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第60話 いざ秘境へ!

〇東光高等学校 郊外施設 秘境 管理ランク[D]



「城二...悪い事は言わない、棄権するべきだ」


いよいよ俺達の番と言うところで皆川先生に呼ばれ話を聞くと、突然棄権するべきだと告げられる


「申し訳ありません、理由も無く棄権なんて出来ませんしする気も有りません」


「まぁ確かにそうだよな...お前が此処に掛けてる思いも知ってる」


「理由は何ですか?」


皆川先生はちらりと奥で俺の事を待っている真白に目線を向け


「お前等は本当に友人だったんだな...」


「前にもそう申しましたけど?」


「あ、いや...確かにそうだなお前は嘘はついてない」


「...これから話す事は他言無用だ...」


俺は皆川先生の話を黙って聞いた


「先ほどの祭壇でお前が神視した土童子がお前の事を「メメント・モリ」だと言っていた」


「メメント・モリですか?」


「そうだ...意味はわかるな?」


「はい、ラテン語で「死を想え」「死を忘れるな」でしたか?」


「その通りだ...だが神々には別の意がある」


「それは?」


「特異点だ」


「特異点ですか?」


「そうだ...お前を中心にしてこの世界が変わろうとしている」


「はぁ?イヤイヤそれは俺の事じゃないですよね?義弟の事でしょ?」


「いや...お前の事だ北野 城二...いや南原 譲二と呼ぶべきか?」


「...」


「何れにしても、神である土童子からの神託だ...秘境とは人智の及ばない領域...何か嫌な予感がする悪い事は言わない今からでも棄権すべきだ」



恐らく綾瀬は俺を貶めようとかそんな意図では無く純粋に心配してこんな事を言ってるのだろう...先ほど祭壇の中でまみえた土童子から俺の事について何かを告げられた事は間違いない...だが


「申し訳御座いません、僕はこの日を迎える為に出来る限り努力してきました、そしてそれは俺だけの努力では有りません真白含め沢山の人に支えられ僕はこうして此処に立っています、貴方にそのイヤリングを届けたのもこの先の未来に向かって前に進む為です...僕は...秘境に挑みます」


『・・・・・・立ち止まらず前に進むのみですよ、綾瀬隊長!!』


「浪志...」


「先生の御忠告肝に銘じます」


俺は皆川先生に頭をさげると真白の元に戻って来た


「城二...いいの?」


「ああ、お前と前に進むと決めたんだ」


「ん」


真白はそっと俺の手をとり握って来た...


「っ!?...23番...中に!!」


真白と手を繋いだまま秘境の中へと侵入する...


!?一瞬だが目の前が真っ白になり目が眩んでしまった...徐々に目を開け周囲を確認する...


「ここが秘境...」



〇土童子 秘境第一階層



そこは密林のジャングルの様だった、針葉樹がうっそうと茂り樹の幹に見た事もない植物の蔦が巻き付いている...


足元には草が生い茂っており一歩踏み出すだけでも躊躇する程だ...


そう確か此処はチュートリアルでもあった秘境内のギミックの解説だ...


「よし...これか...真白今から俺が手本を見せるから後に続いてくれ」


俺は樹によじ登り枝の一本に巻きつた蔦を手に取ると軽く引っ張り強度を確認...


そこから一気に枝から飛び蔦の反発を利用して次の枝へと飛び移った


「真白こうして...!?」


振り返り真白の様子を伺おうとしたら...


「ん?なに?」


俺の隣の木の枝の上に真白は立っていた...


「い、いや...何でもないです」


その後も枝に巻き付いた枝を乗り継いで移動し最終的に次の階層に進む為の道のある断崖の上に到着する


「と、まぁ高い位置に次への道が有るからこして木の枝から飛び移るん...だが...」


「ん?早くいこう」


真白は普通に下道を走って崖を一瞬でよじ登り俺より遥かに早く次の階層への入り口に立って待っていた


もはや真白は規格外...そう思う事にして無事二人とも第一階層を突破し次の階層に進んだ



〇土童子 秘境第二階層



第二階層は石造りのファンタージー系で良く見かけるダンジョンの様なエリアだ


このエリアではトラップという仕掛けに対するチュートリアルが有る、初心者にも解り易くトラップの見分け方や回避方法を解説してくれてる


「真白この床、良く見て見ろ」


俺は目の前の床を指さす


「ん?」


「ほれ、ここの四角い床模様だけ少し飛び出しているだろ?これはトラップのスイッチになってるんだ...だから・・・」


「ほうほう、えい!」


「!?」


俺が丁寧に説明してる最中に真白は俺の指さした床に飛び乗った


ガゴッ


何か岩が動く音がして...


「危ないっ!!」


よこの壁に四角い隙間が出来弓矢が俺達の方へ向かって飛び出した


「真白ぉぉ走れぇぇ」


慌てる俺の目の前で飛んでくる弓をヒラヒラとギリギリの距離で避ける真白は俺の顔を何時もと変わらない表情で見つめてる


「おぉぉぉお前は避けれても俺は無理ぃぃぃぃこいぃぃぃ!!」


俺は真白を脇に抱えると全力でトラップエリアの床を走り切った...


「ハァ――――ハァ――――ハァ―――――ゼェゼェゼェ...しんどぉぉぉ」


「ん、城二今のオモロイもっかい行こう」


「だぁぁぁ誰が行くかぁぁ!!」


真白の非常な言葉に全力で怒鳴ると


「ちぇぇ――城二詰まんない...」コン♪


ガゴッ


真白が床にある小石を蹴り飛ばすとその下には小石がハマっていたであろう穴が...そして今の嫌な音は...


!?


急に俺達の足元の床が左右に倒れ俺の身体は急に出来た空間に落下しそうになる


「くっ!?」


なんとか必死に両手を伸ばして床と空いた箇所の境目の端を掴む事に成功した


「あ、あぶねぇぇ」


開いた先の空間は真っ暗で底が見えない...落ちていたらと思うとサ~と額に冷たい物が流れる...


なんとかよじ登って一息ついてると


「城二ここは中々楽しめるアトラクションだ」


目の前で真白が拳を握って流星眼をキラキラと輝かせている...もう好きにしてくれ...


その後も俺の説明をあえて無視してるのか次々とトラップを発動していく真白...


時に天井が落ちてきたり、時に丸い大きな岩が背後から迫ってきたり、時にガス(毒ではなく睡眠ガス)が充満する部屋に閉じ込められたり...


真白は楽しそうだが、俺は死にそうなんだけど...


もはやトラップの解説を諦め真白の発動するトラップへの対処に集中する事にして俺達はトラップ全発動という全く意味の無い方法で二階層を突破?した




残り3階層...


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