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第53話 いきなり夏休み、魔刑部 大会前の強化合宿最終日


天音さんの博覧会から、あっという間に夏休みに突入し


残り1週間に迫った魔刑部大会に向け、今まさに学校で合宿中で本日が合宿最終日となる


「城二は、学校の裏山もう1周追加だ」


「はぃぃ―———」


皆川先生からの容赦ない練習メニューに身体が悲鳴を上げる...


『つり目女、城二を甘やかすな、1周など生ぬるい、後3周は追加じゃ』


「は、はぁぁ?テメエこのクソ猫ぉぉぉ!」


そして臨時コーチという肩書で、トラが特別に修練を監修している...(クソッ俺だけやたらスパルタだなっ!)


他の女子部員数名はランニングやストレッチを終え、体を冷やさない様に軽くウォームアップしながら、身体を休めている...そんな中、グラウンドの中央では...


「はぁぁぁ!」


「甘いわね小百合、無駄な肉が邪魔してんじゃない?」


九鬼先輩と小百合先輩の素手による実践組手が行われている...


先程まで真白と天音さんが組手をしていたが、組んだ瞬間に天音さんが投げ飛ばされ天音さんは今救護のテントで、横になり頭を冷やしている最中だ


他の女子部員も数名、組手をしていたが、小百合さんのあまりに熱の籠った組手に手を止め魅入ってる...(城二は裏山の中を爆走中で、その様子を見ることは出来なてない)


神衣どころか神憑依してない状態でも、二人の動きは卓越しており、動きを目で追える者は、皆川先生と真白、天音さん、後はこの場に居ない城二くらいだろう...


その城二が追加で走り込みをさせられた原因は、真白と天音さんの組手中に九鬼先輩が口にした一言に端を発した


二人の組手を真剣に見ていた城二の事を、目線がヤラシイと九鬼先輩に揶揄われたのだ



「お、俺はそんな目で見てないですよ?!」


必死に弁解する城二を見る他の女子部員の視線も何時に無く鋭い...頬を赤らめ自分達の胸元を隠しジト目で城二を見る


「火トカゲ女は城二を気にしなくて良い」


そんなピンチに真白が城二をフォローする...しかし、九鬼先輩は眉をピクつかせ


「ほぉう...真白それは一体どういう意味だ?」


腕を組んで真白を睨みつける九鬼先輩...すると真白が天草先輩を手招きし耳元で囁くと、頭の上に「?」マークを浮かべながら、九鬼先輩の横に立ち同じように腕を組んで城二の方へと向く


「見ての通り」


なんと言う事でしょう...小百合の組んだ腕の上には体操着を押し上げる肉の塊が...一方で九鬼先輩はというと...なんとも慎ましい


「ほぉぉぉ...」


九鬼先輩の眉間に幾つもの怒りマークが浮かぶ...


「城二が見るのはこういうの」


真白も負けじと腕を組むと、小百合に負けない程のボリュームが現れる...


他の女子部員達も真似して腕を組み自分たちの膨らみを見比べ出した


「ふ、ふふふ...そんな脂肪の塊は戦う上で邪魔になるだけだ、そんな事も分からんとはな...」


この言葉には流石の小百合も不満を爆発させる


「可憐はそんな事言うけど、女の子としての魅力という戦いでは、圧倒的にボクが有利だけどね!!」


バチ、バチ、バチ、バチ


部長、副部長の間で火花が飛び散る...


