トラを連れての北海道観光...最初に訪れた札幌護国神社で猫好きの東京から来た女子大生2人組にもみくちゃにされた事を根に持ち
次の目的地へバスで移動中も俺の肩に乗りずっと耳元でネチネチ・ネチネチ、4聖獣は4門を守る守護神だとか、神格がどうだとか、俺には神に対する敬意が足りないのだとか...他の乗客の目もあり反論出来ない俺に向かって30分の移動中ずっと小言を言い続けた
手すりに摑まりながら苦悶に顔を歪める俺を見ていた前の席に座ったお婆さんが、気を使って俺に席を譲ろうとしてくれて
「い、いえ...これは元々こういう顔でして...」
その場しのぎの思いつきで嘘ついてしまい、バス移動中は変顔でやり過ごすはめになってしまった...
『ククク、儂を敬わんからバチが当たったんじゃ...ザマァ無いな~ククククク』
他の乗客も居るので、何も言えず黙って耐えるが...マジウザい
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地獄の様なバス移動もようやく目的地に到着し解放される...
『おい城二先ほどの女(お婆さんの事)から渡された洋菓子を儂に寄越せ』
実は降りる際に席に座っていたお婆さんから、北海道銘菓の「白い愛人」という正方形のホワイトチョコをサンドしたラスクを3袋程貰った
「はぁ?何でお前にくれてやらんとならんのだ?...モグモグ...モグモグ...ウッメェ――!」
『貴様ぁぁ神にお供えは常識じゃろが!!』
ミャ―ミャ―泣いてる子猫を俺が虐待してる様に周りに見えてるのか、通り過ぎる通行人が蔑んだ様な白い眼で俺を見ながら通っていく...
(理不尽かよ!!)
周囲の眼に耐え切れずに、トラにも白い愛人を仕方なく差し出すと ニャーニャー言いながらガツガツと食いつていた
『モグモグ...それより城二ここは・・・・』
〇北海道神宮
原生林や動物園に隣接する神社
花見や初詣でにぎわう北海道の総鎮守「北海道神宮」
初詣の参拝者数は道内一で、道内最強のパワースポットとして知られている、
祀られている御祭神を参拝すれば、開運、健康運、勝負運、そして恋愛運と、あらゆるご利益が得られるとされ、全国から多くの参拝者が訪れる北海道で一番有名な神社だ
樹齢100年を超えるハルニレやカツラなどが茂る境内は、エゾリスなどの小動物の楽園にもなっており散策スポットとしても楽しめる
北海道で神社仏閣を巡る上で絶対に外せないスポットだ
「ここは、北海道では一番有名な神社だ、特に主神の
『成程な、大国魂神に
トラは何かを睨み付けるように本殿の方を見ている
「ん?ここには神様が滞在してるのか?」
『ん?あぁぁそうだな、今は大国魂神の奴がいる様だな』
「おおおお!そいつは凄いな!!」
『お前な...儂も神だぞ?格で言えばここに祭られてる神達と儂は同格かそれ以上だ』
「へぇ~」
『ちっ...まぁ彼方さんも部外の儂が境内をウロウロしてるのが気に入らん様だ、少彦名辺りなら大目に見てくれそうなものを...
「流石に俺の神視レベルでは、御目にかかれそうも無いな...」
『・・・・・・・・・まぁそうだな・・・・・』
トラの返事に多少の違和感を感じつつ境内を散策していると
「いでっ!!」
しょっちゅう石に躓きコケそうになる...これも御祭神に歓迎されて無いからかな?
『まぁ奴も恐れているのかも知れんな...大いなる災いを自らの祭儀場に入れる羽目になっては取返しが付かぬでな』
「恐れてる?災い?何の話しだ?」
『こっちの話だ気にするな...それよりもここは余り居心地が良くない、早く家に戻るが吉だ』
何か煮え切らない言い方だったが、俺も流石に歩き回り疲れも有ったのでトラの言葉通り帰宅する事にした
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自宅に戻るルートのバスには乗客が殆どいない...
なので小声ではあるがトラと北海道の名所を回った感想や疑問に思った事などを話していた
「俺が無知で知らないだけかも知れないんだけど、トラの言ってた荒魂ってどういう意味だ?」
『はぁ~貴様はそんな事も知らずに秘境テストに挑もうとしてたのか...呆れるを通り越して感心するぞ』
何だか馬鹿にされてる事だけは解ったので、トラ用にと取っておいた最後の「白い愛人」の袋を破り一気に口に放り込む
『あっそれは最後の、貴様ぁ儂の断りも無くよくも!!』
『まぁよいわ...荒魂とは文字通り神の荒ぶれた魂の事じゃまぁ簡単に言うと神が怒ってる時の状態だな、逆に人々に恩寵をもたらす時は
「へぇ~でも他にも
『ほう、ゲームと言うのは博識じゃな だがそもそも和魂の中の分類で幸魂と奇魂が別れてるんだがな・・・』
そんな話をしてると、家の近くのバス停に到着する...ここからは誰に見られているか分からないのでトラには隠形で行動してもらう
そして北野と大きく書かれた表札の下の呼び鈴を鳴らし、「城二です」と名乗ると
ギぃィィィ
木製の大扉が両側に開くと、数名のお手伝いさんが頭をさげて出向掛けてくれた
「只今戻りました」
お手伝いさん達に挨拶をして中に入ろうとした時...
「待っていたよ義兄さん」