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第29魔:合鍵

「みなさん、時代はやはり『異世界モノ』だと思いませんか?」

「流石ね未来延さん。私も常々そう思っていたのよ」

「待て待て待て待て」


 未来延ちゃんが今までで一番不穏なことを言っている。

 今日も飽きもせずスパシーバにはいつものメンバーが集まっているのだが、開口一番未来延ちゃんが『異世界モノ』などと、禁断のワードを言い出しやがった。

 ちなみにこれは余談だが、スパシーバの入り口にある植木は、お袋が昨日キッチリ手入れしてくれたらしい。


「お嬢、異世界モノいうたらあれやろ? 現代の名医が、幕末にタイムスリップして、現代の技術を用いて人々の命を救うっていうやつやろ?」

「ピッセ、それは確かに名作だが、異世界モノとは少し違うと思うぞ」


 いや? 広義ではそれも異世界モノになるのかな?


「堕理雄、異世界モノの定義はここではとても語り尽くせないから置いときましょ。とにかく私はもう、異世界に行きたいテンションになっちゃったわ。他に異世界行く人ー?」

「そんな、『二次会行く人ー?』みたいなノリで、異世界に行くな!」

「はいはーい、私は行きたいでーす」

「お嬢が行くなら、ウチも付いてったるわ」

「菓乃子氏は?」

「え、うーんと、どうしよっかな。堕理雄君は行くの?」

「いや、俺は行きたくない(真顔)」

「みんな聞いてちょうだい。堕理雄は昨日、赤ちゃんみたいに私の――」

「行きます。行かせてください。お願いします沙魔美さん」

「最初からそう素直になればいいのに」

「……堕理雄君が行くなら、私も行こっかな」

「よし、これで全員参加ね。シェフ、そういうわけなんで、今から従業員のみなさんをお借りしてもよろしいかしら?」

「おう、いいぞ。じゃあ今日はもう、店閉めちまおう」

「伊田目さん、俺が言うことじゃないかもしれませんが、この店、臨時休業多すぎじゃありませんか?」

「いいんだよ別に。元々趣味でやってる様なもんだし。本職は別にあるしな」

「えっ!? そうなんですか!? 初耳ですけど……」

「おっと! この設定はまだ言っちゃいけないやつだった。忘れてくれ」

「それは無理ですけど……」

「さーて、では恒例のマイシスター召喚の儀に移りましょう。今日のマイシスター醜態ガチャは、何が出るのかしら?(ワクワク)」

「醜態ガチャって何!?」


 沙魔美が指をフイッと振ると、俺達の目の前に、これからお風呂に入ろうとしている真衣ちゃんが現れた。

 今日は幸い全裸ではなく下着姿だったのだが、真衣ちゃんがしているブラは、エグいくらいにパッドが入っているブラだった。

 ……何てことだ。

 沙魔美が何度も真衣ちゃんの胸をバカにするから、ついに真衣ちゃんが禁断の領域に手を出してしまったじゃないか。

 しかもその割には、穿いているパンツは、可愛らしいクマさんがプリントしてあるものだった。

 これが、モラトリアムというものだろうか(違う)。


「ゴッハア!! おおおおおお兄さん!! ち、違うんですこれは!! このブラは悪の組織に、無理矢理付けさせられたブラで!!」

「あ、そうなんだ……。それは大変だね」


 それはそうと、俺のバカ親父のことを、これからもよろしくね(今言うことではない)。


「悪しき魔女-!!! 毎度毎度あなたは、なんで私がお風呂に入るタイミングで呼び出すんですかー!!!」

「ごめんなさい。本当に悪気はないの。ただ、マイシスターの困る顔が見たいだけなの」

「悪気しかないじゃないですか!! とにかく早く服を!!」

「その前に今からみんなで異世界に行くから、服はそれからね」

「は? 異世界?」

「では異世界に向かって、トウッ」


 沙魔美が昭和仮面ラ〇ダーの様にジャンプして地面に着地すると、俺達は牧歌的な雰囲気が漂う、人気のない草原に移動していた。

