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第28話 修練を終えて・・・・の帰り道

「梅姉、世話になった」


「貝塚さん...お世話になりました...」


修練場の入り口で、貝塚さんに見送られ大きな扉の前で深々と頭をさげる


「お二人が無事に修練を終わられ何よりでございます」


貝塚さんも軽めにお辞儀をして挨拶を返す


「では、お二人とも明日、明後日は学業が御座いますのでご安全にご帰宅を」


「ん、また来る」


「貝塚さんもお元気で」


階段を降りてギリギリ貝塚さんが見える所で振り返り、もう一度頭を下げる



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


昨日一睡も出来なかったので、今日山道を歩けるか不安だったけど寧ろ来た時より体が軽い


「ん?どうした城二」


「あ、ああ何か身体がやたらと軽いなって...」


「...城二は修練で力付けてるそれに...なんだか強い力も感じる」


(白虎の事だよな...でも白虎は今南原 譲二の方に憑いてるみたいだからな)


「それも、これも真白のお陰だ」


「ん、明日、秘境テストのメンバー提出期限」


忘れていた、確かプリントには5月1日中に秘境テストを受ける参加者は参加用紙に記入して提出するんだったな...あぶねぇ―――


「ア、アハハハ、モチよ!覚えてるに決まってる、ハハハハ」


真白はジトっとした目で俺を見上げ


「...城二忘れてた、顔に書いてある」


真白の流星眼の前では下手な誤魔化しは意味が無い事を忘れていた...おれは頭を掻いて真白に苦しい言い訳をしながら山道下って最寄り駅に向かった




・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


「いくら山奥っつても連休最終日だぞ?」


「ん、空いてていい」


俺達の車両には2人しか居ない...真白は俺の持って来た漫画を読みふけっている


(何だかんだで、俺ゲームの進行をメチャクチャにしてるよな...)


ふとそんな事を思いつつも、ゲーム内での進捗を思い出してみる


ゴールデンウィークに突入した時点で、北野 城二は既に北野家を勘当されており、4月の最終週以降では学校も退学させられている


そして尊はゴールデンウィークを利用し学校の寮から城二の住んでいたマンションへ転居し、お世話係りの立花さんとも対面する


この時点より前に隠しイベントである婚約破棄後の道代と帰宅中の路地裏イベントを経由して、城二からのセクハラについて立花さんから相談を受けるイベントを終了していた場合に限り、道代ヒロインルートの選択肢も選べる様になるのだ


そして、5月1日、登校した時に藍瑠にお願いされる形で秘境テストへ挑戦する事になる


5月2日夜に、再び北野家本家に呼ばれ、翌日3日に帰郷、そこで城二の代わりに正式に藍瑠の婚約者となった事が告げられる


5月4日には生まれ育った養護施設を訪れ、お世話になった年配の女所長に自分は北野家で成功して何時か恩返しする事を誓い


翌朝の飛行機で東京に戻る...



(確かそんな感じだったよな...その時の秘境テストに真白は参加して無かったし...)


「この先、どうなるのかなぁ~」


「ん?この先は花魁の街でネズミ子と炭太郎が一緒に協力して戦う」


「はぁ?あ、いや...おおお、そうなんだぁ!!敵も兄弟の妖怪だもんな!!」


運よく真白が俺の独り言を勘違いして、真白が読んでる「不滅の刀」の続きの先の展開の事だと思った様だったので上手く話しを合わせて誤魔化す


「え?そうなの?先週までではそんな話出て無いと思うけど?」


「あ...あれぇ?そうだっけぇ~?ア、アハハハ...」


と、思っていたけど余計に墓穴を掘ったみたいだ...


「この私とした事が、不滅の刃で見落し??あり得ない...これは全巻見直しせねば...」


「ま、まぁ真白、そんな深刻にだなぁ~たかが漫画の事...」


「はぁ?」


軽率な発言をした俺に真白の氷河期でも来たかの様な冷たい視線が突き刺さる


(ダメだコイツ、不滅の刀の事になると途端に人格変わる、怖いぃぃぃ)



その後、お葬式の様な空気の中なんとか無事、学校最寄り駅まで到着した


「ん、それじゃ城二、また明日学校で」


「あぁ真白もゆっくり休めよ」


俺はこの先で乗り換えなので、真白に手を振り電車を降り向かいのホームへと向かう


次の電車の時間を確認しようと電工掲示板を見てると向かいのホームに電車が到着した...


(ん?あれって尊と藍瑠?)


電車から降りて、そのまま二人で並んで改札を出て行った


(二人の住んでる所の最寄り駅も確かにこの駅だしな...連休で一緒に遊びにでも行ったかな?)


「もう俺には関係ない話だな...いや寧ろ此れからも関わらない様にしなきゃな...」



そんな事を呟いていると目的の電車が到着し、今度は満員の電車に押し込まれて、もみくちゃになってる内に先ほどの光景もすっかり頭から消えてしまった






最後に残りの体力を削られ満身創痍での帰宅後


道代さんが美味しい生姜焼きを作ってくれており、数日振りの肉料理を口にした俺が密かに涙した事は言うまでもないだろう






















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