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第53話 すっぴんのオネエ店長の正体は?

〇5月11日土曜日  都内某所にある地下施設




俺は札束を足元の目の前に放り投げる...足元は白い汗を滴らせながら恐る恐る俺からの札束を受け取り枚数を数えだす


・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・


「...確かに...では商品をお持ちします」


足元はテーブルの横に設置されてる呼び鈴を鳴らしマイクに向かって何か喋っていた...


ガチャ


部屋のカギが急に閉まる...



「フフフ...人間のガキが舐めやがってぇぇぇ」


急に顔を上げた足元...






その顔はドロドロに溶けたみたいに崩れており目や鼻、口が蝋燭のロウの様に垂れて原型をとどめて居ない


「おいおい、折角のメイクが崩れてるぜ?さっきの女の子の厚意を無下にせずに汗を拭いてもらっちゃどうだ?あ、今拭いたら目や鼻や口も消えちゃうがなぁ」


背もたれに腕を掛け余裕の表情を崩さない俺に対し表情は既に分からないが、怒り狂ってる事は間違いなさそうな足元の垂れて落ちそうな口が動く


「貴様ぁぁ、ここで縊り殺してやるぅぅ私の醜い顔を見た物はひとり残らず殺してやるんだからぁぁぁ!」


足元の身体はドンドン大きくなっていき細かった腕や胸板には筋肉が隆起し高級そうなセンスの無いスーツが耐え切れず破れて行く...


「人間のガキ如きがぁぁこの大妖のっぺらぼう様に大きな口を叩きよってぇぇぇ!!」


バギィィィッ!


足元...いやのっぺらぼうは目の前のテーブルを両手で殴り付け真っ二つにして俺の前ににじり寄る


「何故恐怖しない?馬鹿なのか?今からお前は私に叩き潰されてミンチに肉になるんだぞ」


「そうなんだぁ~?フフフ、なぁコイツこんな事言ってるけど?どうすよ『白虎』」


すると俺の足元の影が大きく広がり部屋に収まりきらない程の白い虎が姿を現す...


『ガァァァア!!』


白虎は咆哮し、人の胴体2人分もあろうかと言う大きな前足と鋭く輝くツメをのっぺらぼうの右肩目掛け振り抜く


グジャァァ


鈍い音と共にのっぺらぼうの右半身は綺麗に削げ落ち削り取られた肉体からは黒い血液の様な物が垂れ流れている...


「ヒィィィま、まさか...4聖獣、白虎!?」


目の前に現れた自分の何倍も大きな白い虎にのっぺらぼうで表情は分から無いが恐らく恐怖しているであろう、のっぺらぼうは器用に片足片腕だけで這いずりながら奥の扉の方へと逃げ出した


「なぁ何処に行くんだ?まだ商談中だろ?」


俺はのっぺらぼうの逃げようとする先に回り込み足元で藻掻いている妖怪の成れの果てを見下していた


「ヒィィ見逃してくれぇぇ私まだ死にたくないのぉぉぉ、イヤリングが欲しいならあげる!お代は要らないだから見逃してぇぇ」


先ほどの威勢は何処にもない...哀れに俺の足元に縋りついて命を請う妖怪、のっぺらぼう


「なぁに、俺も客だちゃんと言われた金は払うさ...だから...」


「わ、解りました直ぐに品物を御用意させます!!」



・・・・・・・・・・・・・・


・・・20分経過・・・・30分経過・・・・・40分経過・・・・


「てめぇいい加減にしろよ!!何時まで待たせるんだ、直ぐに持って来させろよ!」


「ヒィィ申し訳御座いません!!まだメイクに時間がぁぁぁ」


のっぺらぼうの身体はトラに言って治してもらった...そしたら、のっぺらぼうの奴メイクをするから少し待てと言う


確かに今のままじゃ誰にも会えんだろうが...にしても長い、長すぎる!


「適当に目元だけ書き直して、口と鼻はマスクしとけよ!!こっちゃ急いでんだ!」


「はっはいぃぃ!!」


俺の我慢も限界なので、メイク途中の足元には大きめのマスクを付けてさせ口と鼻を見なくして再び呼び鈴を鳴らしスタッフに依頼のモノを用意する様に話をさせた


暫くすると...コンコン♪


『失礼します』


部屋のドアが空き、中からワゴンを手で押して来たメイド風の女性が入って来た


「北野様の購入頂きました商品で御座います、ご確認をお願いします」


丁寧にそう言うとワゴンの上にかけてある布を取り外した...


「...ああ、間違い無さそうだ、あ、梱包を頼めるか?女性へのプレゼント用だ」


「畏まりました」


女性スタッフはワゴンの下に用意していた黒と金を基調とした豪華な包装紙とシルク生地のリボンで豪勢な感じでラッピングを仕上げてくれた


「とても良いじゃないですか!有難う御座います」


「さ、さぁ北野様のご用件は済んだんだ、早くお帰り頂きなさい!!」


足元は目元に焦りの色を見せ、女性スタッフに俺を外まで案内する様に言いつける


「あぁ世話になったな、足元さん...また、近い内に寄らせて貰うよ...」


俺の言葉にガタガタを体を震わせながらコクコクと頷く足元に軽く手を振り部屋を後にする...


相変わらず騒々しい店の横を通り入口のドアから外に出ると、先ほどノシた肥満大男が立っていた


「よう!未来の横綱、あれから大丈夫だったか?」


「ヒィィ」


俺の顔を見ると顔面を蒼白にし少し後ずさる...


「また来るから俺の顔忘れないでくれよ?それじゃ―――なー」




俺は黒と金の豪華なラッピングされた小ぶりの箱を手に目的の場所へと向かう...





そう...これはとあるサブヒロインのルートを開放する為の隠しイベントなのだ...






そしてそのサブヒロインとは...





「お探しの物はこれですか?」



俺は先ほど足元の店でラッピングしてもらった天然石のイヤリングの入った箱を女性に差し出す...


ここは不正な取引が横行している闇市が開かれている廃ビルの入り口...


目当ての女性は今まさに闇市の中から肩を落として出て来た所だ...



「城二?お前なんでこんな所に...それにこれは?」



「貴方のもう片方の耳に付けられるべき大切なイヤリングですよ?」







「皆川先生」






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