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第12話 部活参加初日


〇———————————城二の自室


「て感じで、トラは真白の勝ちに判断したんだと」


『ん、まぁ周りにどう見えていても私が負けたと思ったから負け』


先に帰ってしまった真白のご機嫌伺いと、その後に知ったトラの真意を伝える為にテレビ電話で会話中だ


「つか真白のベッドの所に飾ってるのって俺の描いた絵か?」


真白がテレビ越しに振り返り背後の絵を確認すると、コクコクと頷いてニコッと笑う


『ん、私の宝物だネズミ子と真白のスペシャルコラボ絵、題名は白ネズミ子だ』


「勝手に題名付けんなよ、ってまぁ最近の真白にしてはセンス良いじゃねーか」


『はぁ?私は何時もセンス良い』


真白はマジでたまに訳の分からない所でツボるからな...前も炭太郎がくしゃみした時の口の形にツボってたもんな...俺の推しは読めねーぜ


「ところで、明日から魔刑部に行く事になったけど真白は家族にはちゃんと説明したのか?」


『ん、言った喜んでた』


「お、本当か!じゃ結果オーライかな天音さんも無理やり勧誘されず済みそうだし」


『でも城二は入るの躊躇ってた』


「あ、あぁ...まぁ本当言うと義弟に入って欲しかったんだけど、本人が入部拒否してるんじゃ仕方ない」


『そっか』


「真白も明日から頑張ろうぜ」


『おう』


「所で、今日シャンプーの発売日だったろ、俺買い忘れてよ―――明日置いてるかなぁ――」


『ふふふ、ジャ―――ン』


真白は俺に見える様に今週号のシャンプ―を見せてきた


「おぉぉ良いなぁ―――」


『フフフ、私も未だ見て無いから画面越しに一緒にみよう』


その後、真白は胸ポケットスマホを入れカメラをシャンプーに向け俺にも見える様に調整してくれて内容について感想を言い合いながら楽しくジャンプ―を読むことが出来た


『これは新しい友読みの方法を発見』


「うっぷ...あ、あぁでもこれ...酔うな...うっぷ...」


『?』



画面越しに漫画のコマを読んでると偶に真白の大きすぎる胸が揺れるたびに画面が振動し、集中してる分、画面に酔ってしまったのだった...


こうして真白の発見した「新友読みスキル」は半永久的に封印する事となったのだった...



〇———————————2年1組教室


朝はキチンと道代さんの作ってくれた朝食を頂き、学校へと登校する

それと本日から放課後は魔刑部の部活へと参加する予定だ、当然道代さんにもそう伝え


「でしたら、栄養のつくものを晩御飯に用意しますね♪」


と、有難いねぎらいを約束してくれた


相変わらず俺が登校してると、何時もは嫌悪と軽蔑の籠った目で見られるのだが、今日はどことなくよそよそしい感じで俺の事を避けてる感じの視線が多く感じた


それは教室に入っても変わらない...みんなチラチラと俺の方を見ては視線が合いそうになると逸らす


そんな繰り返しの中元気な声が聞こえる


「おっはっよ――――!!城二っちぃ―――イイェ―――イ♪」


「城二君お早う」


「天音さん翠さんお早う」


どうやら翠さんもあの会場に来ていた様で俺が非難されてる時、俺の正しさを周りの人に必死に訴えてくれてたみたいだ...まぁ翠さんもトラが視認出来て声が聞こえる数少ないメンバーの一人だからな


「おいっ―――す北野」


「北野君お早う、昨日は大変んだったみたいだね」


「藤堂と葛西か、お早う」


藤堂は観客席には座っておらず、大男3人が出て来たのと真反対の扉付近で観戦していた様だ...丁度トラの真後ろ辺りにいて見つけられなかったらしい


まぁ大方天音さんを真正面から見つめる為なんだろうが、その健気な思いも白虎という大きな猫に阻まれ天音さんの視界にも入って無かった様だ...まぁこれは可哀そうなので言わないでおいてやろう


葛西の方は家の用事とかで、放課後直ぐに帰宅しており試合が有った事を知ったのは家の用事の後のクラスメンバーのグループチャットかららしい(ちなみに城二はクラス中の皆に嫌われているので、天音さんや藤堂からの友達招待を断っている)



そんな中、視界に入れたくない奴が挨拶に現れる...


「や、やぁお早う城二君...き、昨日は活躍だったね...」


「......」


先ほどまで天音さん達と話していた和やかなな雰囲気から一変し、冷え切った目線を元取り巻きに向ける...


藤堂は俺の表情から察してくれた様で、小さく苦笑いすると天音さんと翠さんと葛西を連れて俺の席から離れてくれた...


