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第6話 屋上のアリエル

昼休みに向った先は学校の屋上だった


(あそこか...)


屋上にある貯水タンクの裏にお目当ての人物が...いた!!


「こんな所で一人で食事かい?雨宮さん」


屋上の貯水タンクの隅のブロックに腰かけ小さなお弁当を広げ、口に箸を咥えたまま俺の方を向きじっと見つめる女の子


🔶


雨宮 真白(あまみや ましろ)

雨宮は水色の膝まで伸びた長い髪と、キラキラと瞬く星を散りばめた様な…


蒼い瞳「流星眼」を持つ美少女だ


身長は少し低いが細身の体に似合わない大きな胸と細く締まったくウエストは神秘的な真白の魅力をより一層際立たせており

魔都東京1999においてファン投票第2位の人気を誇るサブヒロインである


そして実は、俺の一推しヒロインでもあった

今こうして直接 身近に真白の息使いを感じれてる事に感動すらしてる


真白は神視の名門、雨宮家の長女 雨宮は独自の血脈を通じて神と言葉を交わす事無く念話で交信できる


その雨宮家の歴代通して見ても神と交信する才が特に抜き出ており、

その実力は雨宮史上最高の逸材と言われる


そんな神秘的な美しさと実力を併せ持つ真白に周囲の人間は大きな期待を寄せており、 将来は現世の神になるのでは無いかとまで噂してる程だ


しかしその実は、お喋りの好きな人懐こい性格なのだ、類稀な才能と将来は神になるとの噂が立ってしまい周りの生徒や親戚からも、近づく事すら恐れ多いと距離を置かれてしまっている


そんな状態なので学校内にも友達がおらず、お昼になるといつも一人で屋上で食事をしている


一部の生徒の間では、声を失った童話の姫を揶揄し「屋上のアリエル」と呼ばれているらしい、まぁ俺も昔のヒューマンドラマの題名を揶揄し「北の(野)クズから」と呼ばれてる...



🔶


「邪魔じゃ無かったら、俺もここで昼を食べさせてもらえないだろうか?」


そう言うと俺はポケットの中からメロンパンを取り出し雨宮に見せた、雨宮は黙って横にズレて俺の座るスペースを開けてくれた


(これは、OKと言う事でいいんだよな?)


俺は雨宮の横に座ると、メロンパンの袋を破り噛り付く、真白はそんな俺の顔をジッと見つめてる


「ん?どうかした?あ、メロンパンが欲しい?」


そう言ってメロンパンの口がついて無い所を千切って真白に渡そうとすると、フルフルと首を振ってメロンパンは要らないとアピールする


「そっか、このメロンパン結構おいしくてボリュームも有るから俺のお気に入りなんだ」


美味しそうに食べる俺の姿をジッと興味深そうに見つめる真白を意識しない様にメロンパンを食べ進める


俺が食べ終わっても俺から目を離さない真白...おれは真白の方を向き話を切り出す


「なぁ雨宮って不滅の刀(ふめつのかたな)のパロディ漫画しってるか?」


これは我ながら卑怯な駆け引きだ・・・真白は大のコメディ漫画好きで特に好きなのが不滅の刀のパロディ漫画だ


真白は俺の方にグッと近づき流星が輝く大きな瞳をキラキラ輝かせながら何度もコクコクと頷く


「おお、知ってるのか!!俺この間、最新の4コマ見たんだけど、ネズミ子の使う決起術「爆蹴る!」のシーンをパロッて「バッケツッ!」て叫んで敵にバケツ落としてたのマジ笑ったわ~ぁ」


今俺が話してるのは、来週発売の少年シャンプーの見開きに載っている4コマの内容だ、真白の来週の楽しみを奪う様で罪悪感も多少あるがこっちは命に係わる事なので、なり振り構っていられない


「プッ...フフフ...爆蹴る...バケツ...プッ...フフフ」


初めて真白の声を聴いた・・・心の底から震える程感動してるが今顔に出す訳にいかないのでグッと堪える


「アハハハ、雨宮って可愛い声してんじゃん」


「!?」


俺に言われ急に俯いて黙り込む真白...


「雨宮も俺の事で、噂位聞いてるだろ?北のクズからってあだ名...実際、俺今までの自分を振り返ると救いようが無いなって...思ったんだ...」


「そこに極めつけで、今朝に許嫁から婚約破棄を突きつけられ見事に天涯孤独ですよ...トホホってな」


「でもさ、今までがダメでどうしようも無い奴でも気持ち入れ替えてやり直す権利は有ると思うんだ」


「俺、今まで何もして来なかったし、迷惑ばかりかけて皆から嫌われてる自覚はあるけど、これからは真面目に努力してみようと思ってる」


「だからさ、雨宮さえ良ければまたこうして俺の話しを聞いてくれないか?」


俯いていた真白が少しだけ握ってる手を緩めた


「私、私で...いいの?」


俯き震えながら答える真白


「ああ、雨宮なら気兼ねなく話せそうだ」


俺の言葉に俯ていた顔を俺の方へ向け期待の籠った流星の瞳を向けてくる


「わ、私の話しも...聞いてもらえるの?」


「アハハハ当たり前だろ?じゃなきゃ俺の独り言だ、痛過ぎだろそれ」


「フフフ...確かにそうだよね...あ、あの...その...北野君じゃ...弟君と同じだから城二君て呼んでいいかな?」


俺は真白にニコリと笑い


「ああモチモチ!俺も真白って呼ぶよ、これで俺達は友達だ!!」


俺は真白に向って右手を差し出す


「と、友達...これが友達...初めての友達...フフフ」


真白は恐る恐る俺にむかって手を差し出してきたのを強引に握手しにいった


「!?」


「んじゃ俺達の友情の握手だ!!」


「う、うん...よろしくね...城二君」



こうして俺はこの世界に来て初めての友達が出来た















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