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第45話 処遇


〇東光高校 第一会議室(大会議室)



俺が神衣した藤堂と藤堂に憑依した猿田毘古を退けたと言う話に、全員が俺に対し疑問を投げかけて来た...俺自身何が起きたのか全容を把握出来てないし、心域内で起きた事も実際記憶から薄れつつあった...


そんな時、今まで呼びかけにも答えなかったトラが姿を現し一同に向け「今は、深い入りするな」と釘をさした上で...


『こやつの...もう一つの力...メメント・モリの根源...神滅の力だ』


「神滅...ゴッドスレイヤー...私も初めて聞くが名前からして不吉な雰囲気しかないな...」


皆川先生は、トラの口にした神滅と言うワードが気にかかる様だ...が


「皆さん、この場は藤堂君の関わった事件についての話し合いの場です、白虎様の仰る通り、北野君の件は我々が今どうこう出来る事では無いと思います、当人である北野君が知らない事の様ですし...」


学園長はいつものボソボソというしゃべり方とは別人の様に、ハキハキとその場に居る全員んに会議の方向性が間違っていると指摘した


「学園長失礼致しました...では、改めて九鬼、神衣した藤堂の攻撃を間一髪で城二が凌いだ後の事を話してくれるか?」


可憐は黙って頷くと、再び口を開いた


「城二は藤堂の攻撃を凌いだ...いや消し去った後私と対峙していた儀神ガルムを触れただけで消し去り...藤堂と相対しました」


「消し去ったって...城二っち...あの秘境テストの時の儀神を倒した時みたい...」


天音さんが俺の方を向きピンクの流星眼を揺らめかせそう呟く


「その後、城二は神衣した藤堂をアッサリ制圧して、意識を失いその場に崩れ藤堂の後、城二も何か呟きながら倒れてしまいました」


「しばらくして、白虎の顕現した姿...先ほどから皆さんに見せてる姿此処では、城二の付けた呼称で「トラ」と呼ばせて頂きますが...トラが風のスキルを発動し藤堂と倒れた城二と藤堂を転送宝珠へと運び私が起動させ二人を秘境から外へ転送させた後、私も後に続き脱出しました」


「その後、待機していた九鬼家の車で城二を運び、藤堂は手配した救急車で応急手当を受け九鬼家の病院へ搬送...今に至ると言う訳です」


「...なるほど、北野君の事は置いといて、藤堂さん?時哉君の容体は?」


高虎さんは額の汗を拭いながら、緊張した様子で語りだした


「昨晩、警察立ち合いの元時哉の診断と治療が行われました...時哉は目立った外傷は無かったのですが...」


「無かったのですが?高虎オジサン?時哉は無事なん?」


言い淀んだ高虎さんに声をかける天音さん...


「時哉は...ここ1週間近くの記憶を無くてまして...家出したことや学校を勝手に休んだ事...そして北野君や九鬼さんを襲った事も...全く...」


『は?へ?な、なに言ってんだ...俺が城二や九鬼先輩を襲った?...あり得ねぇって...冗談なんか柄じゃねぇぞ?』


「........しかし、藤堂さん...それは時哉が虚偽を口にしてる可能性も...」


皆川先生は言いにくそうに高虎さんへそう返事すると...


「それは、警察の方も同じ様に考えた様で、退魔特殊部隊所属の精神カウンセラーの方に診断をしてもらいました...」


「で?結果はいかがでした?」


学園長は淡々と尋ねる...


「時哉は間違いなく、嘘は言ってないと...それと...」


「まだ何かあるのですか?」


高虎さんは拳を固く握り...苦しそうに言葉を続ける


「時哉の心域が...そっくり消えていた...と...この状態では神と契約するどころか、土着の地方神すらまともに視認する事は出来ないでしょう...と」


『.........』


トラは何か心当たりが有りそうだが、俺以上に秘密主義な奴が答えてくれるとは思えない...横で天音さんが口元を覆って泣きそうな顔をしている...


「そんな...時哉、小さい頃「父さんみたいに強くなるんだ!」って言って棒術の

稽古だけじゃ無く、神視の修練も一緒に凄く頑張って来たのに...」


天音さんの話を聞いて高虎さんは、より一層落ち込んでしまった


「皆さん一度情報を整理しましょう...皆川先生申し訳ないですがホワイトボードへ書記をお願いします」


「まず、藤堂君は先週の月曜に行方が分からなくなった、その後に雨宮家の修練場に現れたが、望遠の監視映像のみで確証は無い...その後、隣接するB級の秘境に不法侵入された形跡が有るが、映像等は残って無いので藤堂君かどうかは不明...ここまでは宜しいですか?」


学園長が一同を見渡し反論が無い事を確認し続ける


「金曜の夜、池上さんの家の前で藤堂君を北野君と池上さんが目撃した、そして昨晩に九鬼家保有のB級秘境の最深部に藤堂君が現れた...間違いないですね?」


「そして秘境内で儀神2体を指揮して、北野君と九鬼君を襲撃し、自身はサルタヒコを神衣して北野君を攻撃し瀕死の重傷を負わせた...」


「そして、九鬼君にも襲い掛かろうとした所で復活した、北野君に儀神ともども制圧され意識を失った、意識を失った北野君と藤堂君を九鬼君が病院に搬送」


「本日意識を取り戻した藤堂君は、事件当日どころか1週間以上前の記憶が失われており、尚且つ心域も消えて無くなっており、神視すらまともに出来ない状態...」


「という事で宜しいでしょうか?」


一同はお互いの顔を伺いながら、黙って頷き学園長へと視線を移す


「この会議内容につきましては、警察へ資料として提出させて頂きます、その上で東光高校として藤堂君の処遇を決定したいと思います...」


「本件について、本人の意思が有ろうが無かろうが、故意に人を殺害しようとした事は事実...よって司法の判断が正式に下る迄、藤堂時哉君を無期限停学処分とします」








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