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第31話 ザワつく教室を黙らせる

本日は5月2日ゴールデンウィークの中日2日目、今日学校に行ったら明日からまた4連休だ


俺は朝食を道代さんと一緒に食べながら明日から北海道の北野本家に帰省する事を伝える


「それにしても急なお話しですね、よほど大事な御用事なのでしょう」


「確かに、一体なんの話しなんでしょうね?」


本当は内容を知っているが、道代さんに余計な心配を掛ける事もないので敢えて知らないフリをする事にした


「では、お帰りは?」


「そうですね...呼ばれている以上僕の勝手に帰る訳にも行かないでしょうが、出来れば早く帰って再来週月曜の試験の準備をしたいですね」


「!?」


俺の言葉に道代さんが驚いていた


「本当に城二様は、お変わりになられましたね...以前とは別人みたい」


「アハハ、このままじゃダメだと悟っただけですよ(本当は別人なんだけど)」


「フフフ、でも今の城二様の方が素敵ですよ、女性は必死に努力する男の人が魅力的に見えるのですよ」


帰省の用意は自分ですると伝えたが、道代さんが頑として譲らないので帰省準備は航空チケットの手配から着替えの用意まで道代さんにお任せする事にした



「それでは行ってきます」


「いってらっしゃいませ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・



相変わらず他の生徒から敬遠される何時もの登校風景の中、学校に到着すると中央の上り階段の横にある掲示版に大勢の人だかりが出来ていた


「ん?何だ?」


俺が下駄箱で靴を履き替え人だかりを迂回し階段を登ろうとすると


「あ、アイツだ...最低な奴だな」「雨宮さんが可哀そう...」「汚い奴だぜ、とっとと何処かに消えて欲しいぜ」


掲示板の前にたかっていた数名が俺の事を見つけ、ボソボソと恨みと嫌悪の籠った目で俺を睨みながら暴言を吐く


「あぁ?何んだ?」


俺が振り返り睨みを効かすと全員が俺から目線を外し気まずそうな表情を浮かべる...


「言いたい事が有るなら面と向かって言ったらどうだ?」




「「「「・・・・・・・・」」」」



だれかの背中に隠れてしか文句を言えない連中にいちいち構っていられない、俺は無視して2Fへ向かって階段を上る


「ちっ!クズゴミの下衆野郎が!!」


教室に向かっている間も廊下ですれ違う生徒から汚い物を見るような目を向けられ、俺が聞こえない位の声でボソボソと陰口を叩く



ガラガラガラ~


それは俺が教室に入ってからも同様だった...何時もは俺の姿を見ると皆目線を背け干渉しない様な態度だったのに今日に関しては皆の鋭い目線が俺を捉えて離れない


そんな空気のまま朝のホームルームを迎える...


「掲示板で朝に確認した者も多いと思うが、13日の秘境テストを受けるメンバーを発表する、呼ばれた者は返事をする様に」


「まず、青木と葛西」「「はい!」」


「次に・・・・・・・・」


「そして藤堂と池上」「応よ!」「キャホォ~」


「最後に北野と5組の雨宮」「はい」



ザワ・・・ザワ・・・・ザワ・・・・



俺と真白の名前が呼ばれた途端、教室内でクラスメートがザワつく


「お前等しずかにしろ、まだホームルーム中だぞ!!」


皆川先生の叱責が教室に鳴り響く...しかし...そんな中手を上げる生徒が一人


「先生!!おかしく有りませんか?何で北野君と5組の雨宮さんがパーティーを組む事になるんですか!!」


「そうです、そもそも二人には接点が無いじゃないですか!!」


バンッ!!生徒の勝手な発言に出席簿を教卓に叩き付け黙らせる



「黙れ、これは雨宮にも直接確認済みだ、雨宮は間違いなく北野 城二とパーティーを組むと...いや寧ろ北野 城二としかパーティーを組まないと言っていたそうだ」


先生のこの言葉で殆どの生徒は口を噤むが、それでも納得できない生徒達は発言を止めない



「それは、北野君が卑怯な方法で雨宮さんを脅しているからじゃ無いですか!?」


「はぁ?」


この発言には流石の俺もイライラが押さえられず堪忍袋の緒が切れそうだ...



「そうです、雨宮さんは孤高の天才、次世代の現人神とさえ言われる尊い存在です、そんな雨宮さんを北野君の様なクズ...」


「おい!!」


気付けば俺は其の場に立ち上がりクラス中の生徒を睨み付けていた


「どう言う了見で、そんな世迷言を言っているのか知らねぇけど、お前等の粗末な物差しで真白を勝手に判断すんじゃねぇよ!!」



俺の怒気に気圧されたのかクラス中が静まり返る...


そんな中、城二の秘密を知っている綾瀬は、この数日間での城二の成長ぶりに驚いていた


(なんだ??城二の奴この数日で何があった、奴から以前とは比べ物にならない強い力を感じるぞ・・・)


「ちっ...何だあの野郎、今まで力隠してやがったな」


「ほへぇ――城二っちてば、凄いじゃない」


他にも数名程、城二の力の変貌ぶりに気付いていた様だが、今の城二は自分の力が漏洩してる事に気付いてなかった...それだけ冷静さを欠いていたのだ



「この際だからハッキリ言っておく、真白は...雨宮は俺の親友だ!!俺の事を悪く言おうが、馬鹿にしようが自業自得だと納得してるし反論する気もねぇ」




「だが、お前等の勝手な想像と押し付けで雨宮 真白を悲しませたり傷つける様な事は許さん!!その時は俺の全力で潰してやるから覚悟しろ!!」



俺の正論に誰も言い返せないのか、それ以降は面と向かって文句を言う生徒も声を上げる生徒も居なかった・・・



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