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第77話 大会2日目終了、Bランク戦とCランク戦結果

〇東京ドーム内 グラウンド 第一武舞台


『Bランク戦 優勝は、東光高校 3年 天草 小百合選手です!!』


「ワァァァァ」、「小百合様ぁぁぁ」、「百合王子ぃぃ」


最終戦は、思ったより呆気なく終了した


元々の実力差も有るだろうが、決勝の相手の選手の右腕の負傷が思ったよりも重症で、開始僅か5秒、相手の選手が痛めた右腕を振り上げ果敢に突進したが、そのまま痛みで意識を失い天草先輩の勝利となった


突然の決着に天草先輩も審判も何より観客も呆気に取られ、しばしドーム全体に沈黙が続いた程だ


Aランク戦の決勝は最終日に行われるので、言わば今大会最初の優勝者と言える


表彰台の一番高いい所で、記念の盾を受け取り、首に金のメダルをかけてもらっている天草先輩の表情は緊張はしてるが心から喜んでいるみたいだ


そして決勝で倒れた相手選手は、結局意識が戻らずそのまま病院へと搬送されていった為、マネージャーだろうか、オドオドした女の子が代わりに壇上へと立っている...


あ、天草先輩が女の子に何か囁いてる...


天草先輩は優しく微笑み、彼女の頭を軽く撫でると女の子は、目を潤ませながら頬を染め横から天草先輩を祈る様に見つめている...


...三位のお立ち台には沖田さん...が本来立っているはずなのだが、本人が辞退してしまいBランク戦は二位迄の表彰となった


「小百合も次回からAランクかな?」


「皆川先生!?いったい今まで何処に行っていたんですか?」


いつの間にか俺たちの背後に立っていた皆川先生


「ん?あ、あぁすまない、ちょっとした野暮用だ...でも済んだ気にするな」


そう言いながらも、皆川先生は俺と目線を合わそうとはしなかった...多少の違和感を感じながらも今は天草先輩の快挙を祝おうと思う


「次は、Cランク戦だな...他の者も気を抜くなよ!」


「「「「はい!!」」」


東光高校の魔刑部はCランク選手が大半を占めて居る、3年2年の部員10名の内9名がCランク選手だ、これは全国平均においても、かなり多い部類に入るらしい


通常はDランク選手が大半で次いでCランク、Bランクとなるみたいだ


しかし東光高校はA,Bランクに1名、Cランクが9名、Dランクが今回新規参入の俺達3人を除けば5名しか居ないし、殆どが1年だ


Cランク帯になると、結構な割合で神との未契約者が出場している、未契約者は神視の力で武技スキルを鍛え上げ、神憑依した者との差を補い何とか渡り合っている


「...神憑依出来る者と未契約者では、かなり厳しそうですよね...」


選手控え室前の廊下から試合を見守る、九鬼先輩と天草先輩に向かってそう呟く


「そうだな...秘境に挑んでクリアしても神域へ至るとは限らんし、秘境に至らずとも神域へ誘われるケースも稀に有るみたいだしな...」


そう言って九鬼先輩は天音さんの方をチラリとみる


「でも、うちの子は頑張ってるよ、さっきの試合も神憑依した相手にあと一歩まで迫ってたしね」


此処まで、東光高校の部員は9名中9名、初戦突破したがくじ運悪く2戦目で9名の内3組が対戦する事になり、2回戦で6名迄減り、3回戦目でも6名全員が対戦する事になって、4回戦に進出した際には既に3名となっていた...


そして今天草先輩の言っていた、3年の先輩は、試衛学園の2年に最後の最後で場外へ投げ飛ばされ敗退となったのだ...


先輩は武舞台から降りるときも人目を憚らず号泣していたのが印象的だった...


「私達3年には、最後の秋の大会が残っている其れまでに、今より更に強くなれば良い!」


「そうだな...秘境の攻略も部活に取り入れてみるのも良いかもな」


流石は部長と副部長だ、次の大会に向けて部員全員のレベルアップを考えている...


