目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第32話 華神楽


〇アメノウズメの神域



俺はアメノウズメに見た目だけの美しさ以外の物が有る事を証明するために一つ煽ってみる事にした


「ここでアメノウズメ様に御相談なんだが...先程貴方に示した見た目だけじゃ無い美しさってヤツをこの場で証明したいんだが、どうかな?」


【何を言うかと思えば...そんな物どうやって証明する?】


アメノウズメの興味を引くことに成功した...


俺は天音さんに視線を移す


「??ん?」


天音さんは状況が呑み込めて無いのか自分の方を指さし首を傾げている


「心の美しさを顕現させる方法...活け花だ」


「にょぉぉぉ!?活け花ァァ?城二っちが?」


俺は首を振り天音さんを指さす


「ME?」


「YES」


「えぇぇぇぇぇ!?無理無理無理ィィ神様に認めてもらう様な活け花んなか無理ゲーだってぇぇ!」


天音さんは両手を振って無理だと俺に訴えてくる...


「天音さん、自分の感性を信じて」


「で、でも...」


俺は此方を不敵な笑みを向け笑っているアメノウズメの方を見ながら天音さん語りかける


「俺、あのカフェで天音さんの話を聞いた時、天音さんはきっと自分の未来を諦めるつもりなんだと勝手に思っていたんだ」


「え?」


「だけど、初めて魔刑部に参加した天音さんは何時も通り明るくて何かを吹っ切れた...そんな表情をしていた、その後で天音さんの決意を聞いた俺は心から天音さんを凄いと思った...天音さんは自分の意志で戦う事を選んだんだって...」


「自分の自由を勝ち取る為に...」


「ナハハハ...あちゃ―――照れちゃうなぁ―――」


天音さんは頭を掻きながら照れながら笑っている


「俺は天音さん...君の言葉に何度も助けられた...」


「え?私が?なになに?全然わかんないんだけど?」


「君は周りに流される事無く、自分の目を耳を...そして心を信じ俺を信じると言ってくれた...真白以外だれも俺の事を信じてくれなかった中、俺を信じると言ってくれた、俺は本心から君を尊敬し凄いと思った」


「城二っち...」


「だから今度は俺が君の事を信じる番だ...アメノウズメは天音...君を依り代に選んだんだ、このまま神域に囚われえたままでは何れ肉体が耐え切れず戻るべき体を失った君の魂はアメノウズメに取り込まれ存在自体が消えてしまう...この神域から脱する為にも、君という存在をアメノウズメに示すんだ、君の自由への渇望と奔放な生き方を活け花という表現を以て...」


「アタシが...アメノウズメ様に...出来ると思うの?」


「あぁ君にしか出来ない...他の誰も信じなくても俺が信じる、俺自身の目と耳と...心でそう判断した」


「...分かった、アタシ...やってみる!!」


そうサムズアップした天音さんに俺は笑顔で頷いて見せた...


「そうと決まったら、花たちを選んであげなきゃ」


そう言うと、天音さんは神域の中に咲いてる色とりどりの花を一つずつ見て周り時に話かけていた...


【フフ、意志を持たぬ草花に語り掛けて何になる...面妖な】


アメノウズメは笹の枝を口元にあて、天音さんの行動を見てニヤニヤと笑っていた


「まぁ今の貴方には分からないだろうね...でもきっと判るさ...直ぐにな」


(そう、あの時に見たあの天音さんの眼...あれは...)


俺とアメノウズメが見守る中、天音さんは自分の思い描いた花を手に取り用意された剣山と鉢に花を活けて行く...


遠目から見ていても、その姿は神かかっており周囲には、花がそよぎ舞い散った花弁が彼女を応援してる様にも見える


華神楽はなかぐら...」


【馬鹿な、何を言うかと思えば神楽などと...それは妾が荒魂を和魂に鎮めるための神秘の舞、かの様な花遊びと一緒にするな】


「...黙って見てろ...」


【なっ!?神に向って見てろとは!?不遜、不敬...貴様はあの娘を依り代とした暁には、手始めにその魂まで虜にして嬲り遊んでくれる!】


「......」


(天音...見せてみろ君の感性と感覚と自由を望む渇望を)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


「......出来た...出来たぁぁぁぁ!!」


「出来たか...」


【ようやく出来たか...無駄な時間を過ごしたな】


「にひひひ、ブイ!」


天音さんは俺に向って満面の笑顔でブイサインをして見せ...そして背後にある渾身の活け花を俺たちにお披露目した...


「これが...」


【・・・・・・・・】


赤い花を土台に白い花を織り交ぜ蕾のままの水仙を所る何処に配置し中央には黄色い野菊を荘厳に盛り付けた見る者を圧倒する造形だ...


芸術に疎い俺ですら体の奥から歓喜に振るえるのを感じる...そして訳も無く涙が零れる...


「感性、自由、愛情、熱意...そして激流の様な渇望...」




「うん、これがアタシの今の全て...今の想いを全て込めた活け花「神の楽園」だよ」
















この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?