〇東京ドーム内 第二武舞台
「おぉ~と、これを見ても俺に攻撃出来るのかな?」
島津は俺たちの周囲に木の杭を穿ち、外から見えなくした上で、俺に近づき一枚の写真を俺に見せる...
「!?真白に天音さん!?」
写真に写っていたのは、木の椅子に鎖で縛りつけられ気を失っている様子の真白と天音さんだった
「て、てめぇぇこんな真似してただで済むと思ってるのかぁぁ!これは犯罪だぞ!!」
「吠えるな、クズが耳が腐る...良いかよく聞けよ?俺がこの場に居てこの写真が俺の手元に有るという事の意味を、お前の腐りきった脳みそで良く考えてみろ」
ヒラヒラと写真を俺の顔付近で揺らしながら、下卑た笑みを見せる島津...
「まさか...他に協力者が!?」
「おぉぉ、腐った脳みそでもちゃんと理解したかよ」
「何が目的だぁぁ?真白に勝てねぇって、本人ををさらったって訳か!」
「ブッブゥ~半分は当たってるが、それじゃ正解とは言えないねぇ~ぎゃははは」
「...勝ちはお前に譲る...だから真白と天音さんを解放しろ!」
「ほう~・・・・・」
俺の言葉に興味を引かれた島津は...
「そこ迄言うなら、仕方ない...それじゃ今から周りの杭を解除する...君は...」
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ゴゴゴゴゴゴゴ...
ゆっくりと鈍い音を立てながら、二人の周囲を覆っていた木の杭が武舞台の床へと吸い込まれる様に消え...
『今、島津選手と北野選手を覆い隠していた木の壁が解除されて行きます!!』
そして武舞台上の二人は...
『!?こ、これは...北野選手どういう事だぁ?島津選手にむかって...これは土下座?どういう意味でしょうか!?』
武舞台上で俺は島津に向かって、床に頭をつけ土下座していた
「なっ!?城二何をしている!!試合の最中だぞ!!」
唯一応援席に座っていた、九鬼先輩が立ち上がり声を荒げる
「...これは一体どういう事や?島津?」
試衛学園の方でも土方先輩が、冷めた目で島津の方を睨みつけ、扇子をパチンと閉じす
「見てわかりませんか?、北野君は僕との力の差に勝てないと悟って降参したんですよ~アハハ」
俺の方を指差し狂った様に笑う、島津...その様子に慌てて審判が俺の方へと駆け寄り
「北野選手、これは戦意喪失とみなしますよ!?」
「...くっ...僕は...」
〇時を遡る事、十数分前
「居たか?」
「こっちには居ません...」
「くっ...」
皆川先生達は、会場となっていると東京ドームの周辺を手分けして捜索していた、捜索には土方家の諜報部と九鬼家の情報部のメンバーも加わり、かなりの人員で探すも手掛かり一つも掴めない...
そんな時...
『ここは儂が、一肌脱ぐか...』
「!?トラちゃん!?」
「ん、なぁ!?白虎が何故ここに!?城二は!?」
ピョンと飛び上がり小百合の肩へと飛び乗ったトラが、退屈そうにしながら
『ジョウジから試合直前に頼まれたのじゃ...二人を捜索するのに協力してくれ...と』
「と、という事は、城二君は今神憑依出来ない状態で、戦ってるのかい!?」
トラは小百合に無言で頷く...
「ば、馬鹿な...無謀すぎる...」
皆川先生も額を押さえ首を振る
『良いか、城二の奴は試合を諦めてる訳では無い、儂を...いや、お前らを信じて儂を託したのだ』
〇(試合開始直前)・・・・・
(トラ...試合開始前だが、お前に頼みたい)
⦅なんじゃ?改まって⦆
(先生達に協力して、真白と天音さんを探して欲しい)
⦅正気か?儂の力無しで勝てると思って居るのか?⦆
(正直勝てるとは思って無い...だが負けるつもりも無い...俺はお前が...いや皆を信じて全力で試合に臨む!)
・・・・・・・・・・・・
『と、柄にも無い事を言うておった』
「そう...それじゃボク達も期待に応えない訳に行かないね!」
小百合の発破に捜索メンバーの士気が上がる
「ところで、白虎...一肌脱ぐといっていたが具体的に何をする気だ?」
綾瀬はトラの方を向きそう尋ねると...
『女教師、お前の元同僚伝手で、ここいらで一番近い秘境を尋ねろ...儂がこの辺に詳しい土地神の神域へ赴く...』