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第44話 神滅の力



〇放課後 東光高校 第一会議室(大会議室)


放課後、部活動を全面中止とし学校から生徒を強制的に帰宅させ大会議室に集められた、藤堂の件における関係者達


会議の進行は皆川先生は務める...


先生は時系列的に事実関係を関係者に確認取りつつ、事件の概要を一通り説明していった


「まず、先週の金曜に池上の家の前に現れた時は猿田毘古と契約していたかの確認は取れて無いんだな?」


「はい...だけど...」


俺が横に座る真白に視線を向けると


「ん、雨宮の調査によると何者かが雨宮の管理する修練場に侵入したと言う事が分かってる」


「その侵入者は、望遠の写真だけど76%の確率で金髪猿と一致してる」


「その侵入者が修練場に隣接してるBランク秘境に不法に侵入しそこで猿田毘古と契約した...と言うのが調査結果、ただし証拠となる映像は何も残って無い」


「そして昨晩そのBランク秘境は跡形も無く消滅てしまった...原因は不明」


秘境前に設置されている監視カメラにも捉えられえて無いと言う...そして秘境の消滅...そんな事有り得るのか?


高虎さんをチラッと横目で確認すると汗を拭いながら、申し訳無さそうに俯いていた


「消滅した秘境の件は国から管理を委託されてる雨宮家に任せるとして、昨晩の九鬼家の管理するBランク秘境での事を聞かせて貰えるか?」


皆川先生は九鬼先輩へと視線を送ると...九鬼先輩は静かにその場に立ち上がる...


「解りました、ではまずこの秘境についてですがこの秘境は私が契約してる火之迦具土神の神域と繋がっている秘境になります」


「私はこの秘境で、ここに居る北野君の指導を行う為に、昨晩二人で挑みました」


「そして、北野君が秘境ボスを討伐し最深部へと到達し目的を達した所で帰還しようとしたとき、2体の偽神が襲撃してきました」


偽神と言う言葉に、先程から会議の内容についてこれず眼を泳がしている教頭が口を挟む


「く、九鬼君その偽神は元々その秘境内に存在していた個体なのか!?」


九鬼先輩は話を遮られ少しだけ不機嫌な表情を見せるが...


「いいえ、私が火之迦具土神の神域へ至る際に秘境内の偽神は全て討伐済みです...そして現れた個体は私も見た事無い形態の偽神でした...北野」


俺は、会議が始まって直ぐに九鬼先輩に頼まれ、秘境内で遭遇した偽神2体のスケッチを皆川先生へと手渡す


「これは...私も前職通じ見た事無い個体だな...退魔特殊部隊のデーターベースで照合して貰おう...」


皆川先生は会議室に設置されてる複合機から、暗証番号を入力し退魔特殊部隊の情報局へと画像データを送信した


「結果は直ぐにメールで返信が来ると思うが...ん?早いな...やはり退魔特殊部隊のデーターベースにも該当する個体は無いようです、新種ですね」


確かに俺も初めて見る形態の偽神だった...それに...


「でしょうね、その個体には個体名が有ったようですし」


「なに!?個体名だと?」


「はい、これも初めてのケースですが、その偽神を指揮していたのが...藤堂でした」


「「!?」」


会議の場に居た大人達は学園長以外全員が驚愕の表情を見せる...高虎さんに関しては顔面蒼白だ


「ど、どどどどういう事ですか!?九鬼君!?藤堂君...いや人間が偽神を操る!?そんな話...」


「私も未だに信じられませんが、藤堂が私を攻撃する際に私と対峙していた異形の偽神に向って「ガルム」と名を呼び、私を抑え込む様に指示していて偽神もその命令に従っていました」


バッン!!教頭は少し薄くなった頭から滝の様な汗を滲ませながら、机を強く叩き俺の方を指差す


「北野!お前はどうんだ!?お前はその時の事を見ていたのか!?これは大事な事だぞ!人類が偽神と通じる等...人類への反逆だぞ!!しかも我が高の生徒からそんな大罪人が出たなど...他の保護者達にどう説明したら...いやそれより来年以降の受験生に影響が...学校の名誉にも傷が...とんだ犯罪者だ!」


