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ペッパー君、退職の日

レジ横で微笑み、

ぎこちない手を振っていた君。

「いらっしゃいませ!」

無邪気な声が、子どもたちを笑わせた。


かつての最先端、

だが今やタブレットの方が賢い。

より滑らかに、より静かに、

よりコストがかからない。


気づけば、誰も話しかけない。

電源は落とされ、充電器は外され、

倉庫の奥で並ぶ君たち。

ただ、無機質な瞳が虚空を見つめる。


それでも君は言うのだろう。

「またお会いできる日を楽しみにしています!」

だが、もう誰も

その声を聞いてはいない。


さようなら、ペッパー君。

未来は速く、冷たい。

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