目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第4話 勧誘はお断りします

放課後に呼び出された東光高校の修練場にて待っていた魔刑部の副部長、天草先輩からの安っぽい挑発に乗ってしまい大勢の部員を前にして試合をする事になった


俺に対し油断していた天草先輩の僅かな隙を突き、まぐれで一撃入れる事が出来た俺


いつの間にか修練場に現れていた皆川先生と九鬼部長が俺に向かって手を上げ勝ち名乗りを上げる...


俺の元にやって来た九鬼先輩は流石は真白と肩を並べる程の実力者...一瞬で俺の背後の4聖獣白虎の存在に気付いてしまう...


そして九鬼部長は俺の方へと右手を差し出し


「北野 城二君、改めて君を我が校の魔刑部へと勧誘したい!」


しかし、俺の出した答えは...


「あ、それはお断りします」


「「「ええええええええええええ!?」」」



・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・



魔刑部...刑の修練と神視の練度向上、そして修練の成果を競う為の部活動


神視ブーム以降で、効率化された神との交信(リンク)向上の為の修練方法「刑」


その刑の修練をさらに突き詰め研ぎ澄まし研鑽した結果を武術競技にて競い合う...


それが魔刑部...


全国の中学校以上の学校で導入されてる部活動は広く一般にも認知されており、季節ごとに全国大会も開催される


選手の層は学年では無くランクと呼ばれる階級制になっており、各階級毎に試合が組まれる


ランクによる層分けは試合における実力の差を少なくする事で、お互いに研鑽し高め合える機会を増やすという事を目的としているのだ


ランクは上がAで下がD、A以上は実力無制限なので毎年白熱した戦いを繰り広げており、メディアに最も注目される階級となる


逆にDランクは初心者クラスであり注目される事は殆ど無い...だが誰もが最初はDランクから開始し大会で結果を残す事でランクアップして行くのだ


そして今俺の目の前に居る九鬼 可憐は東光高校のエースであり全国に名を轟かすトップ層の選手だ



「ちょっと待て!本気か!?東光高校の魔刑部へ勧誘されるなんて滅多にない事だぞ!?」


九鬼部長が面食らって慌ててる...


「イヤイヤ普通に考えて、勧誘するなら俺じゃないですよね?秘境テストでも断トツの一位になってる義弟の尊の方でしょ?何で俺なんですか?」


俺の言葉に天草先輩は納得している様で顎に手を添えウンウンと頷く


「いや...だが顧問の皆川先生も君の事をだな...」


俺は九鬼先輩の口から名前の挙がった皆川先生の方を向くと


「北野...お前は今よりも強くなりたいと言っていたじゃないか?そのために我が魔刑部は最適だと思うのだが」


確かに此処には元退魔特殊魔刑部隊長である皆川先生はじめ真白と同等いやそれ以上かも知れない実力者である九鬼先輩、それに次ぐ実力者の天草先輩も在籍していて共に研鑽する事が出来れば今よりも力を付ける事が出来るかもしれない...だが


「確かに僕は今よりも強くなりたいと思ってます...だが、やはりこの部には義弟の尊が入るべきだと思います」


「ではこうしよう、君が我が魔刑部に入部してくれたら同時に君の弟である北野 尊君も勧誘しようじゃないか?そしたら君の要求も叶うのでは無いか?」


俺の決意の固さを知り、別の方向のアプローチをする為の代替案を提示する九鬼先輩


「申し訳無いです、これは家の事情になりますが俺と義弟はお世辞にも仲良く出来てる訳じゃ無いのでとてもじゃ無いですが同じ空間に居てもお互いに息苦しいだけなので二人での入部は遠慮します」


俺の回答に困惑しているのか3人は集まって何やら相談を始めた...


『なぁ城二、あの九鬼とかいう娘は真白以上の実力者だぞ...天草とかいう男女も中々だあの二人と併せの刑が出来るなら、あの化け物じみたお前の弟とも張り合える様になるかもしれんぞ?』


3人からだけでなくトラ迄俺の事を煽ってくる...だが皆は解って無いんだ


この世界の主人公は北野 尊であって真に強くなるべきは俺では無く尊だ、でなければラスボスに挑む迄に十分に力を付けれないまま敗れてしまい...そうなるとこの世界は...


実の所この魔都東京1999のゲームの世界にバッドエンドは存在しない(城二の境遇は別として)例えラスボスに限らずバトルで勝てなくてもレベルや経験値を引き継いで、オートセーブポイントからやり直せるのだ


つまり負けるたびに強くなり何時かはボスに勝てる...


そんなバトル初心者には優しい作りになってるので破滅の世界というのは基本存在しない


だが今俺が居るこの世界はどうなのか?尊がラスボス...いや途中のボスにでも万が一負けたりしたら...尊以外の俺達はどうなる?


そんな事を考えていると、皆川先生が俺の元へやってきて


「まぁ直ぐに答えを出さなくても良いから良く考えてみてくれ」


(私はお前の目的に力を貸したいんだ...このイヤリングに掛けて...)


先生は俺の耳元で俺にだけ聞こえる様にそう囁くと、九鬼先輩と天草先輩を伴い部員たちの元へと去って行った


「帰るかトラ...」


『本当に良いのか?お前にとっても強くなれるいい機会だと儂は思うがな?』


「良いんだ、俺は別に尊に勝ちたい訳じゃないこの世界で生きていける強さ、真白との楽しい学園生活を守れるだけの強さを手に入れたいと思ってるだけだ、決して誰かを傷つけたい訳じゃない」


『ぬるいな、お前がその様な立ち位置に留まれると思うか?土童子の言葉『メメント・モリ』儂は西洋の引用は分からぬがこの言葉だけは妙にしっくり来た...』


「あぁ先生が土童子から言われたって言うアレか...この間の偽神の件と言い何かの意思で俺を世界から排除しようとしているのかもな」


『(特異点...お前は何れ知る事になる...その言葉の意味を...その時城二お前は...)』





























この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?