記念撮影の最中、土橋は目を真っ赤にして泣き続けていた。
その光景が珍しく、演奏を聴きに来ていた吹奏楽部の卒業生たちは、思わず笑い声を上げていた。
近くでは、瑠璃が熊谷君を慰めながら泣きじゃくる彼を見守っている。意外にも、その姿がとても愛らしく感じられた。
「千沙」
振り返ると、今回は、満面の笑みを浮かべた瑞希が立っていた。
「どうだった? 満足した?」
「もう、最高っ!」
瑞希は間違いなく、純粋に音楽の喜びを感じ取っていた。
周りの同級生たちとも楽しげに談笑していて、その光景が何とも微笑ましい。
「先輩!」
隣の雪ちゃんが、何かに気づいた様子で声を上げる。
そこには、信二たちの姿が見えた。