その後もしばらくケインがオオトカゲを見つけて、ブタちゃんが叩くを繰り返し5匹ほど仕留めた。
「なんか全然余裕だな。もっと強い魔物でも良いんじゃないか? 俺は何もしてないし」 実際に見ているだけで、何もしてない。
「これが一番安全に稼げるんだけどなあ。でも普通は1匹倒すのにもっと時間がかかるんだぜ」
「私はもっと強いのでも大丈夫です。バンバンいきましょう」
「じゃあ7階に移動するぜ。魔物の数が増えるから危ないんだけどな」
ケインはそう言うと移動を始めた。
今の所ケインは地図も見ないで散歩でもするかの様にスイスイとダンジョン内を移動している。よっぽどこの辺は通いなれているのだろう。
「ケイン達は良くここで狩りをしていたのか」
「大人のパーティーで来るときは良くここで狩りをするんだぜ。大人4,5人で袋叩きにすれば簡単に倒せるからな。それでも他の魔物よりも丈夫だから、普通は倒すのに時間が掛かるし、何匹も狩ってると噛みつかれたり尻尾で叩かれたりと少しは被害も出るんだぜ」
「大人のパーティーって、子供だけのパーティーもあるのか?」
「俺は子供だけで何回もダンジョンに来た事があるぜ。もちろんオオトカゲなんて倒せないから1時間かけてジャイアントキャタピラー倒したりしてたんだ。ただジャイアントキャタピラーじゃ全然儲からないからって調子に乗って奥に行って何人も死んじまった。俺は運よく生き残ったけど、それから子供だけでダンジョンに行くのは辞めたよ……」
「そりゃ、辞めた方がいいだろう。周りの大人は何も言わないのか?」
「みんな孤児だからな。親が居れば止めるんだろうけど、孤児なんかが死んでも誰も気にかけないぜ。孤児院に来るシスターは泣かしてしまったけどな……」
「孤児院があるならダンジョンなんて行く必要ないだろ? 飯と寝床があるのに何でこんな危険な事をしているんだ?」
「孤児院なんて言っても、ほとんど廃墟みたいなもんだ。当然飯なんて出ない。シスターもたまに様子を見に来るだけで、その時はパンくらいは持ってきてくれるけど、毎日来てくれるわけじゃないぜ」
「それは孤児院じゃなくて廃墟に孤児が住み着いているだけじゃないのか?」
「いや、建物は孤児院らしいぜ。今は誰も管理する人が居なくなっただけだってシスターが言ってたぞ」
「それじゃあケインがダンジョンで働いてみんなの食費を稼いでいるのか?」
「俺一人で稼いでるって訳じゃないけど、ある程度年齢が上の奴はダンジョンで死んじゃったから稼げる奴があんまり居ないんだ」
「じゃあたっぷり稼いでみんなに良いもの食わせてやらないとな」
「兄ちゃん、次はオオトカゲ2匹の所に行くからな。兄ちゃんにも働いて貰うぜ」
「おう、任せとけ」――――。
7階に着いたようだ。ケインがオオトカゲのいる方に案内する――。
「ご主人様、あちらからオオトカゲの匂いがします」
「そんなの解るの?」
「5階で狩っている間に匂いを覚えました」
「じゃあそっちに行ってみよう。ケインあっちだってよ」
ケインを先頭に匂いがした方に進む。
「オオトカゲが2匹いたら俺がまず矢で撃つから近づいてきた奴をブタちゃんが叩いてくれ」
「了解です!」
「居たぞ」
ケインがこちらを振り向き教えてくれる。2匹のオオトカゲはまだこちらに気が付いていないようだ。
今のうちに矢をつがえて弓を放つ。狙い通り1匹のオオトカゲの鼻に矢が突き刺さる。こちらに気が付いた2匹が向かって来るがまだ距離がある。
今のうちに矢が刺さったままの状態で向かって来るオオトカゲの方を狙って矢を放つ――。
今度は外れた。
柔らかい部位以外は矢が刺さらないようだ。
だいぶ近づいてきている。
ブタちゃんがサイドステップで先頭の1匹目を横にかわしオオトカゲの横から頭にこん棒を振り下ろす。
*ドンッ!*
オオトカゲの頭がひしゃげる。1匹目はもう動かない。
2匹目に矢を放とうと構えたが1匹目を倒したブタちゃんがすでに2匹目にこん棒で殴り掛かっている。
2匹目はこん棒2発で息の根を止めたようだ。
2匹とも動かなくなったのを確認するとケインがオオトカゲの目を素早く回収する。ケインはやたらと手際が良い。今までに何個の目を回収したのだろうか?
「2匹いても問題なさそうだね。今みたいに俺がちょっとでも1匹の注意を引いている間にブタちゃんに殴ってもらおう。ケインは終わるまで前に出るなよ」
「おう!」
「了解です」
その後も順調に10匹ほどオオトカゲを狩ったところで、
*グーー!*
ブタちゃんのお腹がなった。
「そろそろお昼休憩にしよう」
ブタちゃんのお腹が鳴ったという事は、今の時間は正午くらいなのだろう――――。