「おい皆のお手本となるべき、二人が何を下らない事で揉めてる!!」


皆川先生も堪らず止めに入る...が


「綾瀬先生も、どちらかと言えば可憐サイドだよね」


「はぁ?」


ヒートアップしてる小百合は止めに入った綾瀬にも食ってかかる


「ほら、城二君だって小さいより大きい方が好きだし、ねぇ―——城二君!」


「は?え?」


「ほぉぉう...ここに来て城二に助けを求める、その根性...小百合ずいぶんと男に媚びる様になった物だな」


「はぁ?媚びてるとかないよ、ボクは一般的な男の子の好みを言ってるんだ!」


「だとしたら、お生憎だな城二は私や先生の様な慎ましいサイズが好みなんだ、前に膝枕した時もずっと見ていたものな?」「私は...着痩せするだけで...本当は...」


小百合に負けじと、可憐も綾瀬を巻き込み応戦する...綾瀬はかなり不満そうだが


「い、いや...それは先輩の顔を見て話しを...」


「膝枕ぁ?何それ、ボク聞いてないんだけど!本当なの!?城二君!!二人みたいな絶壁の何処に見るところがあるのざ!」「いや...だから私は着痩せをだな...」


「僕は...何も言って...」


「絶壁とは、この私達の事か?」「いや私はだな...」


と、魔刑部No.1とNo.2が、己がプライド(?)を賭け実践組手を行う事となった...なお、この珍事の様を救護テントで休んでて見逃した天音さんが、後日悔しそうにしていたのは言うまでも無い


「城二には、裏山ルートのランニングコース3㌔を3周走って来てもらおうか、城二に見られたら小百合も落ち着かんだろうしな!!」


と、何故か怒りの矛先を城二に向け、綾瀬は城二だけランニングに向かわせたのだった



「くっ...流石に胸に邪魔になる箇所が無い可憐は動きが俊敏ね!」


「はっ、そんな大きい邪魔なモノ下げてるから相手の回し蹴りが掠って判定負けするんだ!!」


小百合の右上段蹴りを体を反らし、ギリギリで見切って躱す可憐...がら空きになった小百合の背中目掛け右手の掌底を叩きこむ...


が、小百合は少し体を傾け掌底を躱すと、そのまま八極拳の鉄山靠(てつざんこう)の様に背中から可憐へと体当たりする


「ボクは垂れてなんか無いよ!!ちゃんと、綺麗な形だし!!」


可憐は小百合の一撃を右腕でガードして耐えたが、元々体格差が有り吹き飛んでしまう...


「ちっ...すこし、体重が増えたんじゃないか?小百合、今の一撃すごく重...かったぞ?」


一瞬だが表情に余裕が無くなって来た可憐は更に小百合を揺さぶりに掛かる


「そ、そんな...そんな訳無いじゃないかぁぁ!!」


「大きいけりゃ良いってもんじゃ無いんだよぉ―——」


二人は右拳を振りかぶり...お互いに突っ込んだ


『お、城二、お前の女共がお前を巡って争っておるぞ?』


「!?城二君!?」「城二!?」


二人の意識が一瞬だがお互いから逸れ...


「ガハッ!」「クッ!」


クロスカウンターとなり、お互いの頬を打ち抜いた...


『ふっ...お前らも所詮女子じゃな、真剣勝負の際に男の名を聞いただけで注意散漫になるとはな』


「...城二なら...今頃あそこら辺だ...」


綾瀬は裏山の崖の上の方を指差した


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・


〇夜...東光高校 家庭科室にて


「さぁ今日で合宿も締めだ、本日は皆で協力して夕飯を作ろうと思う、メニューは定番でカレーだ!」


「わぁぁカレー得意ぃ」「にゃはは...、アタシ料理はぁ...」「ん、楽勝ばっちこい」「ボクの手料理で胃袋を掴むぞ!」


皆それぞれエプロンを着用し、頭巾をかぶりいよいよ本格的だ...が


「だが、ただ作るでは面白く無い!前に座る皆川先生と、北野 城二...それと...えっと...「あ、シルバー人材で守衛してます守屋です」守衛の守屋さんに審査をしてもらう!」


「そしてぇ!!」


九鬼先輩は、二枚のチケットを取り出し頭の上に掲げ


「最高評価を叩き出した者には、この「東京ネズミ―ランド」の特別招待チケットをペアでプレゼントしよう!大会前にビッグサプライズプレゼントだ」


「「「「きゃぁぁぁぁ、やった――!」」」」


何だこれ...こんなイベント無かったし、ネズミ―ランド?聞いた事ないぞ...


「さぁ皆の料理の腕前を思う存分に奮ってくれ!!」


俺達の合宿最終日は、未だ終わらない...

















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