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第30話 父親からの実家への招集命令

ゴールデンウィーク中日は放課後に職員ミーティングがあり、部活も含め全生徒は16時までには強制下校させられた


俺は学校の裏のパワースポットでの瞑想を諦め、一度帰宅しジャージに着替えると近所の公園で体力作りに取り組んだ


公園と言っても結構な広さがあり外周をランニングするだけでも結構距離がある


軽く流しながら、職員ミーテングの事を思い描き苦笑してしまう


(きっと荒れるだろうなぁ~まぁ皆川先生は俺の事情をしてくれてるし無下にはしないでくれると思うけど)


(明日のメンバー発表は皆きっと驚くだろうな~フフフフ少し楽しみになって来た)


そんな楽しい事を考えながら軽く1時間程汗を流し帰宅する


「ただいま」


道代さんの返事がない...


「あ、そう言うえば今日は大学のゼミで必修が複数有るから帰りが少し遅くなるっていってたな...」


俺は汗を吸い込んだジャージを選択籠に入れ下着を着替えてから手を洗いリビングへ向かう...


「インスタントでも作るかぁ~え~と...玉子、玉子っと...ん?」


玉子を探して冷蔵庫を開けると...


『城二様、インスタントなんか体に悪いです、オムライスとサラダとスープを用意したので温めてお召し上がり下さい』


冷蔵庫にはラップしているお皿が2つありマグカップにはコーンスープが入っていた


「ふふ、美千代(道代)にはお見通しか...『一人だと直ぐカップラーメンで済まそうとするんだから!私が作るからそれ仕舞って!!』」


「懐かしい思い出だ...前の世界で元カノと同棲中に俺が仕事で夜遅く帰って来た時に、夕飯をカップラーメンで済まそうとして、よく怒られたもんだ...」


俺は冷蔵庫から道代さんの用意してくれた夕飯を取り出しサラダ以外を電子レンジに入れスタートを押す


まっている間にサラダにかけるドレッシングを選んでいると...



トゥルル、ジジジ、トゥルル、ジジジ、トゥルル...



スマホが着信し音共にテーブルの上で小刻みに震えながら微妙に移動している


俺は電話を取り表示された名前を確認する...


「父?」


着信は父と表示されていた...


(多分あの事だよな...)


「はい、城二です」


『私だ、今は家に居るのか?』


「はい、夕飯の用意をしてました」


『そうか、立花さんは未だ大学から帰ってないか』


「はい」


『急で悪いが、5月3日に本家に顔を出してくれ、お前に話ておく事がある』


(秘境テスト前の貴重な休みだ...俺は修練に充てたかったのだが...ここは早めに話を終わらすのにカマを掛けるか...)


「お話しと言うのは、尊と宮下さんの婚約についてでしょうか?」


俺の返事に少し間が空いて


『尊から聞いたか?それとも宮下さんのお嬢さんからか?』


「いいえ、両家の状況と尊と宮下さんの関係を鑑みて推測しました、間違っているのでしたら、さかしい事を申しましたお許し下さい」


『いや良い、お前の推測通りだ』


「では、お話しは理解しましたのでこの度の帰省については...」


『いや、それでも一度戻って来る様に、曲りなりにもお前は北野家の嫡男だ一族の婚約の話しの席に同席しないのは、おかしかろ?」


(曲りなりにも...か)


「畏まりました、父上からのご命令であれば従うより他御座いません」


『うむ、航空券はお前と尊の分を用意させる』


「いえ不要です、何時も生活支援を頂いてますので自分の移動費位は余裕はあります、尊の分だけご用意ください」


(必要以上に北野家の世話になるつもりは無い...これからの事もあるしな)


『そうか...お前も変わったな、ようやく北野家の嫡男としての責任に目覚めたか...だが遅いな』


(この人は結果がどうあれ、俺を切り捨てる気だ...早く北野の家の力に頼らないで済むだけの力を身に付けねば...)


俺は最後の父の声は聞こえなかったフリをして電話を切った...


「気を緩めれば、直ぐ足元に死亡フラグが立っている...色々と策を練らないと」


俺はスマホを机に置き途中だったサラダを用意して、道代さんが用意してくれたオムライスとコーンスープと共に美味しく頂いた


食べた食器は綺麗に洗い食器乾燥機にかけておく、その間に風呂の用意をして入浴前に洗濯機を動かしておく



・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・



「遅くなりましたぁぁ!!」


「あ、道代さんお帰りなさい」


「なっ!?何をしてるんですか!?城二様!!」


俺は洗濯物を干そうと、籠に洗濯が終わった衣類を入れベランダに向かっている途中だった


「え?何って洗濯物を干そうかと?」


「ダ、ダメですダメです!!私の仕事です!!城二様はお部屋で寛いでいてください!!」


必死な形相で俺から洗濯籠を奪い取り、眉間にしわを寄せ不貞腐れている様だ


「そ、そうですよねぇ~あ、あぁじゃ部屋で勉強でもしよっかなぁ~」


俺は道代さんの迫力に負け尻尾を巻いて自分の部屋に逃げ込んだ




・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・




「それにしても、だいぶ俺の知らない脇役キャラに細かい設定がされてるよな...裏設定か...」


本筋の話しやシステムは頭に残っているが、制作過程で没にした仕様や設定は直ぐには思い出せそうにもない


ただ、一応は開発リーダーとして提出してきた資料には一通り全て目を通してあるので、思い出す事もあるだろう


「この様子だと、城二の両親もなんらかの裏設定が有ると考えておいた方が良いだろう・・・先のストーリーでの北野家の動きから想定できる事は全て対策しておくのが良いな」


その日の晩は、両親と尊を前にしての質疑応答などを含めその対応策をレボートに全て纏めてる...そして気付けば深夜2時を回ってしまった




俺は慌てて歯磨きをすると、明日に備え速やかに就寝した...








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