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第7話 最強 対 最強



〇———————————昼休み時間の屋上




「私と試合え」


九鬼先輩は腰に手をあて指を差す...


「あぁ、お前だ雨宮 真白、私と城二を掛けて試合え」


キョトンとしながら自分を指さす真白


「ん、普通に嫌」


ですよね――――


「ふっ...現人神とか言われても所詮は小娘...その親友とか言ってつるんでいる城二も大した事ないな...気が削げた今の話は無かった事にしてくれ」


九鬼先輩は手をプラプラと振りながら屋上から出て行こうとした...が


「待て...城二を馬鹿にしたお前...ゆるさん」


俺の目の前に立って居る真白は背中しか見えないが心なしか水色の長い髪がユラユラと揺れている様に見える


「馬鹿に等してない、程度が知れたから興味が失せたと言っただけだ」


「城二の底は私でも覗けない...お前みたいな小者に知れる訳がない」


ん?俺の底?なんの話をしている?


「アハハハ、だったら自慢の流星眼も大した事ないな...」


!?


「ちょっ!!いい加減にしてもらえますか!!俺の事を馬鹿にするのは勝手ですが真白を馬鹿にするなら許しませんよ!!」


「へぇ...許さなかったら何だ?」


九鬼先輩の纏うオーラが鋭さを増す...『城二ヤバいぞ、儂を開放しろ!!』


「九鬼無刀流 火の型...鬼火おにび


「びゃ!?」


言われた通り白虎を呼び出そうとしたが、九鬼先輩の放った鬼火のスキルで俺の手にもっていたメロンパンは真っ黒な炭になって崩れ落ちた...


「磨けば光るとは思うが、今この時点では、くすんだ只の石ころ...この私に敵う訳もない」


「水の型、水蟷螂みずかまきり


真白がすかさず九鬼部長へと水のスキルを放つ...三日月の様な水の刃が九鬼部長の頭部を狙う...


「真白やめろ!!怪我させちまう!!」


「下らん...ふっっ」


九鬼部長は炎を纏った右腕で真白の放った水の刃を弾き軌道を逸らす...


パッサッ...


軌道を逸らした際に九鬼先輩の長い黒髪が数本切断され屋上に舞う...


「私に一撃かすらせた奴は久しぶりだ...面白い...」


「火トカゲ女...試合してやる」


「真白!?」「マシロン!?」


真白の言葉を聞いて口角を上げニヤリと笑うと...


「良かろう、放課後に学校の修練場へ来いそこで北野 城二を掛けて試合だ...お前が勝てば魔道部は今後一切お前等に関わらないと約束する、しかしお前が負ければ...」


「城二が魔道部に入る...」


「!?」


勝手に俺が賞品にされている...嘘だろ...


「あぁそれもだが更に追加だ、城二も入るがお前等も入るんだ我が魔刑部に」



「はぁ?へぇ?まさかアタイも?」



天音さんは自分を指さし戸惑っている...とんだトバッチリだ...


こうして放課後に我が校最強の2人が試合形式で雌雄を決する事になった...



〇——————————————放課後 魔刑部修練場



何処から聞きつけたのか、修練場には大勢のギャラリーが集まっていた...俺と天音さんはと言うと...


「ねぇ城二っち...なんでアタイらこの席に座ってるの?」


居心地悪そうに俺の方へ小声で話しかけてくる天音さん...


「ちょっ...俺に聞かないでよ...」


俺達の席は、学園長である光宗 友蔵みつむね ともぞうの横に設けられていた...


〇光宗 友蔵 年齢不明 東光高等学校 学園長他にもいくつかの学校法人を運営する


容姿は短く切り揃えられた白髪と長い眉毛で目元が隠れており表情は読み取れない、同じく白髪の長い髭を蓄えており細身だ、これぞお爺ちゃんをそのまま形にした様な人物だ


ゲーム内で登場するのは、各学校行事の挨拶時と皆川先生を学校に勧誘した時のエピソード中に少し描写される程度...ただ説明の中で政府の特殊部隊である退魔特殊魔刑部隊への資金支援をしている事が書かれており、それなりの政治的な影響力を持っている可能性もあるのだろう



何れにしても、今は大勢のギャラリーの視線を背後に感じつつも試合の行く末を見守る以外にない...