「あ、あれぇ?藤堂達とはもう良いの?いや、なんか最近藤堂や天音ちゃん達と仲良いよねーあ、そうだ今度皆でカラオケでもどう?店予約するし」


「......」


「あ、あのぉ―――城二君?」


「なぁ、いい加減その臭い口閉じろよ...テメェ俺が見て無かったとでも思うのか?ワリィーが俺は俺や俺の友達に向かって暴言吐いた奴の顔は秒で記憶出来んだ...なんだっけ?「先輩そんなクズなんかぶち殺して下さいぃぃ!!」だっけか?」


「あ、いや...それは俺じゃなくて...」


「殺して下さいって事は自分が殺されても文句はねぇよな?」


「ヒィィィィ」


元取り巻きの男子生徒は椅子や机にぶつかりながら、逃げる様に教室から飛び出して行った...


(どうせ同じクラスなんだから戻ってこなきゃだろうに...アホだったか、やっぱ縁を切って良かったな)


元取り巻きは、皆川先生の背中に隠れる様にして教室に入って来るとコソコソと自分の席へと座りチラチラと此方を伺う様に視線を向けて来た...


「はぁ~北野...その辺んにしてやれ」


皆川先生は状況を正確に把握すると溜息交じりにそう告げる


「しかし、誰かの影に隠れての罵詈雑言は感心できんな...皆も言いたい事は面と向かって言う様に、この件は此れまでだ、出席を取るぞ、青木...」


教壇の前で名簿を見ながら出欠を確認していく皆川先生の事を眺めながらこの先の事を考えていた...


『何を悩んでいる』


(トラ、授業中に出て来るなよ!)


『どうせ、自分より弟の方が才能も実力も有るから魔刑部?だったか?あの武者娘と修練をするべきは自分じゃないとか考えているのだろう』


(そんな単純な話では無いさ...)


『お前は前世の記憶を持ったまま今を生きる世にも珍しき人類だ...かつて我等四聖獣を使役していた大陰陽師 安倍 晴明ですら前世来世と夢を描きつつも、ついにぞ実現出来んかった』


(安倍晴明とはビッグなネーミングを引き合いに出したな、そんな伝説と比べられてもピンと来ないぜ)


『まぁ聖獣白虎のお墨付きだ、お前は今より強くなる...いや、強くならざるを得ない...』


(?強くならないといけない?どう言う意味だ?)


『何れ解る...今儂からいう事は出来ぬ...だが今の儂の言葉を信じるか信じないか...すべてはお前の判断だ』


其れだけ言うとトラは再び俺の足元の影の中へと消えて行った...



―――――――そして、放課後



「今日からお世話になります、2年1組 北野 城二です」


「ん、雨宮 真白」


俺は真白の頭を押え一緒に頭を下げる...


「フフフ、ようこそ東光高校 魔刑部へ歓迎しよう、改めて私は部長の九鬼 可憐だランクはAランクだ」


「僕も改めて自己紹介だね、副部長の天草 小百合だよランクはBだよ、今日から宜しくね」


それから、他数名の部員の人達の挨拶が終わり...


「やはり池上は難しそうか...」


九鬼先輩は俺達の方を見渡しながら尋ねる


「そうですね...天音さんは華道池上流の表千家の一人娘ですしね」


「天音は昨日メッセージで部活行きたい―――って送って来てた」


「池上の家の事情は把握してるだから皆川先生も仮入部としたんだろう、まぁタイミングが合えば顔を覗かしてくれるだろう、まずは準備運動からいくぞ!!」


それから準備運動ということで、軽くストレッチした後で学校のグラウンドを軽く10㌔ランニング、その後腕立て腹筋スクワットをそれぞれ100回程度こなし、短距離のシャトルダッシュ...


約2時間かけてそれらをこなし、いよいよ魔刑部としての練習へと入る


「では、2人1組になって併せ刑を1時間...城二お前は初めてだな...最初は私が相手してやろう」


九鬼先輩が俺の元へとやってきて肩をポンポンと叩く...肩に掛けられたタオルで時折汗を拭っているが長い黒髪をポニーテールに纏め上気してほんのり桜色にそまるうなじが妙に色っぽい...それに仄かに石鹸の良い匂いが漂ってくる...


!?いやこれは逆に俺の方が汗臭いのでは!?


慌てて自分の運動着の生地の匂いを嗅いで確認する...


「あははは、気にするな汗の匂いは努力の証だ恥ずかしがる事は無い」


見透かされ恥ずかしさに目線を逸らすと、天草先輩と併せ刑をしようとしてる真白と目が合ってしまいプイとそっぽを向かれてしまった...



「?何だ?小百合と雨宮が気になるのか?心配するな初心者にも分かり易く教えてやる」


...この先輩は鋭いのか鈍感なのか良く分からない



そんな事を思いつつも、目の前の九鬼先輩との併せ刑を始めるのだった...






















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