〇———————————東光高校 魔刑部修練場
魔刑部の部員達は、其々がペアを作り他と間隔を開けてから併せ刑を開始した
真白はというと副部長の天草先輩とペアを組んだ様だ...
「おい、城二聞いてるのか?他に気を取られてる場合か...ちゃんと説明をだな...」
「あ、大丈夫です併せの流れもマントラ(真言)も知ってます、早速お願いします」
「ふむ...」
少し態度が横柄だったかかもしれない九鬼先輩の表情に不満の色が見えた...
「では行くぞ、臨!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「前!!」
最後のマントラも九鬼先輩とタイミングバッチリで併せる事が出来た...
「「「おぉぉぉぉ」」」パチパチパチ♪
いつの間にか、他の部員が俺と九鬼先輩の併せ刑を見学しており、終わった時点で歓声と拍手が沸き起こる
俺がどう言う状況かとキョロキョロしていると...
「いやぁ―――初見で可憐と併せ出来る人初めてみたよ!」
「へぇ?」
どうやら俺の併せ刑の相手を九鬼先輩が買って出たのは、俺の今の実力を推し量る為だった様だ
「いや、私も正直驚いたよタイミング、呼吸、流れどれも完璧だ」
「恐縮です、実は以前真白に併せ刑に付き合ってもらった事がありましてその時にコツを掴めたんで上手く行ったんだと思います」
「成程、だが流れとコツが掴めていても呼吸とタイミングは人それぞれ、私もこんな気持ちの良い併せ刑は初めてだ...いや、もしかしたら城二と私は相性が最高に良いかもしれんぞ」
!?
急にどんでも無い事を言い出す九鬼先輩...背後からは何か変なプレッシャーが...
「城二は赤トカゲ女より、私との方が相性が良い私ら親友」
「今度は私と城二が併せる見ておけ」
そう言うと無理やり俺の手を引き、周りと距離の取れる場所を確保すると
「ん、城二 裏マントラでいこう」
「はぁ?いや、お前アレはだな...」
俺の制止も聞き入れず真白はワダツミを神纏いした...
「ゴチャゴチャ煩い...行く...臨!」
「くっ...しらねぇぞ!臨!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
「「業!!」」
周囲に神圧を撒き散らしながら、裏のマントラが終了した...
「はぁはぁはぁはぁ...」
「フゥ――――みたか城二と真白のが相性抜群だった」
しぃ――――――ん
九鬼先輩も天草先輩も目を見開いた状態で固まっており、他の部員も口を大きくあけて呆気に取られていた...
「あ、あのぉ~如何され...」
「何だぁぁぁ!今のは!?裏マントラ!?この私も初めて聞く併せ刑方法だぞ!?しかも通常の併せの3倍...いや10倍近い効果が出てるじゃ無いか!!!」
「ボクも見ててゾクゾクしちゃった...神纏いした状態で併せするなんて発想ぜったい思いつかないよ!」
其れから九鬼部長の計らいで、併せ刑の修練は一旦中止で急遽、講師 北野 城二による裏マントラ、通称裏カルマ法を皆に解説する事となった...
〇
「ですから、マントラ(真言)を裏のマントラにまず置き換え臨・兵・闘・者・皆・陣・列・前・業に置きなおし在(力の内包)から業(力の解放)へと昇華させる事で本来であれば自分の内側に干渉する神纏いの力を相手の体内へと送り出す事が出来る様になります」
俺は用意されたホワイトボードに九字真言と解説絵を織り交ぜまながら皆に説明をしていた
「はい!城二先生」元気よく手を上げたのは体育座りしている天草先輩だ
「はい、どうぞ天草先輩」てか、何で城二先生?皆川先生が職員会議で部活に顔を出して無くて助かったぜ...
「併せ刑は神視が上位の方には殆ど恩恵が無いのに、裏マントラだと何故効果が出るのですか?」
「そうですね答えとしては先ほどの説明に重複しますが、通常の併せであれば力を通しても神視上位の者の力が神視レベルの低い側を流れて戻ってくるだけですが、裏マントラは神纏いをする事で神の力すらも循環させ自分に戻って来ます、ですが先ほどの話で神纏いや神衣は本来、自分の中で内包する力ですそれが併せ刑の循環によって外から流れてくると、器である人体に一瞬だけ高負荷がかかり、それにより痛んだ箇所を修復しようとする人体の超回復により、以前より強い状態に成長する...そういう原理です」
「あと、神視下位の者が神纏いしてしまうと、身体に入って来た神の力が自分の中の神の力と打ち消し合って数値の変動が発生し受け流せなくて普通に攻撃された事になり自滅してしまいます、ですので神視下位側は神纏いせずに併せる事が厳守事項です、あと受ける側のペナルティとして相手の神の力を体に流す為、自身の契約神とのチャクラ(血脈)を塞いでしまうので、666分...11時間6分、約半日は神を降ろせなくなります」
しぃ―――――ん
あれ?なんか皆またポカーンとしてる...俺おかしな事言ったか?
「城二...お前なんで大学で学ぶような高度な刑の原神理論を知ってるんだ...それに裏マントラなんて新たな併せ刑の方法や...実証理論も恐らく世界初だぞ...」
(しまった!ゲームの攻略について教えてくれと言われてオタク魂に火が付いてしまい、余計なことまでベラベラと話してしまったぁぁぁ)
「ん、城二は凄い私の自慢の親友」
何故か俺の横に立って自慢げに胸を反らす真白...
「ま、まぁ皆さんあまり深い事は考えず、裏マントラは東光高校魔刑部秘伝の修練という事にしておきましょう...」
「「「......」」」
「まぁ...城二本人がそう言うなら私は構わんが...」
「ボクも良いと思うけど、北野君本当に良いの?これ大学の研究学会とかで発表したらきっと凄い大反響を呼ぶよ?それこそ地位も名誉も」
「あ、あははは...そ、それは惜しい事をしたかなぁぁ――――あ、ははは」
皆からは懐疑的な目を向けられたが、九鬼部長と実践した裏マントラを否定する者は居ないむしろ自分達も取り入れより高みを目指そうとする意欲すら感じた......一人を除いて」
――――――――――。
「よし!今日は此処までぇ!皆城二に今日初めて聞いた割に上手く裏マントラ...いや裏カルマだったな...出来たと思う、ただ受け側だった者は契約神との交信が半日後にキチンと出来る様になってるか再度確認しておく事、では解散!」
「「「有難う御座いました!!」」」
こうして部活初日は無事?では無いが終了した...俺しか男が居ないので一人修練場の用具室で着替えていると...
コンコン♪
(真白かな?)
「真白———もう少し待ってくれ――今片付け...」
ガチャ
「いや、もう少し待て...え?」