そのうちに
空腹が収まったところで、気持ちも落ち着いてきた。となりの席で飲んでいる初老の男に話しかける。
「
すると男は
「兄さん、月光楼を知らんのじゃ、
州の
と自慢げに言い、場所を教えてくれた。
それだけ大規模なら、
「そうか、近い
すると男は明るく笑い、
「兄さん、運がいいな。あそこで飲んでる女、あれが腕の良い
と、向かいの卓を指さした。
見ると、
急に現れた男にびっくりして、女性が聞く。
「なんだ、あんた。
鋼先は笑顔で礼をし、
「いや、今そこで、あんたが鍛冶屋だと聞いてね。食事中に悪いとは思ったが、頼みたいことがあって」
女性は、眼帯をした目で機嫌悪そうに鋼先を見る。
「出し抜けだね。確かに、あたしは鍛冶屋だ。姓は
「申し遅れた、俺は
「なんだい、それは。工芸をやれってのかい? ……まあいい、とりあえず、自分で見てから決めるよ」
鋼先は、独孤雨水を
胡湖は起きていて、皆と一緒に菓子を食べている。
鋼先が紹介すると、独孤雨水はぶっきらぼうに礼をし、
「で、鳥がどうとか言ってたね。見せておくれ」
と
「この鳥じゃ。あちこち怪我をして、
独孤雨水は、百威をまじまじと見る。
「足も片方
「ちょっと台風に突っ込んでな。よく
独孤雨水は、呆れたようにため息をついた。
「聞けば聞くほど分からなくなるね。そもそもあんたたち自体が、何者なんだか」
鋼先が言った。
「それはおいおい説明する。どうだ、翼を作ってくれないか。それとも無理か?」
無理かと言われて、独孤雨水はむっとした。魯乗はそれを見逃さず、
「これが義翼の
独孤雨水は、ひったくるようにして図面を開いた。そして
「これは……見事だ。これをあんたが作ったのか。なんと
独孤雨水は、尊敬の目で魯乗を見た。
「そうじゃが、えらい時間がかかった。また同じものを作れる自信もない。材料もないのでな」
すると独孤雨水は、歩み寄って魯乗の
「あたしにやらせてくれ。いい鉄もある。三日、いや、一日でやる。この図面の通りに作るよ」
「お、おう、それは心強い。頼まれてくれるか」
「任せてくれ。おい鳥ちゃん、きっと最高の翼を作ってみせるからな、もうちょっとの辛抱だ。そうだ、みんな、あたしの家に来てくれ。手伝ってくれた方が早い」
独孤雨水がそう言うので、
帰宅も早々に、独孤雨水は作業着に着替えた。大きな前掛けをして、手元は手ぬぐいを巻き付け、熱さに備えている。それ以外は、背中も
「まず、元になる鋼を作る。鋼先と
鋼先たちが汗だくになりながら火を熾すと、独孤雨水は数種類の砂鉄を溶かし込み、型に流して薄い板を作った。
見ていた
「暑いかい。実は、今の熱を利用してたくさんの湯を沸かしているんだ。女の子たち、ちょっとおいで」
独孤雨水についていくと、庭の
「すごい!
李秀が驚くと、独孤雨水は得意げに
「温泉をまねて作ったんだ。いつか誰かに自慢したくてね。今作った板が冷めるまで時間がかかるから、その間に一緒に入ろうか」
と
李秀と
しかし、
「なにか騒々しいな。暑くてくらくらしてるんだ、静かにしてくれよ」
「こら、入ってきちゃだめだ!」
独孤雨水が、胸も