〇ネズミ―ランド パーク内ゲート付近 ショップ街
俺は真白に手を引かれるまま、パークのオフィシャルショップへと連れ込まれた
店内に、定番のヌイグルミやTシャツ、ジグソーパズル、それマグカップや文房具等、ネズミ―ランドのキャラをあしらった様々なグッズが売られていた
そんな中、天井から期間限定コラボグッズ売り場という看板が見えると、真白は目の色を変え人込みをスルリと躱し商品棚の前に頭を覗かす...
(ミーアキャットみたいだな...)
そんな事を思いながら、「すいません」「通ります」「すいません」周りのお客さんに謝罪しながら、真白の元へと人込みを掻き分け向かう
「ふぅ~ようやく...ん?」
真白の背中が見え一息ついた所で俺の頭に何かが取付られる...
「ん?真白何を乗せた?」
「ん、あれ」
真白が指差したのは、炭太郎のトレードマークでもある市松模様のネズミ耳のカチューシャだった
「うぇえ?俺こんなの似合わないよぉ?」
慌てて頭から外そうとするが
「ん、ダメ私とお揃い」
そういうと、真白はネズミ子のトレードマークでもあるピンクの麻の葉模様のネズミ耳のカチューシャを頭に乗せる
「つっ...真白は似合うな(可愛いぃぃ)」
「私がプレゼントするから今日一日これつけて遊ぶ」
真白はそう微笑むと俺の手を取り、再び人込みを掻き分けシップのレジに並びお金を払った
(うーん、呆気に取られ奢られてしまった...ここは男としてキチンとリードして挽回しないと...ん?)
ショップの前で我に返りそんな事を考えていると、真白は入口で渡されたパークの地図をクルクル回して行先を確認してる様だった...
(あ、そういや真白って...)
「どれ、俺に見せてみ...「あっ」...真白次は何処に行きたいんだ?俺が案内するよ」
真白の背後から、パークのマップを奪い取りエリア配置やアトラクションの配置を頭の中に叩き込む
「ん、最初はやっぱり無敵城3Dライドが良い」
真白は、コラボアトラクションで一番人気のライド系のアトラクションを選んだ
「無敵城...か...お、有った!よし、このまま左回りの道を真っすぐ行けば見えるはず、行こうか」
俺は真白に手を差し出すと、真白は自然に手を握り返す、その何気ないひとコマに胸が熱くなる
最初は気恥ずかしかった、ネズミ耳のカチューシャもパークの雰囲気なのか、真白との時間がそうさせるのか、全く気にならなくなっていた
「おっ真白あれ、ネズミ―ランドのマスコットのクッキーマウスだ!」
「ん、知ってる」
流石人気のメインキャラ、大勢の客に囲まれ記念撮影を行っている、補助に入ってるスタッフの手馴れた誘導には関心してしまう
「今は、不滅が目的、行こう」
真白はクッキーに目も向けず、俺の手を引き歩き出した...真白の中では世界のクッキーより、不滅の刀なんだと思うと、金吾さんの言葉
『漫画やアニメでも興味を持ってくれた事が嬉しい』
とうい言葉の重みを痛感する、そんな真白の「好きな事」を同じ目線で共有出来る事が嬉しかった
俺は世界のクッキーに「悪いね」と目線だけ送ると、真白に遅れない様に歩幅を併せた
――――〇ネズミーランド西エリア 期間限定「不滅の刀コラボ」無敵城3Dライド
屋内ライドなので、建物の中へと向かって長い行列が出来ている...現在の待ち時間150分の掲示板を見てため息交じりに諦める人も何人か見られた
そんな入口ゲートの横には「VIPパス専用ゲート」と書かれたゲート
俺と真白は首からかけたフリーパスを係の人に見せると
「ど、ど、どうぞ!此方に!」
パスを見て目を剥いた係の人は、慌ててVIPゲートを空け俺たちを通す
「VIPパスって、そんな仰々しい事なのか?」