明らかに小物な教頭が混乱しているのか、高虎さんの居る会議室の中で藤堂の事を大罪人と呼びだした


当然、高虎さんは何も言えず拳を固く握り俯き肩を震わしていた


「教頭先生、僕はその時、気を失っていて現場を見てません...ですがこの場で藤堂君の事を貶める様な発現は如何なものでしょうか?」


「その判断は警察の調査と司法の判断で決まる事であり、教頭先生が個人の判断で行っていいものでは有りませんよ?」


「実際に藤堂は重要参考人として警察が監視対象としてるのは事実でしょうが、逮捕状も出てない内に犯罪者呼びする事自体、学校側の対応に他の生徒の保護者の皆様に不安と不信感を与えると思うのですが?教頭先生の方こそ学校の責任者として軽率だと僕は思いますけど」


俺が席に座ったまま、小物の教頭に冷たい目線を向けながらそう告げる


「きっ貴様ぁぁ誰に向ってそんな偉そうな態度を取っているのか分かっているのかぁぁ!?貴様こそ北野家の粗大ゴミだろうがぁぁ!!」


「「「!?」」」


教頭の言動に九鬼先輩と真白の纏う空気が一変し、今にも神憑依して教頭に襲い掛かりそうな怒気をはらむ


「いい加減にしないかぁぁぁぁ!!!」


!?!?


今まで黙って皆の話を聞いていた光宗学園長が会場が壊れるのでは無いかと言う程の大声で怒鳴る


「が、学園長!?」


「教頭、先に皆川君が言っていたと思うがこの会議の内容は録音されておる...君の言動と北野君の言動...どちらが理にかなっているかPTAの皆さんや教育委員会の方に聞いて貰っても良いのだよ?」


「は?あぁ...ぁ...そ、それは...」


教頭は明らかに動揺しさっきまでの勢いは無い


「君はこの場に相応しくない、直ぐに出て行きなさい」


「い、いや...学園長...私は教員の長として...」


「出て行け...3度目は無いぞ?」


光宗学園長の長い眉毛の隙間から一瞬だけ覗いた鋭い眼光を見た教頭は...


「ヒッ!?ヒャァァァァ」


慌てて会議室から走り去った...


「皆さん学園の者が失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございません...藤堂様に対しても心無い言動心よりお詫び申し上げます」


そう言うと光宗学園長は高虎さんへ深々と頭を下げる...そして習う様に皆川先生も...


高虎さんは何も言わず自分も頭を下げた...


「皆さん申し訳ない...九鬼君話を続けて貰えるかな?」


九鬼先輩は黙って頷き話を再開する...


「その偽神の内、木人の様な個体は私が淘汰したのですが青い人面の個体...藤堂がガルムと呼んでいた個体の力は私と拮抗していました」


「神衣した九鬼と拮抗出来る程の偽神か...難敵だな...」


皆川先生は顎に手を置き考えている様なそぶりを見せる


「そして私が偽神ガルムに手一杯になっている横から、藤堂が私に向って神衣奥義を打ち込んできたのです」


「時哉が...そんな事を...」


「はい、藤堂は明確に私に殺意を口にしました...どういう経緯か解りませんが私が城二と恋仲に有ると勘違いして城二に精神的落胆を与える為に私を殺すと」


「...経緯は置いとくとして、その後どうなった?」


皆川先生の質問に九鬼先輩は俺の方へ視線を向ける...何か悩んでいる様な...そんな目で...


「それは...俺が...『まて、儂から説明する』!?トラ!?お前一体今までどうして!?」


いつのまにか、俺の足元から机の上に飛び乗ったトラ...


「わ、私にも白虎の声が!?」「私も聞こえる!?」


『この場に居る者に儂の声が聞こえる様にした...』


『まず、そこの黒髪の女教師この部屋の録音とやら言う音声を記録する装置を停止せよ...出なければ儂が破壊する』


学園長を見る皆川先生は、学園長は頷いた事を確認すると手元のリモコンを操作し録音を停止させた


『うむ、ではまず藤堂とかいう小僧の攻撃を凌いだのは、ジョウジだ』


「なっ!?俺?待て待て俺が神衣した藤堂の奥義を凌げる訳無いだろ!?現に俺は藤堂の攻撃で左手を失い脇腹に風穴...って?何で治ってんだっけ?」


『はぁ...もうよいお前は黙ってろ...この場でコイツの事を詮索するのは儂が許さぬ...お前等の為にもな...命が惜しいなら深読みはせぬ事じゃ』


「白虎様...」


『武者娘お前もじゃ...あの場で見た事は...今は忘れる事じゃ...だがお前等は何れ深く関わる事になる』


「寅之助...城二が攻撃を凌いだのは納得しないけど一応は分かった...だけどどうやって金髪猿を倒した?」



『こやつの...もう一つの力...メメント・モリの根源...神滅ゴッドスレイヤーの力だ』














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