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第46話 バッド・エンカウント

〇駅前大型ショッピング施設  「ミオンモール」敷地内の「ムーンバックス」前



「二ヒヒヒヒ」


俺達は会計を済ませムーンバックスを後にした


真白は俺の腕に自分の腕を絡め目の前にネズミ子のキーホルダーを揺らしながらダラしない笑顔で見つめている


「おいおい、いい加減にしとかないと落とすぞ?」


ドンッ!


注意したのもつかの間、真白はすれ違った人の方にぶつかりキーホルダーを落してしまった


「!?ネズミ子!?」


俺の腕から手を離し、地面に落下したネズミ子のキーホルダーを探す真白...ぶつかった相手の事など気にしていない


「あ、すいません、連れがぶつかってしまって...お怪我はありませんか?」


真白のぶつかった相手は女性だった様で真白にぶつかった拍子にコケてしまいその場に座り込んでいた


「イテテテテ...」


相手が落としたカバンを拾い、手で少し付いた砂を払うと目の前に周り込み腰を屈め手を差し出す...


「申し訳ありません、あの~大丈夫ですか...てぇ!?」


「あ、いえ...私も前を注意してなく...て...!?」


俺の手に自分の手を添え立ち上がろうとして、俺の方へ顔を向け...


「あ、藍瑠!?」


「城二君!?」


なんと倒れた彼女は宮下 藍瑠さんだった...


「あった!!ネズミ子!!」


戸惑う俺達を他所に、真白は宮下さんのスカートに隠れていたキーホルダーを見つけた様だ


「え、えっ?!あ、雨宮さん!?」


手を引いて藍瑠を引きあげると背後の方の声に反応して振り返った藍瑠は裏返った声で真白の名を叫んだ


「...ん?誰?何で城二と手を繋いでる?」


俺が藍瑠の手を握ってるのを見て少し不機嫌になる真白は冷たく輝く流星眼で俺達の手を睨みながらボソッと口にした


「「!?」こ、これは...助け起こそうとしただけで・・・決してそう言うのでは無いぞ!?」


慌てて藍瑠の手を離し真白の誤解を解こうと必死に弁明する俺...通り過ぎてく通行人からは二股がバレた哀れなクズ彼氏が必死に弁明してる様に見えてるらしく、馬鹿にした様な暴言とクススクと失笑が聞こえて来る


「あ、雨宮さん、さっきはぶつかってゴメンなさい...その平気だった?」


藍瑠に声をかけられた真白は俺がプレゼントしたネズミ子のキーホルダーを舐めまわすように見つめ...


「ん、平気みたい」


「あ、そ、そう...良かった」


藍瑠も自分の体よりキーホルダーを確認している真白の行動原理が良く分かってないのか、愛想笑いに適当な相槌で返事する


「じゃ城二行こ」


真白がキーホルダーを持ってない方の手で俺の手を取る...


「こらこら...真白、宮下さんにちゃんと謝るんだ」


苗字で自分の事を呼ぶ俺を複雑な表情で見つめる藍瑠と、無表情な真白...


「ん、宮下さんゴメンなさい(ペコリ)」


真白は藍瑠に謝罪すると頭をペコリと音が聞こえる位綺麗に下げる


「謝った、いこ城二」


再び俺の手を取り歩き出そうとする真白に、ヤレヤレと苦笑いをしてついて行く俺...だが


「ちょっ!ちょっと待って!!」


背後で藍瑠が俺達を呼び止める...振り返り


「何?」


そう答えた俺の言い方が冷たかったのか藍瑠の表情が強張り少しだけ体を震わす...


「少しだけ城二君と話がしたくて...そ、その時間少し貰えないかな?」


俺は真白の方を見てその青い瞳の中に流れる流星を見つめる...


「宮下さん、悪いんだけど俺達これから行くとこあるから」


そう言うと真白が握る俺の手に少しだけ力が入った様な気がした


「そ、そんな時間を取らせないから...10分...5分で良いから...お、お願い...」


(この藍瑠の表情...何かあったのか?実家で聞いた様に尊と婚約者になるって話は藍瑠も知ってるだろうに...今さら何で俺に接触してくる?)


俺は頭の中で今の状況を整理していた...


『少し話を聞いてやっても良いんじゃないか?』


「「!?」」


そんな時に急に俺の肩にトラが現れ耳元でそう話す...二人は急に俺の肩に現れた縞模様の白い子猫を見て驚いてる様だ


「い、いま急に猫が現れたよね!?」


「...城二、この可愛い物体何?」


「あ、あぁ最近飼いだしたペットのトラだ、か、可愛いだろ?アハハハ」


唖然とする藍瑠に、トラをジーっと見つめる真白


『玄武の器の流星眼の前では、隠しきれんみたいだ』


「城二...これって...」俺は慌てて真白と藍瑠の間に入る様に回り込むと真白の耳元で


(真白...後でちゃんと紹介するから、今は黙っておいてくれ...)


(秘密?友達同士の秘密?...フフフ、城二と秘密...)


良く解らんが、何かワードが真白の友達ムーブコレクションにヒットした様だ...


「真白も一緒に居て良いなら話を聞くけど?どうかな?」


俺は藍瑠に条件を告げ様子を伺たったが...


「分かった...それで良いから...」




少し渋った感があるが即決で俺の条件を飲んだ...




この後、藍瑠から聞かされた話に更なる悩みが増える事になるのだった・・・・







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