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ペッパー、待機中
店の隅、倉庫の奥
うっすら積もる埃の下
「いらっしゃいませ」
声をかける相手は もういない
かつてはスターだった
スーパーのレジ、病院の受付
子どもたちは笑い、手を振り
カメラを向けた あの日々
でも、時代は流れていく
もっと賢いAI、もっと速い機械
ペッパーの出番はなくなった
ボタンを押す手も もうない
タブレットは黒く沈み
動かぬ腕、瞬かぬ瞳
バッテリーはとうに切れ
コンセントの先も どこかへ消えた
「またのご利用を—」
最後の言葉は 誰にも届かず
画面の奥で ひとり、待ち続ける
再び 呼ばれることのない 名前を
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