「城二...少し話が有る良いか?」


背後から肩を軽く叩かれ振り返ると、暗かかりで丁度表情は読み取れ無いが皆川先生の様だ


俺は応援してる部員達の脇から皆川先生の指示に従い、小さな用具室の様な部屋に案内された


「先生?お話とは?」


「単刀直入に言おう...城二、いや譲二、先ほど小百合の決勝で戦っていた相手、彼と面識は?」


突然意味が解らない質問をされ混乱している


「いや、質問を変えよう彼が準決勝の後で倒れて救護施設に運ばれたが、接触したか?」


「へ?いや...面識も無いし、試合後見かけても無いです」


『コヤツの言葉は本当じゃ儂が保証しよう』


白虎が足下から現れ俺の証言を肯定してくれた


「...白虎様の証言を頂かなくても信じますよ...すまないな城二ぶしつけな質問で」


「一体何があったんですか?その男性と僕に何か関係が有るのでしょうか?」


先程のからの皆川先生の不自然な行動もこれが原因なのか?


「...いずれ解る事だ...だが他言は無用だ...小百合の対戦相手は、決勝後の検査で神との契約が消えており心域も消滅していたのだ」


「!?それって時哉の時と!?」


「気を付けろ譲二...政府は...退魔特殊部隊は、お前の事を警戒してるぞ」


『.........』「.........」


皆川先生から話を聞いてる中


『Cランク戦、決着しました!!優勝は試衛学園 2年 百地 茜選手です!皆さん盛大な拍手をお願いします』


場内アナウンスでCランク戦が決着した事が告げられた...


「兎に角だ、つけ入る隙を見せるな...それだけだ、皆の所に戻るがいい」


俺は皆川先生より先に用具室を後にする...


何か所か廊下を曲がると、3年の先輩が泣きながら天草先輩に胸を借りてる所に出くわす


...あれは、3年で最近土着神と契約出来たと喜んでいた武田先輩だ


「!?城二、皆川先生に連れられて行ったみたいだが、また何かやらかしたのか?」


九鬼先輩からチクリと刺さる事を言われ


「ウワァァァァン!城二君ごめんよぉぉ~」


天草先輩の胸から俺の胸へと飛び込んで来た武田先輩


「折角、城二君に教えてもらった裏マントラで併せ刑して頑張ったのにぃぃ負けちゃったよぉぉぉ!」


「相手も神憑依してね...最後まで頑張ったんだけどね、相手の方が一歩上だったね...」


あまりこういうシーンに慣れて無いので、なんて声掛けたら良いのか全く分からず両手をウロウロさせ困っていると...


「武田、前回大会の時は初戦敗退だったじゃ無いか、それがファイナリストだぞ!もっと誇れ!」


俺の後から出て来た皆川先生は、いつもは見せない穏やかな笑顔で武田選手の頭を撫でる


「こ、顧問...」


そして今度は皆川先生の胸へと飛び込んで行った...両手をニギニギしている俺はさぞ不格好だっただろう...天音さんと真白にはヤレヤレみたいな目で見られた...


「さぁ武田も表彰式だぞ、泣き顔じゃ恰好がつかない!顔を洗って胸をはって表彰台へ登れ!」


「ハイ!!」


その後、東光高校の控室でバッチリメイクを直した、武田先輩は堂々と2位の表彰台で、俺達や観客に向かって手を振っていた


・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


〇東京ドームシティホテル レストランパーティールーム


「それでは、小百合の優勝と、春香(武田先輩の名前)の準優勝を祝ってぇぇ」


「乾杯!」


「「「「「「かんぱ~い!」」」」」


グラスのぶつかる音が木霊し、皆一斉にグラスを開ける


「天草先輩おめでとう!」「武田先輩おめでとう!」パチパチパチパチ♪


主役の二人は照れながらも、お互いにグラスを併せ二人でジュースを飲みほした


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


部員同士も盛り上がり、話が弾む中...パーティールームの外から声が聞こえる


「あら、東光高校の皆さんも此処でお食事ですかぁ?という事は...あ、いたぁぁ城二ぃぃ!」


ダダダダと足音が聞こえたと思ったら、本日二度目の女性からの抱き着きにあう


「ちょっ!?土方先輩!?」


「はぁぁん...城二に抱かれてウチ、幸せやぁ~」


...楽しい団欒ムードから一転、仲間達から冷たい視線を向けられ背中に冷たい汗が流れる


(これ...どういう状況?!)























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