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第25話 いざ滝刑、黒域へ(修練最終日)

翌日は珍しく真白に起こされる


「城二、起きろ」


勝手に部屋に入って来て勝手に俺の持ち込んだ、メロン味のグミを食べ散らかし、勝手に漫画を読み漁りながら、面倒くさそうに片手で俺を揺する


「真白ぉ~、てめぇ~部屋に勝手に入ったのは許すとして、グミ食うか、漫画読むか、俺を起こすかどれかに決めろ」


「ん、漫画読む」


そう言うと椅子に座り直し漫画を読み漁る...違うよ真白さん、そこは俺を起こすと答えるのが正解ですよ


仕方なくベッドから出て着替えを用意する...


「なぁ真白今から着替えるんだけど」


「ん、どうぞ」


椅子に座って漫画に釘付けの真白はこんな適当な返事をする...


「いや、取り合えず着替えるから出て行って欲しいんだけど」


「ん、嫌」


「......」


「あ、あぁ~そうか、そうか、真白は俺の裸が見たいのかぁ~そっかそっか」


「ん、別に?前に露天風呂で見たから」


「あ、そ、そうですか...」


俺は部屋の隅っこで小さくなりながら着替える...


「お、終わったぞ真白」


「ん、この本貸しといて、ご飯いこ」


真白は何冊かの漫画本を手に抱え俺と一緒に本館へ向かった


「お、お早う御座います貝塚さん」


「お早うございます北野様」


相変わらずの冷たい目での挨拶も3日目ともなれば慣れたもんだ


席に着くと真白が部屋に漫画を置きに行って戻ってきた、真白が座る頃を見越した様に汁物をお盆に乗せて持って来る


「今日は筍のお吸い物です」


「有難う御座います」「ん」


俺達はお盆からお椀を受け取り自分の膳に置く


「頂きます」


「「頂きます」」


今日は筍のお吸い物に、筍の炊き込みご飯、筍の天ぷらに、ピリ辛メンマの海苔巻きだ


「コリコリしてて歯ごたえが有って美味しいです」


特に筍の天ぷらは荒塩と桜でんぶが掛かっており味も絶品だが見た目の彩も華やかだ、ピリ辛メンマの海苔巻きはご飯が進み、本日も筍の炊き込みご飯をお代わりしてしまった


「「ご馳走様でした」」「お粗末様です」


お膳の片付けを少し手伝い、最終日の修練に行くために各自部屋で準備をして




・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・


「ここが、黒域か...この滝は壮観だな確か「玄武の雨濡らしの滝」だったよな」


「ん、良く覚えてた偉い」


🔶


玄武の雨濡らしの滝、その昔、神仙の山頂で一休みしていた亀(玄武だと言われている)が1万年も眠り続けてしまい、その間に山も亀も大きく成長して、遂に亀の甲羅が雲を突き抜けてしまった


亀の甲羅には常に雨雲が掛かり甲羅の周りには、絶えず雨が降っており、その甲羅から伝って出来た小川が玄武の雨濡らしの滝に源流だと言い伝えられている



🔶


「今日は此処で滝刑(たきぎょう)」


「滝刑か、初めてなんだけど何か注意点あるか?」


「ん、背筋に力入れて無いと危険」


「それだけ?」


「ん、それだけ」


「なぁ~んだぁ~簡単だな、俺はてっきり頭上から流木が流れてくるから気を付けろとか言われるのかと思ったぞ」


「ん、ネットが有る大丈夫、魚は偶に頭に落ちてくる」


この後、俺は滝刑を軽く考えていた事を後悔する事になる...


俺達は近くに有る小屋で用意された滝刑用の服に着替える...麻生地の浴衣みたいで生地自体が薄い上にベージュ色だ


「下着は脱いで行くのか...これは俺色々とヤバくないか?」


この衣装を着て滝刑...頭の中で真白が濡れて少し透けた衣装を肌に張り付かせている姿を想像してしまう


「い、いかん!?俺の方が出れなくなる」


何とか頭の中からピンクの雑念を振り払い、真白の待つ滝の元まで向かった


「城二、遅い」


「わ、悪い...(ヤバいヤバいヤバい)」


真白の着ている衣装は胸の合わせ目が、真白の胸のサイズに合っておらず、殆ど胸元が見えてる状態だった


「そ、そんなサイズしか無いのか!?」


「ん、これ以上は大きすぎ...気にするな」


真白が自分の衣装の袖を引っ張る度に胸の合わせ部が徐々に面積を失って行く


「わ、解ったから行こう」


俺達は滝の裏側から回り込む様に進み今目の前には、激しく滝の流れ落ちてる様が幻想的に映っている


「城二、男は此処」


「え?男女で場所違うの?」


「ん、女子は向こう」


真白は岩場で切り分けられた滝の向こう側を指さす


「え?何で場所違うの?」


「ん、男女一緒だと男子が女子の身体を気になって集中出来ないから一緒に滝刑しない、特に城二は私の胸見すぎ」


バレてる...ヤバい...


「ん、私は怒ってない城二に見られても平気、だけど集中出来ないと修練にならない」


「な、成程分かった...頑張るよ」


「ん、ガンバだ」


俺は真白から滝刑の注意点を教えて貰い、真白と別れ滝に向かう


「いくぞぉぉぉ!!」


一歩前に踏み出し流れ落ちる水にその身を晒す


「うぉぉぉぉぉ!!」


身体を揺さぶられる様な激しい振動と重たい鈍器で頭を何度も叩かれる様な衝撃...その衝撃で前にバランスを崩した時


!?


俺は前のめりに倒れ水の中に沈む...



激しい滝の勢いに身体が川に押し込まれそうになりながらも、何とか身体を起こす、この滝刑なかなか難しいぞ...













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