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第13話 最推しとデート(ただの買い物とも言う)の約束

電話にて城二の決意を聞いた城二父親だが、城二の言葉など毛ほども重く捉えて無かった


それは城二の今までの行いと行動の結果による物であり、非が有るとすれば北野 城二 本人なのだろう


正に北野 城二という人物…いやキャラクターは排除されるべくして排除されたクズ中のクズだった


その為、運命の歯車は城二を物語から排除するべく再び動き始め新たなカード、尊と藍瑠の婚約という手札を切ってくる...



城二は真白に修練の刑の併せについてメッセージのやり取りをしていた


「ん?真白から着信?」


メッセージアプリの通話機能を利用して真白から音声通話が通知され、譲二は通話ボタンをタップする


『ん、城二併せの修練は雨宮の保有する龍脈ポイントの修練所を用意してもらった』


「おおおおぉ本当か!?凄いじゃないか真白」


雨宮家は1999年の地殻変動以前から日本の国の陰陽を司る由緒正しき家柄だ、雨宮の雨とは陰陽道で言う所の4門の内南を司る黒き亀、玄武に由来すると言う


故に修練ブームが起こる以前より地脈の集中するポイントの土地を多く保有している、その中でも4方である東西南北の地脈が交錯する激レア地脈ポイントを「龍脈」と呼んで特別に秘匿管理していた


「じゃ早速明日...」


『まって、場所は結構山奥に有るの城二は山登り用の服や靴やリュックなんか持ってるの?』


(う~ん、正直城二の荷物や服を全部把握してる訳ではないからな...探せば有るかもだけど...)


「有るかも知れないけど、折角だし新調しようかな?」


『ん、了解だったら明日一緒に買いにいく』


「え?真白も買うのか?」


『ん、モチモチ ブイブイ』


これは最近第3期をアニメ化した不滅の刀のお笑い担当の黄色い頭の剣士の子がポジティブシンキングの際に使うお約束のワードだ


真白はこの深夜帯のアニメにどっぷりハマっている様だ...


(ブイブイ言っても見えないが、おそらく電話の向うでピースしてるのだろうな...本当にミーハーだな)


「コホンッ、それじゃ明日10時に、駅前のミオンモール前で待ち合わせしよう」


『ん、了解』


「それじゃ明日は宜しくな」


『ん、おやすみ』


通話を終了すると、真白から不滅の刀のネズミ子のスタンプで「任せて!」とブイサインしたメッセージが送られてくる


「フフ、真白の奴本当に、このキャラ好きなんだな」


俺もネズミ子の兄の炭太郎の刀を構えた「やってやる!」と言うスタンプを送る


(でも...これって最推しのヒロインとのデートだよな?いや、これはメッチャ嬉しいんだど!)


その夜は明日着ていく服を選ぶのに時間が掛かり、いつもなら寝る時間を大幅に超えてしまった事は言うまでもない


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


翌日...


俺は昨日厳選した服を着て駅前の大型商業施設ミオンモールの入り口の前でスマホの時計を確認する


今日の俺の服装は白いスラックスにグレーのシャツ、水色のジャケット...これが唯一タンスの中に有った俺の趣味に合う服だった


(だってアイツの持ってる服...赤のジャケットとか紺色のシャツやヒョウ柄のズボンとか...マジでル〇ンⅢ世かよ...趣味悪ずぎ)


昨日緊張してあまり寝れなかったのに、アラームより1時間も早く目が覚め2本も早い電車で到着してしまい、今は待ち合わせ15分前だ


「よっ!早いね城二」


背後から呼ばれ振り返ると、真白が笑顔で腰を屈めながら目元に左手でピースを作りながら立っていた


「真白も早いな」


真白は膝まである白いワンピースに紺色のニット生地のカーディガンを羽織り黒いちいさな鞄を肩から掛けて、雰囲気にピッタリの可愛らしいファッションに纏めていた


「真白のファッション可愛いね」


「フフフ、良いでしょ~ブイブイ」


顔の横に両手でブイサインを作り笑顔で笑う...まぁなんて可愛いんでしょ―――


「城二も落ち着いた感じでカッコいいよ?」


「おい、何で俺だけクエスチョンマークなんだ」


「フフフ、まぁ良いじゃない、ほら時間がもったいないから早速いこ!」


真白は俺の手を取ると、はしゃぎながら俺を引っ張り店の中に入って行った


(今日は最推しとのデートを楽しむぞ)


心の中でガッツポーズをして、真白の横に追いつき、二人で並んで手を繋ぎ店の中に入った






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