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第79話 真白 VS 天音(前編)

〇東京ドーム内 特設武舞台 第一武舞台


『さぁ3日間に及ぶ、全国魔刑部大会もいよいよ本日が最終日となります!フィナーレを飾るのはAランク戦決勝!勝ち進んだのは東光高校 3年 剣椿姫 九鬼可憐選手と 試衛学園 3年 女帝 土方 翼選手!実力者同士の試合になること間違いなしです!』


『そして今、武舞台上では、出場選手登録の一番多いDランク戦が繰り広げられています!』


第一、第二武舞台で行われてるDランク戦だが、出場選手の中には期待の中学生や、ごく少数だが大学生の選手も居る様だが、選手の殆どが選抜12高校の魔刑部部員だ


Dランク戦は、初出場の選手も多数おり試合としては、経験者や実力者とぶつかり呆気なく終わるケースが殆どである


120名近い参加者も、トーナメント3回迄進めば30名程に絞られてきて、此処からはそれなりの実力を持つ者が勝ち残って来る


既に中学生と大学生の特別参加枠の選手はトーナメントを敗退しており、残るは皆高校生の選手のみだ


そして...


「これは中々に、酷なカードだな...」


「...」


目の前の第二武舞台に視線を向ける


『皆様ご注目下さい、第二武舞台で今から始まる試合は、東光高校の魔刑部部員2名の試合となります!、東から入場するのは、本大会の注目選手の一人、現代の現人神、雨宮 真白選手です!そして西ゲートかえあ登場するのは、雨宮選手同様、今大会より出場する事になった池上 天音選手です!』


ワァァァァ!


流石にメディアやSNSで騒がれてる注目選手だ..そのどれもが真白の圧倒的1位を信じて疑わない


事実、真白はここまで、神衣を使用する事無く全ての試合を、開始3分以内で決着させてきている、その圧倒的な力に、美しい見た目、抜群のスタイル...人気が出ない訳が無い


一方で、天音さんも此処まで危なげない試合で勝ち進んでおり、特に負けた相手に対する気遣いが「尊い」とこれまたSNSで話題になっている、「ギャル女神」...学校内の陰キャ連中が天音さんを称える為に密かに付けた称号がいつの間にか世間が天音さんを形容する言葉として認知されている


そんな、ファンからも世間からも人気を集めつつある、2名の試合が盛り上がらない訳が無い


そして二人が武舞台中央に呼ばれ主審からの説明を頷きながら聞いている...


真白がホーム用の白い道着で、天音さんはビジター用の薄い小豆色の道着だ


『では、お互いに礼!』


「「よろしくお願いします」」


中央で天音さんが真白に向かって右手を差し出す...その手を真白も黙って握り二人は僅かたがお互いを見つめあい微笑む


(マシロン...最初から全力で行くからね!)


(ん、かかってこい天音、受けて立つ)


両者とも開始線まで下がり...


『始め!!』


「来てぇウズメン!!」


天音さんは開始早々で天宇受売命を神憑依させる...今の俺の目にはハッキリと天音さんの背後に以前神域で目にした女神が見えた


「綿津見神」


その様子を見て真白も綿津見神を神憑依させる...神衣では無いのは天音さんの実力を推し量る為か?


傍から見れば、神衣出来る真白が天音さんを格下に見て、なめてる様にも見えるが武舞台上の二人の表情からは、そんな低俗な思考等微塵も感じ取れない...


お互いスキルの構えに入ると、その表情には笑みが漏れる...


「水の型 氷浄の飛沫」


ダッダッダッダッと真白の突き出した掌から、無数の水の粒が銃弾の様に天音さんに向かって打ち出される...


しかし...


「...舞だ...」


天音さんは武舞台上で、ゆるりゆるりと舞を舞う様に真白の撃ち放った水の弾丸を避ける


水の弾丸は天音さんの舞によって生まれた残像を打ち抜き、そのまま武舞台に張り巡らされた4方の結界にぶつかり霧散する...


「天音の奴も、ここまで実力を隠していたのか...やるでは無いか」


隣に座る九鬼先輩が、少し嬉しそうに眼を細めポツリと呟く


「頑張れェェ真白も天音もぉぉぉ」「頑張れーー」


西側の席には誰も座っておらず、少し奇妙だが天草先輩を始め部員全員が両者に向かって全力で応援している


俺も声を上げ声援を送っていると...


『ジョウジ...先ほどからお前に向かって、何度か神視力を測定する様なスキルを感じたぞ』


「!?まっまさか・・・(退魔特殊部隊の諜報員か?)」


『(解らん...だが複数回仕掛けられてる...それも別々の場所からだ、この感じ嫌な予感がする...決して油断するな)』


そう言うと、トラは静かに足下の影へと消えて行った...


俺はトラに言われ、視線だけを周囲の観客席へと向けるが、双眼鏡やスマホを持っている観客は数えられない程居る...あの中から測定スキルやアイテムを使用した人物を見つけるのは不可能だ...


ワァァァァ


!?


周囲に気を取られていると、観客の歓声がひと際大きくなった


「にゃはははは、流石マシロン、風属性で有利なウズメンを纏ったアタシが子ども扱い...これは参ったなぁ~」


「...天音、天音の今の全力を見せろ、全部受け止めてやる」


武舞台上の真白は、両手を下におろし真っ直ぐに天音さんを見つめる...


「だよねぇ~、んじゃいっちょやったりますかぁ!!」


真白からの言葉を受け取り、少し微笑んだ天音さんは頬をポリポリと掻きながら...


「よし!!行くよマシロン!! 神衣 天宇受売命」




















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