玄武の雨濡らしの岩場の修練場 赤域にて真白との併せ刑に励む俺、真白からのアドバイスで感触を掴めてきた俺は確かな成長を感じていた
「ん、んー下の上?」
「!?未だ下かぁぁ」
だが真白に見て貰った俺の神視レベルは学園内で下の上...平均にも届いて無い、このままでは5/13の神視試験までに神視レベルを20迄上げる事が出来ない...
(ここは...少し卑怯だがそんな事を構っていられないな...)
「なぁ真白、併せ刑のマントラ(真言)に裏マントラ(裏真言)が有るんだけど、試してみないか?」
俺はゲームで裏攻略として使われた、裏マントラを使った併せ刑...通称、裏カルマ(業)方法
これの利点は通常の刑で上がるはずの無い格上の相手も修練効果を得る事が出来る点...そして相手が神を降ろした状態であればその神の強さも相乗効果に含まれるという事
ただしデメリットとして受けてる側...つまりこの場合俺の事だが神との血脈(チャクラ)が塞がれるので、暫くの間は神降ろし出来なくなるという事だ
(デメリットも城二には契約した神も居ないので関係ない...もはや期日までに神視レベルを規定値まで高めるにはこれしかない)
「ん?聞いた事無いけど城二がその裏マントラしたいの?」
「ああ、出来れば頼みたい...今のままじゃ神視試験に受からない」
「そっか...解った、で?何をどうすれば良いの?」
「先ず、九字真言を...」
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それから真白に裏マントラの流れとやり方について説明した
「解った、でも神憑依(かみひょうい)した状態で良いの?私、神衣(かむい)出来るけど?」
「い、いや神憑依で...(神衣状態なんかでやられたら、フラグ無くても俺が死んじゃうぞ?)」
「ん、了解」
「来たれ、綿津見神(ワダツミ)」
真白は右手を上空に掲げ、契約した神の名を呼ぶ
周囲の空気が真白の足元に集まり上空に舞い上がる、真白の水色の長い髪の毛が風に舞い上がり激しく揺れる
「お待たせ...神憑依出来た」
真白の流星眼が青色に輝く...恐らく真白の背後には上位神である海の神、ワダツミが顕現しているのだろう...だが俺の神視レベルが低すぎて視認出来ない
「それじゃ頼む真白」
「ん、了解いくよ...臨!」
「!?」
何度も繰り返し併せ刑を行った事で真白との呼吸は取れてる、しかし先ほどとは真白から流れて来る力の量も早さも桁違いだ
「さっきのが小川の潺(せせらぎ)なら今のは大津波の様だ」
「兵」「闘」「者」「皆)」「陣」「列」「前」
「
最後の業は、右拳を真白に突きだし真白は左手を開き受け止める、俺は真白の右拳を左手を開き受け止める様にして併せ形にする
真白とワダツミの大きな力が俺の身体中を駆け巡り、真白の中へ戻って行く...
「!?城二これ私も効果あるみたいだけど?」
「ああ、そうだ俺もさっきの正マントラの時の何十倍も効果が出てる」
「真白が神憑依出来る時間一杯まで続けるぞ」
「ん、任せろ」
「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、前、業」
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「ふぅぅ城二もうそろそろ神憑依も限界」
「分かった助かったよ真白」
真白が目を閉じ深く深呼吸し細く息を吐きだすと、上空から一瞬だけ風が舞い降り真白を包んだ
「久々にワダツミを降ろした」
「ハハハハ、あ、あでも疲れてる所悪いけどもう一度俺の神視のレベルを見てくれ」
「ん、わかった...おお、今の城二の神視は中の上だ!」
「おおおやった!!」
俺は真白の手を取り上下に揺らしながらお礼を言う
「真白のお陰だぁ!!有難う」
「城二が頑張っただけ、それに私も少し強くなった」
それから真白と併せ刑の事で少しアドバイスを貰いながら型の身体運び等をレクチャー受け
日が暮れるまで、正のマントラで併せ刑を繰り返し続けた
「城二、今日はこの辺にしよう」
「有難う、今日はかなり神視のレベル上げと肉体鍛錬が出来た気がする」
「ん、城二すごいブイブイ」
先ほど迄の真剣な表情では無く何時ものお道化た真白に戻り俺にピースを突きだし微笑んでる
「なぁ最後に白域に寄って良いか?あの初心者コースを試してみたいんだ」
「ん、あまり時間ない梅姉夕飯作って待ってる」
「分かってる、時間はかけない直ぐ終わらす」
俺の願いを聞き入れてもらい、真白と白域の崖の前にやってきた、辺りはすっかり暗く手元もろくに見えない
「城二、暗くて危ない明日にするべき」
「大丈夫だ全部頭の中に入ってる、見てろ」
俺は手に滑り止めを付け初心者用のルートの最初の岩に手を掛ける
「それじゃスタート!」
「よっしゃぁ!」
俺はサクサク手と足を動かしドンドン崖を上る...そしてアッと言う間に頂上へ
「真白着いた!」
「ん、2分20秒...私のタイムに少し近づいた」
真白から今の自己ベストタイムを聞き満足してロープを伝って下に降りる
「直ぐに終わったろ?ちなみに真白のベストタイムは何分だ?」
「ん?46秒」
「...マジか...」
まだまだ真白との大きな差にガッカリする俺の肩をポンポンと叩き、真白は微笑む
「大丈夫、城二が努力する限りきっと道は開ける」
周囲が暗くて真白の表情は良く見えないが、きっと笑ってくれてるはずだ
「ああ、親友が言うなら間違いない!」
俺は2日目にして目標でもあった神視レベル20に到達する事が出来た...明日からはさらに上積みするべく努力あるのみだ