「ん、私も昔小さい頃にパパとママに連れて来てもらった時使ったから良く解らない」
どうやら真白は以前に使った事がある様だが、パーク内の様子から察するにネズミ―のキャラ達には、あんまり興味が無いと見える...金吾さんが言ってた「真白が興味を持てる事」を探すいっかんで家族で来たのかもしれない
ゲートを通ると、横のルートには大勢の客が列をなしており、VIPルートを進む俺たちを見て、驚いた様にヒソヒソと話してるのが見えた
自分達だけ特別待遇なのが、なんだか申し訳無い気もするし、ちょっと優越に浸る気もするし
そんな事を考えてると、係員の待つライド入口迄一気に到着した
待って居たスタッフの女性は入口のスタッフから連絡を受けて居たのか
「雨宮様、北野様、ようこそ「無敵城3Dライド」へ、ここで簡単なご説明をさせて頂きます」
スタッフの女性は天井に映し出されるスクリーンに沿って、安全に関わる注意事項を丁寧に説明してくれ
「では、これから搭乗開始となります、手荷物はこちの専用ロッカーをご使用ください...では行ってらっしゃいませぁ~」
良く教育されているのか、滞り無く説明から搭乗迄をスムーズに終え、俺たちはライドの機械に搭乗した
「ん?俺たちだけか?」
「ん、みたい」
6人乗りのライドは俺たち2人を乗せると、ガタンと振動して動き出した...
〇――――――――
『待っていたぞ、炭太郎にネズミ子、我が無敵城へ足を踏み入れたのが運の尽きだ』
目の前のスクリーンには不滅の刀のボス、
『いくぞ、ネズミ子に皆!無断を追いかけて倒すんだ!!』
炭太郎が此方を振り返り刀を掲げ、ライドは速度を上げ無敵城の中を縦横無尽に駆け巡る
「おぉぉぉぉ!炭太郎ぉぉ!ネズミ子ぉぉ!がんばれぇぇ私も付いてる!」
真白は隣で流星眼をキラキラ輝かせ、満面の笑顔で目の前で鬼たちを切り伏せる炭太郎とネズミ子を全力で応援してる
(フフフ、真白楽しそうだな...おっいよいよクライマックスか?)
目の前には、異形の化け物と化した無断が大きな口をあけて俺たちのライドを飲み込もうとする...
「うわぁぁ無断に食われるぅぅ、ネズミ子ぉぉ助けろぉぉ!」
『今助ける...爆結』
ネズミ子の必殺技が炸裂し、俺たちのライドは間一髪無断の口から飛び出し距離を取る
『後は俺に任せろ! 太陽の息吹 陽光一千』
ライドの目の前から刀を構えた炭太郎が無断に向け、必殺の一撃を繰り出すと...
『うぎゃぁぁぁぉあぁ』
目の前の画面が真っ白にひかり...
『よくやったな!皆のお陰で無断を倒せた、強大な敵を手を取り合って倒した俺たちは、今日から親友だ!』
『フフフ、ネズミ子も一緒!皆大好きだよ!また、何時か強い敵が現れたらネズミ子が皆を助けるよ!』
『『それじゃぁまたな』ねぇ~』
目の前の緑の草原で、炭太郎とネズミ子が俺たちに向かって手を振っている
「ネズミ子~私たちは永遠に親友だよぉ~!!」
真白も限界まで身を乗り出し必死に二人に手をふっている...
〇――――――――
「お疲れ様でしたぁ「無敵城3Dライド」は如何でしたか?」
入口で説明をしてくれたスタッフの女性が尋ねる
「いやぁ凄かったですね!感動しました!」
「......」
「?真白?どうした?酔ったか?」
「...んっっっと!に最高ぉぉぉ!」
「どわぁぁ!」
真白も大変楽しめた様で良かった...スタッフの女性も真白の反応に驚いていたが、VIP専用の記念品という事で、俺には炭太郎のアクリルキーホルダーを、真白にはネズミ子のアクリルキーホルダーを其々プレゼントしてくれた
真白は言わずとも、ネズミ子のアクリルキーホルダーにご満悦だが、俺は...
いや...このVIPパスって結構ヤバいモノなんじゃ...
パスカードを眺めながらそんな事を考えてしまうのだった