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第23話 予期せぬイベント、白虎との遭遇

俺が白域での初級コースのクライミングをリベンジしたくて寄り道した為、本館に戻るのが遅くなってしまった


「遅くなり申し訳ありません」


本館につくなり真白の事を心配していたであろう、貝塚さんに謝罪し自分の我儘で遅くなった事を説明した


「そうですか...ではご飯を温め直すので先にお風呂を済ませて下さい」


「は、はい...」


相変わらず、俺への対応は一線を引いてる


しかし疲れも有ったので、言葉に甘え先に風呂に行く事にした...


今回は脱ぐより先に脱所内を隈なく調べ、真白が先に入って居ないかしっかり確認が取れた所で風呂に入る


「あ”あ”ぁぁぁぁ」疲れた体と痛めた箇所に染み渡る温泉に思わず声が出てしまう...


湯船の中で警戒はしていたが、真白の突撃は無かった...少し残念ではあるが、今日はしっかり体の芯まで温まる事が出来た


「お先にお風呂いただきました」


「はい、もう少しで準備できるのですが真白お嬢様を呼んで来て頂けますか?」


確かに貝塚さんは忙しそうに給仕してる


「あ、解りました、僕呼んできます」



・・・・・・・・・・・・・・・



俺は真白の部屋の前に立ってドアをノックする


コンコン♪「真白?ご飯だぞ?」


コンコン♪「寝てるのか?」


ガチャ


「開いてる...真白?入るぞ?」


ドアをそっと開けながら薄暗い部屋の中に入ると、真白は椅子に座って窓の外の月を眺めていた


「て、何だよ起きてんじゃん...寝てたらどうしようか...え?」


回り込んで真白の正面に立つと


「ヤバい!っっ!、真白の奴トランス(精神同調)してやがる!」


真白の流星眼は大きく見開かれており、窓の外の月をジッと見つめたまま固まっていた、そして何より流星眼の色が...


「白銀の流星眼...これって白虎が顕現した時の!?不味い不味い不味い今の俺じゃ瞬殺だ!」



🔶



白虎イベントは、魔都東京1999終盤に3度目に訪れた玄武の雨濡らし岩場での修練中に真白が急に姿を消してしまう事件が起こる


主人公の尊をはじめ藍瑠や他のパーティーメンバー達で修練場を探していると白域の崖の上で、白銀色の瞳を怪しく輝かせた状態で硬直している真白を発見


仲間たちの呼びかけにも一切反応が無い真白に近づこうとすると、真白の周囲に大きな風柱(かぜはしら)が何本も地面から飛び出し、中央の真白を覆い隠すと風柱の上に4聖獣の内の一体「白虎」が現れ周囲を威嚇する


その場の全員を威嚇しながら「真白は玄武の器だが、自分こそが器に収まるに相応しい」と言い真白の身体を奪いに来たのだった


そのまま白虎との戦闘になり、勝利後は白虎に憑依された真白との戦闘になる


憑依された真白に勝利後、真白は意識を取り戻し特殊なスキル白虎召喚を覚える事になる


...ただし、これは隠しイベントであり真白の神視レベルが50無いと発生しないイベントだ


普通にゲームを進行してると、真白の神視レベルは上がらないので、裏マントラの併せ刑を繰り返し実行するか、神視レベル上昇補正アイテムを使用するかしないとこのイベント自体が発生しないのだ



🔶


「...今日、裏マントラの併せ刑で真白の神視レベルが50に到達したのか...つまりは俺のせい」 


責任を感じながらも真白のトランス状態を解除する方法を一生懸命考える、ゲーム内の知識や設定を記憶の引き出しから探り思い出す...


「もしかしたら...」


俺は真白の両肩に手をおいて真白と見つめ合う姿勢を取り、顔を近づけ...




額をくっつけ...神視の同期を行う




🔶


神視の同期とは、神視レベルの低い仲間に神視のレベルの高い仲間が自分の見えてる状態を伝える為の方法、その効果は一時的で5分~10分程度で切れる


物語終盤に須佐之男命すさのおのみこととのイベントバトルで敗北して秘境から脱出する際、ヒロインである藍瑠の神視レベルが低い為追って来る須佐之男命が見えないと攻撃を避けれないので、急遽、尊が思いついた方法だ


この方法は以降のストーリー内で一回も使われる事は無かった、公式のスキル名も存在しない


制作が側の意図としては、岩陰で主人公とヒロインの極限状態のイチャイチャを盛り上げる演出に後付けで設定された付け焼刃のスキルだ


🔶



だけど今はこの方法に掛けるしかない...これが主人公固有のスキルでない事を祈るだけだ


ギュッと目を固く瞑り、自分の額に意識を集中する...真白は相変わらず一点を見つめたままだ


(テキストで書いてあっただけの方法だ...くそっ何も起こらない!!方法が間違っているのか?)


焦れば焦る程に集中出来ない...フゥ――――深く息を吐きだし再び意識を額に集中する...


「っ!?」


急に耳の奥の鼓膜が痛み出し、続いて瞑っていた目がヒリヒリと痛み出す


その瞬間背後にとんでもない程の気配を感じ振り返ると、窓から見えていた満月は、怪しく輝く2つの光に変わっていた...






これが...4聖獣、白虎









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