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第57話 最推しと、2度目のデート


〇雨宮家 別邸玄関前


俺は真白の両親と楽しく朝食を頂き、その後のコーヒーもご馳走になって時間を忘れ談話していたが


「ん、城二そろそろ時間」


「え?もうそんな時間か!?」


時計を確認すると、既に9時前になっていた


「アラアラ、もうそんな時間なのね、もう少し城二ちゃんと真白の事を聞きたかったのに...残念...」


玄芭さんは、シュンと肩を落として落ちこんでいた...


「まぁこれから二人で遊びに行くって言うのに、僕達が邪魔しちゃダメだろ?あ、そうだ、家の車で送って行くよ、その方が良いだろ」


何から何まで有難い...真白の両親と話して分かったが二人は本当に真白の事を大事に想っているのと同時に強く信頼もしている様だった



金吾さんや玄芭さんからの話によると...


真白は、両親から受け継いだ能力の高さと、類稀な流星眼によって自分に近寄ってくる相手の本質を無意識に見抜いてしまい、本心で自分と仲良くなりたいと思って居るのか分かってしまって、表面上の人付き合いは出来ても、本音で語り合う友人が出来る事は無かったのだと言う


そんな真白を不憫に思っていた両親は、真白に色々な事を体験させた様だ、ピアノ、ダンス、スポーツ、武術、絵画...しかし、そんな中で真白が一番興味を持ったのが「漫画、アニメ」という庶民の娯楽だった


それでも両親は真白が好きで楽しめる事が見つかったと喜んだ...しかし、周りは真白への勝手な印象操作により、真白の趣味は周りに理解される事は無かった


しかし、最近になって時折名前の出てくる学校の生徒...それが俺、北野城二だったという


当初は北野城二の名前を聞いて、二人とも不安になっていたが、他ならぬ真白の眼で見て一緒に居る事を決めた相手...両親は真白の友人作りを陰ながら応援する事にした


そして、ある日の夕飯時


「パパ、私友達が出来た...北野城二って言う親友になった、今度秘境テストで一緒に頑張る約束をした」


娘の言葉に思わず涙する玄芭と、涙をこらえ唇を強く噛む金吾...


「それで、城二と修練するのにGWに何処か修練場を使いたい」


娘の申し入れに、歓喜した金吾は雨宮秘蔵の修練場「玄武の雨濡らし岩場」の使用を提案する


「ん、梅姉が居るから助かる、じゃGWは城二とそこで修練する」


娘が友人と泊りで遊びに行く...相手が男という事もあって金吾としては少し複雑で有ったがそれ以上に娘の眼(流星眼)と気持ちを信じ愛娘を送り出す


修練から帰って来た娘の荷物は増えていた...尋ねると


「ん、城二に漫画を借りた」と言う、大事にしている漫画の貸し借りするほど信頼関係を築けている城二という人物に興味を持ちだす金吾と玄芭


「ねぇ真白?今度城二君を家に連れて来ない?」


「ん、気が向いたら聞いとく...」


そんなGW後半で真白がリビングで城二君との電話中に父に声をかけて来た


「パパ、お友達を家にお泊りで招待しても良い?」


娘の電話の相手か?だとしたら城二君か?


「それって今電話してる城二君って子か?」


「ん、北野 城二、私の親友」


真白は乏しい表情ながら、少し誇らしそうに微笑んだのを金吾は見逃さなかった


「是非泊りに来てもらいなさい、あ、でも寝るときは客間が沢山空いてるから、其方に泊まってもらうけどそれでも良いのかな?」


娘の信じてる相手と分かっても、未婚の男女を同じ部屋で寝かせるのは、父親としては許可出来ないが城二と言う人物を見てみたいと言う欲求も否定出来ない


「...ん、わかった」


真白は、電話口で城二君にその旨を伝えてる様だ


金吾としては、かなり妥協した条件をだしたはずだ...後日結局この話が流れる事になり、少しだけ残念に思っていると玄芭が「別に同じ部屋でも良かったんじゃない?」と言われ苦笑いする事になる...