 異世界ってこんな簡単に来れるんだ(白目)。




「ほう、ここが異世界いうとこか。地球とあんまかわらんな」

「そりゃ数々の惑星を渡り歩いてきたあなたからすれば、些末な差でしかないでしょうよ、カマセ」

「ピッセや! 何ならここで決着つけてもええんやぞ、魔女!」

「おい二人共! 内輪揉めしてる場合かよ! ここがテンプレ通りの異世界なら、凶暴な魔物がウヨウヨしてる世界なんだぞ」

「ハッ! そんなん望むところや! ウチがまとめて、うなじを潰して駆逐したるわ」

「お前本当、日本の漫画大好きだな」


 ……マジで異世界に来てしまった。

 とはいえ、ここが本当に所謂異世界というところなのかは、まだ確証はない。

 ひょっとしたら、ただのヨーロッパ辺りの辺境かもしれない。

 モンスターでも出て来たらわかりやすいが、うちのパーティーは沙魔美とピッセ以外は、チート能力もないただの一般人だ。

 なるべくそういうのとのエンカウントは避けて、最近流行りの異世界平和観光的な展開を期待したいところだな(フラグ)。


「さてと、じゃあみんなの職業を決めましょう」

「え? 職業?」

「そうよ。異世界モノといえば、種々の職業がウリの一つでしょ? 大丈夫、私がみんなに合った職業をコーディネートしてあげるわ」

「待て! それ絶対大丈夫じゃないだろ!」


 沙魔美が指をフイッと振ると、俺達は全員ポフッと煙に包まれた。

 そして煙が晴れると俺は……


 ドラ〇エ3の勇者の様な格好になっていた。


 メッチャテンプレなのキタコレ!


「ウフフ、私の見立て通りね。やっぱり堕理雄は勇者よね」

「……」


 正直、大分荷が重いんだが……。

 まあ、変な職業にされるよりはマシか。

 ん? 何だ? 目の前にステータス画面みたいのが見えるぞ?


「それはまさにステータス画面そのものよ」

「へえ、どれどれ」


 俺のステータスを確認してみると、次の様に書かれていた。


 しょくぎょう:勇者

 レベル   :1

 ちから   :7

 まりょく  :4

 ぼうぎょ  :6

 すばやさ  :6


 弱。

 まあ、でも残当か。

 元々俺は戦う気なんてないし、ステータスなんて飾りです。偉い人にはそれが(ry


 ちなみに沙魔美は、この間の白雪姫の劇で着ていた、王妃の衣装を身に纏っていた。

 沙魔美の職業は何なんだ?

 俺は沙魔美のステータス画面を覗き見た。


 しょくぎょう:魔法使い

 レベル   :801

 ちから   :2

 まりょく  :999

 ぼうぎょ  :2

 すばやさ  :2


 圧巻のまりょく。

 これぞ異世界モノ名物のチートキャラだ。

 それに、よく考えたら沙魔美の職業は魔法使い以外ないよな。


 さて、じゃあピッセはどんな感じかな?


「またこの服を着る日が来るとはな」


 ピッセは懐かしの、ビキニ水着に海賊コートの出で立ちだった。

 職業は何だ?


 しょくぎょう:盗賊

 レベル   :777

 ちから   :893

 まりょく  :69

 ぼうぎょ  :596

 すばやさ  :765


 強!!

 流石は元、伝説の宇宙海賊ギャラクシーエキセントリックエッセンシャルパイレーツのキャプテン。

 職業の盗賊も、宇宙海賊から取ったのかもしれないけど、ステータスだけ見ればゴリゴリの戦士って感じだ。

 正直、ピッセがいればどんなモンスターが出てもワンパンで勝てるんじゃ……。


 ではお次、真衣ちゃんはどうかな?


「ちょっと悪しき魔女! 私この格好ゴツくて可愛くないからヤなんですけど!」


 真衣ちゃんは全身を、ナイトの様な重厚な鎧で包んでいた。

 これは普通にナイトなのかな?


 しょくぎょう:ツルペタ

 レベル   :17

 ちから   :3

 まりょく  :3

 ぼうぎょ  :888

 すばやさ  :4


 職業ツルペタって何!?

 てか、ぼうぎょ高!

