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第40話 猫好き女子大生と遭遇

城二は今、義弟である尊共々東京から 北海道の札幌市にある実家に帰省していた


帰省した理由は、俺の元婚約者である宮下 藍瑠と義弟である尊が両家を代表して改めて婚約する予定であるとの話だった


正直原作を知る俺としては、クズな義兄(俺の事)をボコボコにして家から追い出した後 暫くしてから正式に藍瑠と婚約関係になる流れは、最早息をするより当たり前の流れなので是非も無い


早い事相思相愛になってこの世界を救う為に、お互いを支え合い助け合い、共に成長してくれる事をマジで願うだけだ


あ、ちなみに俺のテンプレのクリアパーティーで、最終的な強い順で並べると


尊 > 雨宮 = 九鬼 >> 藍瑠 = 天草 = 土方 ≒ 瑪瑙(隠しキャラ)


の順番になる...この中の4人を入れ替えながら使う感じだが主人公は固定で入れ替え出来ないので実質3名を入れ替える


特に藍瑠は、ゲーム序盤から仲間になり、苦楽を共にする準主役メンバーだけあって 思い入れ補正も入り上位2名よりも優先的に使ってしまう


だからこそ、ヒロイン人気投票でも1位を取り続けているのだろう



つい2週間前迄ゲームをプレイしている側だったのに妙に懐かしく感じる...最後にエンディングで見ていたのも尊&藍瑠のハッピーエンドシーンだった



しかし...気になるのはその尊の事だ


家族会議の時に感じた違和感...トラも気を付けろと注意してくれた様に何処か禍々しい空気を感じた


そもそも城二自体が序盤に消えるので、実際に尊が城二に対しどう思っていたのかは測りかねるが


人を恨んで陥れようとするのは、正義を執行する主人公の取るべき行動では無い


あの場で言った事を理解してくれて思いなおしてくれれば良いけど...



て事を考えながら歩いていると・・・・・・


『城二ここが、札幌護国神社か』


俺とトラはせっかくなのでと、今札幌市内を観光している


「お前、姿を隠しとけよ...」


トラはこの子猫スタイルのままでは、神格を出せないので尻尾が2本ある愛らしい猫として神視レベルの低い人でも視認出来るのだ


『な~に、また「ばず」とか「でんじゃ」とか言う金属の箱に乗る時は、姿を隠すわい』


トラが狭い家の中だけでは退屈だと言って来たので渋々ではあるが一緒に連れて札幌市内の神社巡りをしている


そして最初に訪れたのが札幌護国神社という訳だ



〇札幌護国神社


「国生み」と「国護り」の神の社


中島公園内に鎮座する「札幌護国神社」は戦没者の慰霊のために建立された


境内にある「多賀神社」は、国生みの神である滋賀県の多賀大社から直接勧請されてきたものだ


古くから、縁結び・延命長寿・厄除けにご神徳があるとされ、信仰を集め尊崇されている


国の重鎮や国賓が公務参拝に訪れる格式高い神社でありながらも、季節により花手水や色鮮やかな御朱印などを記念に受けられるので、気軽に訪れやすい雰囲気の神社と話題になり神視ブームが起こってからは一般の参拝者にも大人気な神社だ


「どうなんだ?トラ 同じ神様としてこうして祭られてる他の神様を見る気分は」


『はっ!下らぬな 確かに地脈は通っておって神所としては理に適ってる様だが、肝心の神が不在ではな』


「やっぱそうなんだ~ 全国に同じ神様を祭ってる神社沢山あるもんな」


トラは俺の前までトコトコ歩いて、俺を見据える様に座り すまし顔で胸を逸らしていた


「まぁ基本的に神は神域の中に居る事が多いからな 特別な日は決まった神社に滞在するが、普段も居るかは分からぬ まぁ気まぐれじゃ』


貴方は今神様で一番気まぐれそうな子猫の姿なんだけどね...


お前が言うか?と白い眼で胸を反らしドヤッてるトラを睨んでいると...


「きゃぁぁぁ――――可愛いぃぃぃ!!これお兄さんの猫ですか!?」


「きゃわわぁぁ~何これ尻尾が2又? 珍しいぃぃ~しかも赤と水色のリボンも可愛ぃぃぃぃ萌えぇぇ~」


観光客だろうか地元の学生だろうか?女性二人がトラに駆け寄り頭と喉を撫でながら目を輝かせて愛でている


『なっ!?何をする人間如きがぁぁ!!聖獣白虎を何と心得る!!!頭から食らってやろうか!!』


ニャー!?ニャーニャァァァ!!ニャニャニャ――!ニャ~ ゴロ ゴロ ゴロ♪


「きゃぁぁぁニャーニャー喜んで喉をゴロゴロ鳴らして可愛ぃぃぃぃ!!」


「はぁぁ癒されるぅぅ」


トラの声は俺以外には、ただの猫の鳴き声にしか聞こえない...いやでも満更でも無さそうだな...


