考を巡らせた


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・


翌朝......


「城二様、起きて...て!?城二様が起こさなくても起きてる??嘘っ」


俺の部屋に入って来たのは、お手伝いの立花 道代(たちばな みちよ)さんだ、道代さんは東京の大学に通っている現役の女子大生で北野家に仕える立花家の長女だ


道代さんは黒髪ショートのボーイッシュな雰囲気の女性で前髪を赤いヘアピン2つで止めてるのが特徴的だ、黒い大きな瞳と八重歯がチャーミングだ、スタイルはスレンダー系で胸もお尻もそこまで主張してない


...何を隠そう大学時代から付き合っていて、仕事が忙しくすれ違って別れた元カノがモデルになった俺の創作キャラだ...勿論サブヒロインである


「道代さんお早う御座います、もう直ぐ準備出来るんで先に朝食済ませておいて下さい」


シャツのボタンを止めながらタンスの鏡越しに道代さんと視線を合わせ、そう告げると


「へっ...道代...さん?イヤイヤ城二様どうされたんですか!?」


鏡越しでも判る慌てぶりに思わず振り返り首を傾げる


「どうとは?」


「え、いや何時もは道代と呼び捨てですし...そ、その...朝の生理現象の処理を...私に何時も命令...」


「えええ?!」


どうやら、北野 城二と言う奴は俺の知らない設定外の所で、無茶苦茶してた心底クズの様だ...家の権力ちからを利用し道代さんに対し酷い事を日常的にしていた...自分じゃ無かったら殺してやりたい


「あ、あぁぁコホン...そんな事は今後はしなくて良いんで...ほら道代さんも大学に遅れてしまいますよ」


道代の表情は呆気にとられている様だったが、眼を見開いたまま静かに俺の部屋のドアを閉めリビングへ向かっていた


途中「イテッ!」と小さく聞こえたのだが、敢えて触れないでおこう


顔を洗い髪の毛をセットして、リビングに向かうとテーブルには俺の朝食が用意されていた、パンとスープとハムエッグ、トマト主体のサラダだ


道代さんは既に食べ終わっていてキッチンで洗い物をしていた


「いただきます」


手を合わせ箸を手にすると、キッチンからガチャと音がしたので、見てみると道代さんが俺の方を見つめ固まっていた


「大丈夫ですか?」


「...いただきます...いただきます...いただきます...」


なにやらボソボソと呟いて居たので、そっとしておく事にする


軽い朝食を食べ終わり


「ご馳走様でした」


再び手を合わせ、自分が食べた食器を重ねキッチンに持って行くと


「ええええ!!イヤイヤ、私が片づけますから!!城二様はゆっくりしてください」


慌てて俺から食器を受け取ると慌ただしく洗いだした


「そ、それでは俺も登校準備しますね?」


俺からの言葉一言一言にビクビクしながら頷く道代さん...


(城二の奴、何時もどんな酷い事してきてんだよ・・・)


敢えて触れない様に自分の部屋に戻り上着を羽織りカバンを持ち玄関で靴を履くと


「い、いってらっしゃい...じょ、城二様...」


「行ってきます道代さん」


マンションの玄関を出ると、部屋の中からバタッと何か倒れる音が聞こえたが、気にせず学校へと向かった


歩きながらも頭の中では本日の婚約破棄イベントへの対応方法をおさらいしている


学校が近づくチラホラと東光高校の生徒が姿を見せる...「おはようございます」「!?」目が合った生徒に挨拶したが走って逃げて行った


その後もあからさまに俺を避ける様に歩く生徒達...ここまで嫌われてるとかもはや才能だな...


校門をくぐり下駄箱で履き替え、気持ちを整える...


「良し!!」


真っ直ぐ自分の教室目指して廊下を歩いて居ると...




「城二君・・・話があるの」


(来たか・・・・いよいよだな)


声を掛けて来たのは、当然ながら宮下 藍瑠だった、そしてその表情はどこか緊張しつつも決意の籠った目をしていた


藍瑠は宮下家の次女だ、元々は北海道の名家である北野家と東京の名家である宮下家は先祖代々不仲だったのだが、宮下家は代を追う毎にその名声が衰退しており、

力の有る他家との繋がりが必要だった所に東京に進出したい北野家と、利害が一致し両家間で婚約が成立していたのだ


婚約者となり城二と接してる内に、藍瑠は城二のクズ下衆ぶりに、心の底から嫌悪する様になる、そして名目上の城二の弟である尊に色々と相談してく内に尊への愛情が芽生える


目の前に立つのは、そんなメインヒロインである宮下 藍瑠だ



「なにか用?」


あっさり返した俺の反応に少し驚く藍瑠だが、フゥーと深呼吸し俺の方を指さし登校中で集まった野次馬にも聞こえる大きな声で俺に告げる




「私、宮下 藍瑠は今を以って、北野 城二との婚約を破棄します!!」




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