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第15話 恋愛イベントのデート中のお約束の展開

ゴールデンウイーク初日の休日、駅前のショッピングモールに真白と一緒にショッピングデートに来ていていた


買い物途中でお腹も空いてきたのでフードコートに立ち寄り昼食を楽しんでいると、ここでも恋愛ゲームでお約束の展開が訪れる


「うぉぉぉ可愛い子ちゃん発見!!」


「わお!メチャ俺の好みじゃん」


俺たちの横を通り過ぎようとしていた、如何にも三流のモブチャラ男達が必死でポテトを口に運ぶ真白の大きすぎる胸を凝視しながら立ち止まる


「ねぇ彼女めちゃ可愛いね、高校生?俺達この近くの大学に通う学生なんだけど、今からさぁ俺たちと一緒にカラオケでも行かない?」


「絶対めっちゃ楽しいから一緒に行こうぜ」


モブチャラ男君達は俺に背中を向けた姿勢でテーブルに手をついて真白の顔を覗き込んでる、真白はそんなモブを眼中に入れず完全に無視して黙々とポテトをハムスターの様に口に運ぶ


(北野 城二も、そっち側の人間だったんだよな...そう思うと少し悪い気もするが...)


「なぁお前らいい加減ウザイから、俺がキレない内に何処かに失せろよ三流大学生共」


背中から聞こえる俺の悪意の籠った煽り言葉に、不満顔で振り返り睨みつけるモブチャラ男達


「あぁ~ん、なんだテメェ赤髪のヒョロガキがぁテメェには用ないんだよ、テメェこそ何処かに失せろ」


「彼女の前だからって調子に乗って舐めてると、後で恥かくぞ!」


俺の胸ぐらを掴んで顔を近づけ凄むチャラ男に胸のポケットから学生証を取り出し目の前に突きつける


「はぁ何だぁ学生証?東光高校...北野...!?てめぇっ!?お前があの北野 城二!?」


「や、ヤバイって...北野ってあの...俺、関係ねぇし、絡んだのはコイツだから!俺は関係ねぇ――――」


「あ、てっ、てめぇ待て、待てって!!」


俺の胸ぐら掴んでるモブ君を残しもう一人のモブチャラ男は慌ててフードコートから逃げて行った


「で?お前は何時まで俺の襟をつかんでんだぁ?あぁ~ん?」


「い、いや俺知らなくて...こ、これは...その、いや...見逃してくれ!」


慌てて俺の襟から手を放し、目を泳がせながらさっきまでの勢いが嘘の様に動揺している、今度は俺がモブチャラ男の胸ぐらを掴み目の前に引き寄せると


「俺の女に手を出して、この町で安心して生きて行けると思ってんのか?」


「ひぃぃぃ、勘弁してくれ、も、もう二度とお前の女に手を出さない!ゆ、許してくれ」


「...」


俺はモブチャラ男の襟から手を離すとモブの胸を押しのけ手で追い払った


「今日の俺は機嫌が良いからな、俺の気の変わらない内に早く失せろ」


モブ男君は周りの客にクスクス笑われながらも、慌ててフードコートの脇から逃げ出していた


「私は城二の女になったん?」


メロンソーダ―のストローを口に含みながら、意地悪な笑みを見せる真白


「まぁそう言うな、俺の悪名も役に立つ事もあるだろ?」


「ん?別にあんなの最初から相手にならないよ?」


「流石、俺の親友は頼りになるな」


「ん、当然」


真白は俺に向ってブイサインを見せ笑う、周りの客も騒動からヒソヒソと俺たちの事を話していたが、その内鎮まってまって元の喧騒が戻って来た


お腹一杯になり満足した真白と一緒にフードコートを後にして、3Fにある鞄やリュックの専門店に足を運ぶ


「リュックは自分で背負うから俺に選ばせてもらえるか?」


「ん、了解、選んだら教えて」


俺は何点か気になったリュックを背負ってみて感触を確かめる...意外と商品によって付けた時の感触が違うのに驚いた


「やっぱこれが一番感触が良かったな...これにしようかな、真白これに...ってあれ?居ない?」


店の中を探してみたが真白の姿が見当たらない


(またナンパにで遭っているのか?...仕方ない電話してみるか...)


心配になり店の中で真白に電話をすると、店の外から着信音が聞こえ


「ん、城二決まった?」


「真白何処に行ってたんだ?心配するだろ」


「ん、ちょっと他に見てた、それにするの?」


俺の選んだリュックを指差して聞いてきた真白の手には小さめの紙袋が握られていた


「ああこれが一番しっくりきたからこれにするよ、真白も同じのにするのか?」


「...ん、同じの持ってるから止めとく」


真白は少し考える様なそぶりをしていたが、同じのタイプのを持ってる様だ、確かにこれは実際に背負った感触が楽で店の中でも人気が有るみたいだし真白が持っていても不思議じゃない


「解ったそれじゃ会計してくるな」


選んだリュックを購入し、今日の目的は終了したので、真白とショッピングモールを後にした


二人で目の前にある最寄りの駅まで歩いて改札で別れる


「それじゃ真白、俺逆方向だからここでお別れな、明日から修練の相手宜しくな」


「ん、城二これ」


真白は紙袋中をゴソゴソしながら帽子を取り出し俺に渡した


「これは?」


「ん、プレゼント、ほら私と御揃い」


真白も同じ帽子をかぶり二コリと笑う


「え?そんなプレゼントなんて悪いよ」


「いい、これも仲良しの証、気にせず貰って」


「あ、ああ有難う、また今度お返しするよ」


俺は少し照れながら帽子をかぶり真白に見せる


「ん、いい感じ」


真白が拳を付き出したので、俺も拳をつくり突き合わせる


「それじゃ明日、学校への最寄り駅前10時集合で」


「分かった、真白気を付けて帰れよ」


「ん、お休み城二」


真白は手を振りながら、改札を通り駅のホームへと消えて行った、俺は帽子を手にとり真白との今日一日の事を思い出す


(ゲームの流れとは明らかに違う進行だ...真白と城二の接点なんか魔都東京1999ではあり得ない状況だ...このまま平穏に過ごせるならそれに越した事は無いんだが...)



城二のささやかな願いは誰に向けての祈りなのか・・・・そして物語は動き出す
















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