「あ、あの!お兄さんこの猫ちゃん抱いてみてもいいですか!?」


女性の一人がスマホをバックから取り出し、期待に満ちた笑顔で俺の方へ許可を求めて来たので


『何を言っておる、小娘が!!この痴れ者、その様な事が許され・・・「あ、良いですよぉ~」・・・ん、んなぁぁぁ!?』


俺の許可が出ると、満面の笑顔で2人が交互にトラを抱きしめ 様々なポーズで写真を撮り出した


『小僧ぉぉぉ!!後で覚えておれぇぇ!!!』


なにやら、子猫がほざいていたが 俺は快くスマホを預かり二人と一匹を写真に収める


話を聞くと、この女性二人組は東京からゴールデンウィークを利用しレポート作成と旅行を兼ねて遊びに来てる大学生だと言う


どうりで道産子訛りが無い訳だ


「へぇ~お二人は星城女子大の学生さんでしたか」


「はい♪ 私達3名でグループを組んで、北海道の神道と仏教についての研究をしてるんです~♪」


今時の女子大生らしく他人に対する接し方もフランクだ...ん?星城女子大って確か...


「あ、もう一人は残念なんですが家の都合で住み込みで仕事してるので今日は一緒に来れてないんです..」


「そうそう、だから私らがもう一人の子の分も頑張って文献や現地に伝わる逸話なんかを調べてるんです」


「成程、お二人とも真面目に頑張っておられるんですね、ご立派です」


俺が二人を褒めると、少し照れながらお互い顔を合わせ微笑んだ


「あ、ゴメンなさいトラちゃんお返ししますね...って、猫ちゃんの名前だけ聞いてお兄さんの名前 聞いて無かった!?」


「あ、僕は東京の東光高校の2年...北野 城二と言います、僕はここ札幌に有る実家に帰省中でして今日は久々の地元を見て回ろうと散策してました」


「北野......城二君?...ん―――――どっかで聞いた事有るような??」


「東京の高校に通ってんだぁ~もしかしたら何処かで有った事有るかもねぇ~てか、3っ年下かぁ~」


「う――――ん、そう言うのじゃない気が...!?あ、そうだお姉さん達と連絡先交換しない?もし良かったら、東京に帰ってもまたこうしてトラちゃんと遊ばせて欲しい!!ダメ?」


俺は女子大生のお姉さんに向け、メッセージアプリの招待用のバーコードを表示させ目の前に差し出す


二人は其々自分のスマホでをれを読み取りお友達登録を済ませると、さっそく「よろしく!」と手を上げている猫のスタンプと、同じく「こんにちは!」と頭を下げてる猫のスタンプが届く


「私は 山吹 紗枝やまぶき さえそして...」


「私は音田 薫おとだ かおる♪」


山吹さんは、白いブラウスにジーンズという出で立ちでブランド物のリュックを背負っていた、少し化粧が濃い目で睫毛がクルっと上にカールしている、背は結構高そうだ170cm位だろうか?


何かスポーツしてるのかスレンダーな体系で小麦色の健康的な肌をしている、ショートカットで化粧して無かったらボーイッシュな印象になりそうで、かなりの美人だ


もう一人の少しオットリした雰囲気の音田さんは、青みがかった黒い髪をボブカットにしている、音田さんは青いワンピースを身に着けており、お腹周りにゆとりを持たせた服装なのでスタイルは今一分からないが服の端から見える地肌は白く直ぐに日焼けしそうな印象だ


その為か大き目の麦わら帽子をかぶって日焼け対策をしている、そして当然音田さんも、かなりの美人だ


「改めまして、僕は北野 城二...それとトラです」


「宜しくねぇ~トラちゃん♪」「わぁぁアップも撮っちゃお~」


二人はトラと名残惜しむ様に更に沢山のトラの写真を撮ってから 俺達に手を振り札幌護国神社から去って行った




『じょ~じぃ~...貴様には聖獣の偉大さをトコトンまで教え込む必要が有りそうだなぁ~』



どうやら、俺は現役星女(せいじょ)の好感度を上げた代わりに、貴重な仲間の信頼度を著しく下げた様だ...






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