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第65話 バイト初日、働ける事の喜び


何度もお礼をと食い下がって来る、柳生さんと宝蔵院さん名前にピンと来て、隠しアイテムの有る屋敷の人では無いかと尋ねたら、どうやらドンピシャだった様だ...


2人の旦那さんの実家なのだろうか?本人の実家なのか?解らないが、復活したコス=タータルトによる

儀神の総攻撃により「魔都」と化した東京...住人の殆どが都心から地方へと避難し儀神の跋扈する...文字通りの「魔都化」した街の住宅の中で見つける事の出来る隠しアイテム


その内の2つ「破魔十兵衛の書」と「胤舜の珠」の隠してあった家が確か柳生と宝蔵院だった


「北野さんは、お若いのにその様な古い文献や骨董品にご興味が?」


二人が意外そうな眼で俺の事を見ているので


「い、いや...あ、あぁそ、そうなんですよぉ~あははは、夏休みの課題で「古の武芸者の足跡」と言うお題で色々調べてましてぇ~」


口から出まかせを、その場の思いつきで口にする...これも10年近く辛いサラリーマンを続けてこれた処世術と言うやつだ


「おぉー成程、流石です!東光高校の生徒さんは、見るべきポイントが違いますね!」


「えぇ全く!流石都内でも有名な進学校、娘にも北野さんを見習ってもらわなきゃ!」


何とか誤魔化せた様だ...俺の目の前で「娘が宿題をしない」「家のお手伝いをしない」「夜更かしする」等、子供を抱える親の愚痴を話始めた...


「へぇ――、なるほど...中々上手いミスリードね」


愛理さんは、相変わらず俺に対し辛辣だ...独り言か知らないけど聞こえてるってぇの


「と、とりあえず、僕はこれからバイトの面接なので...そのお話は後日お時間有るときにでも」


「まぁそうでしたわね!大変失礼しました!」


「お仕事頑張って下さい!」


二人は会話に花を咲かせていたが、俺の一言で我に返り慌てて謝罪すると、愛理さんにお礼を言いスタッフルームから何度も頭を下げ出て行った


「いやぁ―城二君は意外と、ペテン師の才能が有りそうだね」


「人聞きの悪い事を言わないで下さいよ...それより面接の方は、そろそろ?」


恐る恐る愛理さんに何時頃から面接が始まるのか尋ねると


「ん?何言ってるの?面接ならもう終わりよ?君採用ね」


「?いつ面接を?」


「今さっき終わった」


言ってる意味が解らない...愛理さんは藍瑠と容姿は似ているが、温和で人あたりの良かった藍瑠と真逆で何処か人との関りを積極的に避ける...そんな印象を受ける


今のやり取りも、「面倒だからこれ以上聞かないで」と、突き放された様な印象を受ける


「そ、そうですか...それでは今日からお世話になります」


「はい、お願いします」


それでも俺は働く場所を提供してくれた愛理さんに頭を下げお礼を言うと、ガチャとドアが開き


「愛理ぃ~長いよぉ~ねぇ~城二君♪」


タイミング良く音田さんがスタッフルームへと入って来た


「薫先輩、お待たせしました、本日から働いてもらうので、城二君をよろしくお願いします」


「にゃはは、任せるしょ!♪」


ん?今のなんか天音さんポイ言い方...まぁ気のせいか


「では城二君、私は別の仕事が有るんで、この辺で失礼するね」


「はい、本日はお時間頂き有難う御座いました」


ポンと俺の肩に手を置いて


『また、ゆっくり話をしようよ・・・二人で・・・ジョウジ君』


肩越しにそう俺にだけ聞こえる様に呟くと、振り返る事無くスタッフルームから出て行った


「それじゃ早速、お店の仕事の説明してくねぇ~♪」


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


「城二君...本当にバイト、と言うか働くの初めてなの!?接客や応対で教える事無いんだけど?!」


昔取った何とか、というやつだろうか、俺は音田さんについてオーダーの取り方やお客さんへの対応、レジ打ち等をレクチャーしてもらい必死で覚え、何とか形になる所まで出来た


「本当に凄いですよ!城二様!」


山吹さんにテーブルの拭き方や食器の片付けを教わっていた、道代さんからも感嘆の声が漏れる


「いや、道代アンタももう教える事無いから、つかアンタよく考えたらずっと家政婦してたんだし出来て当たり前っちゃ当たり前なんよね」


確かに道代さんは家事のスペシャリストだ、手際の良さで既に音田さんや山吹さんを超えてる迄有る


「そう言えば、城二様は今雨宮様のご実家にご厄介になってると仰ってましたが?」


最初遅刻してしまって、スタッフルームで待ってる時に道代さんへ真白の家に厄介になってる事を簡単に伝えたんだった


「そうなんです、有難い事に一宿一飯の施しを受けてます」


道代さんは安心した様な、悲しい様な複雑な表情で微笑んだ


「そ...そうでしたか、何れにしろ城二様が寝泊まり出来てるなら安心ですね」


「はい、でもずっとお世話になるつもりは有りません、出来るだけ早く学校の寮へと移れる様にお願いはしてみるつもりです」


パンパン


「はいはい、新人さん接客が終わったなら店内と店の外の掃除ね、ハイこれ城二君は外の掃除、道代は店内の水拭きね」


山吹さんは俺にほうきと塵取りを渡し、道代さんはにモップを渡した


「フフフ、城二様それじゃ頑張りましょうか」


「はい、頑張りましょう」


初日に大遅刻という失態を起こしながらも、バイト初日は思いのほかスムーズに働く事が出来た


最初はブツブツ文句を言っていたトラも、数名の子供に囲まれ満更でも無さそうに遊んでいた


まぁ虎はライオンと違って、子供を非常に大事にするって言うしな「虎の子」って語源て話だ


18時にバイトを終え、道代さん音田さん山吹さんに挨拶をして雨宮邸へと帰宅する


『先ほどの娘共の親...お前が尋ねていた家宝だったか?それも神の秘薬の様な神視レベルを上げるアイテムか?』


「...あぁ」


俺はトラの質問に返事をしつつも、隠しアイテムが、未だに現存してる事に内心動揺していた



それは...


(だったら尊は、どうやってあのレベルの神視の域に...)


俺の知ってる知識外で、爆発的に強くって行く尊...俺はあの公園での奴の張り付けた笑顔に今更ながら恐怖していた




























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