そして前日...合宿から帰宅した真白が明日、城二君と一緒にネズミーランドへ遊びに行くと言う...


「真白!是非、家に寄ってもらって朝食を一緒にどうか?と城二君に聞いみてくれ」


「ウンウン、ママも是非会ってみたいわ...お願い真白」


「...ん、聞いて見る」



こうして、思いがけず真白の両親との会食が叶った訳だが、俺にとっても貴重な時間と経験だった


俺は真白の家の車の後部座席で真白と並んで座り、


「なぁ...真白の両親て凄く良いな...」


「ん、二人とも優しい私の味方」


真白は両親を俺に褒められたのが嬉しかったのか、スマホに付けたアイヌ衣装のネズミ子のストラップを弄って嬉しそうに笑っていた


「あ、そういえば、昨日寝る前に調べたけど、ネズミーランドって夏休み期間限定で不滅の刀とのコラボアトラクションをやってるらしいぞ?」


「ま、ま、ま、マジ!?」


真白の流星眼が飛び出すかと思うくらい見開かれ、俺の肩を両手で掴み何度も揺さぶる...うぅっぅクラクラする~ぅ


......真白は移動中の車内でスマホで不滅コラボについて、熱心に調べ何か所か狙いのアトラクションやショップをチョイスした様で、画面を俺に見せながら熱く語っていた


いや、真白さん不滅の事語るとき饒舌過ぎでしょ...でも、真白も楽しそうだし俺も今日位は、悩み事を全て忘れて楽しむとするかぁ~



〇千葉県 舞浜市 ネズミーランドパーク内


雨宮家から、約40分位で目的地のネズミーランドへと到着した


俺は運転してくれた人にお礼を言うと、さっそくチケットを使って真白と一緒にパーク内へと入る


「へぇ―———凄いな、本当に夢や童話の世界に迷い込んだみたいだぁ~」


パークを潜ると、賑やかなマーチ曲と共にネズミーランドのキャラクター達が、元気に手を振ったり踊ったりして来場客を歓迎していた...


流石、国内最大規模の人気テーマパーク...あまりに人気過ぎて学校が長期休みの有る期間は当日チケットの販売をせずに入場制限をかけている...その為俺たちも入場ゲートで待たされる事無く入る事が出来たのだろう


しかし、いざパーク内は入場制限が掛かっているとは思えない程の盛況ぶりで、掲示板で確認する限り人気のアトラクションは普通に2時間待ちとか表示されてる...


「ん、城二心配ない」


真白は、チケットを揺らしながらまち時間の表示された掲示板を見ていた俺の視界を遮る


「心配ないって...結構待たないとだぞ?真白が言っていた不滅のアトラクション...ほれ、あの「無敵城ライド3D」とか、150分待ちって...」


確か、映像と音声とジェットコースターの複合型アトラクションで、無敵城の中を落下したり飛び上がったりしながら鬼の攻撃を避けるとか真白が言っていたコラボで一番大人気のアトラクションのはずだ


「ん、私ら待たない」


「え?でも」


「これ、超VⅠPダイアモンドパス」


「ダイアモンド?」


自分のチケットを確認したら、確かにダイアモンドパスと書かれていて、入場ゲートで貰った入門証も他の来場者の少し違って豪華なデザインだった...


「これ、全部のアトラクションが待ち時間無しでスルーゲート使って入れるレアチケット」


だから九鬼先輩が態々景品に出したのか...普通のチケットも6千円位だけどそれなら、個人で買えなくも無いもんな...


このチケット幾らするのかな?...そんな事を考えていると、急に真白に手を引っ張れる


「城二急げ、チケット有っても時間は有限、まずはショップだ!」


「わぁぁって、急に引っ張るなぁぁぁ」


こうして、真白と2度目のテーマパークデート?(いや今回はデートだよな?)が始まるのだった







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