目の前の武舞台には水色を基調とした道着を身に纏った真白と同じく赤を基調とした道着を身に着けた九鬼先輩が中央で対峙している


審判には皆川先生が入る様だ...他にも武舞台の四隅には体育教師やサッカー部顧問、何故か音楽教師に美術部の顧問まで臨時の陪審に駆り出されたポイ...学園最強の2人が試合うとは言えモノモノし過ぎないか?


そんな風に疑問に思いながらも皆川先生が両者の間に立ち双方を中央に呼び寄せる...


「では、これより九鬼 可憐対、雨宮 真白の非公式の練習試合を始める」


「なおこの試合は5分1本勝負、ダウンを奪うか「まいった」の宣言にて勝敗を決する尚、延長は無し判定は...4聖獣白虎が独断で行う」



ザワザワ...ザワザワ...


皆川先生から白虎の名が上がり会場中がざわつきだす...当然だ神視レベルが白虎を視認できる域に達してる者は恐らく今武舞台に立つ2名と、白虎より認められた俺を含めた一部の人間だけだ...


「では、北野 城二...審査判定を行う4聖獣白虎を降ろしてもらえるか?」



ザワザワ...ザワザワ...ザワザワ...


皆川先生が放った一言に会場だけでなく陪審に詰めていた先生たちも驚きの表情を見せる...


「どうした?北野、早く呼び出してくれ試合が始められん」


やられた...この場の大勢の衆目に俺が白虎と仮とは言え契約してる事実を見せつけ、昨日の噂話にさらに爆薬を投下しようという策か...武舞台からこっちを見ている九鬼先輩の勝ち誇った様な表情...




「全て、お前の入れ知恵か...白虎ぉぉぉぉぉぉ!!!!」




俺は席を立ちあがると、ぶつけようの無い怒りを込め修練場の天井目掛け白虎の名を呼ぶ


『ククク、儂を侮ったな...貴様が何時までも表舞台に上がろうとしないのでな、そこの武者娘と一つ取引したまでだ...ククク』


修錬場の奥...俺の対面になるように身の丈8メートルはあろうかという白黒斑模様の大きな虎が姿を現す...


「ふふ...これが4聖獣...さすがに4門の一つを守ると言われるだけあるな」


「ん、その姿久しぶり寅之助」


「くっ...このプレッシャー(威圧感)..この私が意識を保つので精一杯とは...」


余裕そうな九鬼先輩と真白の間で苦悶の表情を浮かべる皆川先生と4角で陪審を務める他の教諭...しかし横の天音も学園長もトラの威圧に気をされる事も無く普段通りだ


「ほえぇ――――トラちゃんてばあんな大きな猫チャンにもなれるんだ」


普段通りとは言え本来の姿のトラには多少の驚きは見せる天音さん


「ほっほほ...白虎とな...珍しいモノを見せてもらったわい」


学園長はボソボソと独り言を言っているが小声すぎて聞き取れない...周りの喧騒がうるさ過ぎる


それもそのはず観客席や武舞台袖は阿鼻叫喚である...気絶する者や体調不良を訴える者が相次いで他の詰めていた教職員がその対応に追われている...


このままじゃ試合処じゃない...仕方ない...


「白虎!!!会場内の人に神格で威圧するのは止めろ!!」


俺は白虎に向かって怒鳴り命令する


『やれやれ...つまらんな、まぁ良かろう宿主の命令だ』


すると、会場で体調不良を訴えていたギャラリーや野次馬の状態が落ち着いて来て徐々に回復している様だ


すると又会場中がザワつき出す...


「では改めて!これより九鬼 可憐対、雨宮 真白の非公式練習試合を開始する、両者前に...」


「礼!!」


真白と九鬼先輩は綺麗なお辞儀をして再び距離を取る


「では、はじめ!!」






神衣かむい火之迦具土神ひのかぐつち」「神衣綿津見神わだつみ


















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