修練合宿2日目、俺達は玄武の雨濡らし岩場修練場 赤域に来ている
縦横15メートルほどの石作りの武舞台がポツンと有るだけだ、武舞台の4方の角には4聖獣の石像が建って中央の武舞台を向いている
俺と真白は梅子さんが用意してくれた純白の武闘衣を着て武舞台の上に上がる
「城二、今日の併せ刑の修練、厳しく行くから覚悟して」
武舞台の上で俺の方を振り返り此方を見つめる真白の流星眼がいつになく輝いて見える
「宜しくお願いします」
真剣な真白に俺も真剣に礼を尽くす...今日は俺が格上の真白に併せをお願いする側だ
「では、早速...
真白のマントラ(真言)に併せ真白と向かい合い腰を落とし右手を突きだしお互いの左肩に軽く触れる位の距離で併せ型を作る
「
今度はお互い両手を広げ背中を向け肩甲骨が軽く触れる距離に併せ密着させ型を作る
「
今度は再びお互い向き合い腰を落とし右足を前に出し両手で拳を作り右腕を頭の上、左腕を腹の位置に突きだし二人の両拳を併せ型を作る...丁度二人の腕がくっ付き〇の形になる様に
「
向き合ったまま両足を肩場まで開き腰を落として二人の両手を併せ型を作る
「
今度はお互い一歩前に出て右肘を胸の高さ迄上げ左足をやや後ろに引き二人の肘を併せ型を作る
「
そのまま体を傾け今度はお互いの右肩同士を押し合う感じで併せて型を作る
「
お互いに右足を肩の高さまで上げて伸ばしハイキックの位置で二人の右足の脛を併せ型を作る...二人の足がクロスしX(えっくす)の形になる
「
身体を反転させ左回し蹴りの要領で今度はお互いの左足の
「
お互い向かい合い今度は左手を突きだしお互いの右肩に軽く触れる様に併せ型を作る
これが、刑の併せで使われる一般的な併せ型だ、マントラ(真言)と連動した型を繰り返し行う事で心域の容量を増やす事が出来より大きなスキルをセット域を得る事が可能になる
また肉体修練にも効果があり、相乗的にレベルが上がる事に繋がる
「じゃ城二気合入れて」
「はい!」
「臨」
「!?うぐっ...」
真白の右手が俺の左肩にめり込む...痛みでその場に膝から崩れる
「直ぐ立ち上がる」
「っ...はい」
真白の声に答え何とか足を踏ん張り立ち上がる
「兵」
「がはっっ!!」
背中から真白に押され一瞬で肺が押しつぶされる様な感覚に息が出来なくなり前のめりに倒れる
「ほら次」
「は、はい!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「前」
「ぐぁぁぁ!」
右肩に真白の左手がめり込み、俺は右肩を押え両膝を武舞台に付く...あれから約2時間近く併せを続けておりその度に真白の重い一撃が体の中をつらぬく
「...少し休憩」
「...いや、まだまだやれる!お願いします!!」
「城二、私からアドバイス、城二は半呼吸遅れてる事が多い気持ち早く力を開放するといい」
「分かった、やってみる」
「では、臨」
「!?」
今度は真白と動きが全く同調し真白から受けた左肩の衝撃が俺の身体を駆け巡り右手を通じ再び真白の左肩に流れ込む感触を感じる
「ん、今のは良い感じ気が流れる感覚判ってきた?」
「ああ、これが併せ刑...初めての感覚だ、身体の中に真白が入り込んだ様な不思議な感覚」
「その感覚を体に沁み込まして」
「兵」
今度も全く同じタイミングで真白と背中を併せる事が出来、お互いの身体の中で力がやまびこの様に反射しあってる様な感覚
「次行くよ闘」
お互いの拳のを併せ作り出された輪の中心の空気が僅かに振動し震える
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「前」
真白の左手からの力が右肩を通じ左手に流れ真白の右肩に流れ込む...そして再び俺の右肩に
「城二、だいぶ感覚を掴んできた」
「真白のアドバイスのお陰さ、まだ100%じゃないけどかなりの確率で併せてると思う」
そう言うと真白はおもむろに俺の額に自分の手を充て俺の顔を除き込む
「!?真白?」
「ん、この僅かで城二の神視がかなり上がった」
「ほ、本当か!?」
「ん、もしかしたら私と相性が良いかも」
「!?そ、それは...どういう...」
真白の表情からは感情は読み取れない、相変わらず真剣な表情だ別に特別な意味は無いのだろう、今のもそのままの意味で併せした時のやり易さの話しだと思う
「そ、それで真白、今の俺は学年内でランク付けるとどの位だ?中の上くらいか?」
「ん、んー下の上?」
「!?未だ下かぁぁ」
「ん、それでも凄い上達」
真白はそう言ってくれてるが、平均以下という事は秘境テスト前の神視試験に合格できる最低ライン...神視レベル20には届いて無いという事だろう
(ここは...少し卑怯だがそんな事を構っていられないな...)
「なぁ真白、併せ刑のマントラ(真言)に裏マントラ(裏真言)が有るんだけど、試してみないか?」