 どうしてこうなった……。


「マイシスターの鉄板のごとく、堅牢な胸板に着想を得て、その鎧を造ってみたの。私は胸部装甲がやわらかスマホ(?)だから、ぼうぎょが高いマイシスターが羨ましいわ」

「クソがあああ!!!」


 また沙魔美が真衣ちゃんの胸をおちょくっている。

 こいつは本当にクソだな。

 彼氏の顔が見てみたいよ。


 気を取り直して、次は未来延ちゃんを見てみよう。


「はあー、やっぱりこの格好が一番落ち着きますねー」


 あれ?

 未来延ちゃんだけ、バイトのエプロン姿のままだぞ?

 職業は何なんだ?


 しょくぎょう:イタリアンレストランの娘

 レベル   :18

 ちから   :4

 まりょく  :5

 ぼうぎょ  :4

 すばやさ  :6

 りょうり  :551


 職業イタリアンレストランの娘って何!?

 百歩譲ってそこは料理人とかじゃないの!?

 何なの!? この未来延ちゃんの、イタリアンレストランの娘に対する熱いこだわりは!? 

 ステータスにも、『りょうり』って固有のがあるし。

 戦闘に料理関係なくない?


 ……さてと、大トリは菓乃子か。

 菓乃子なら、変なことにはなってないと思うんだけどな(フラグ)。


「さ、沙魔美氏、これはちょっと」


 菓乃子は露出が多い、セクシーなくのいちの格好をさせられていた。

 エッッッッ。

 これは目のやり場に困るな……。

 職業は忍者とかかな?


 しょくぎょう:ストーカー

 レベル   :20

 ちから   :6

 まりょく  :8

 ぼうぎょ  :4

 すばやさ  :5

 ストーキング:894


 ストーカーって何!?

 そしてストーキング高!!

 えっ!? 待って!?

 菓乃子って誰かのストーカーなの!?

 それがもし本当なら、一応元カレとして、菓乃子が犯罪者になる前に止めてあげないと……。


「菓乃子……あの……」

「いや! 違うの堕理雄君! 私は悪の組織に、無理矢理ストーカーにさせられただけなの!!」

「あ……そういうことなら、ね」


 とはならねーよ!?

 まあ、菓乃子がストーカーなわけないし、どうせ沙魔美のいつもの悪ふざけだろう。


「フフフ、無知は最高の罪よね」

「沙魔美氏!」

「何だよ沙魔美、何か言いたいことがあるのか?」

「いいえ、何でもないわ」


 ? まあいいか。

 それにしても、こうやって全員のステータスを並べてみると、ブッチギリで俺が一番弱いな。

 俺だけレベル1だし。

 唯一の男なのに一番弱いというのは、流石にカッコ悪い……。

 取り柄がないのは事実なので、甘んじて受け入れるしかないが。


「アラ? あれは何かしら堕理雄?」

「え? どれ?」


 沙魔美の目線の方向を見ると、一人の美女が巨大な牛の様なモンスターに追い掛けられているところだった。

 なっ!? 本当にモンスターがいた!

 これでここが異世界なことは確定か。

 いや、今はそんなことはどうでもいい。

 早くあの人を助けないと!

 俺は美女とモンスターの間に割って入り、両手を広げてモンスターに対峙した。


「あ、あなたは!?」

「ただの通りすがりの者です。あなたは早く逃げてください!」

「は、はい!」

「ああーん、何だお前は? 俺様が伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスだと知っての邪魔立てか?」

「!」


 こいつ、喋れるだけの知能があるのか。

 むしろ今、魔王軍四天王と言ったか?

 どうやらこの世界にも、所謂魔王がいるらしい。

 ……これは厄介なことになったな。


「オイ! 何とか言ったらどうなんだ! ドラ〇エ3の勇者みたいな格好しやがって」


 ドラ〇エ知ってんの!?

 ここ、本当に異世界か!?


「けっ! もういい、とりあえず死ねやあ!」

「くっ!」


 伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスは、前脚に付いている鋭い爪を俺に振り下ろしてきた。

 ヤバい!

 俺は思わず目をつぶってしまった。


 ガキンッ


 ……え?

 痛くない。

 それに今のガキンッて音は何だ?

 俺は恐る恐る目を開けた。


「ぐあああ!! 俺様の自慢の爪がああ!!」


 伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスは、自慢の爪が折れて、のたうち回っていた。

 そして俺の目の前には、両手を広げた真衣ちゃんが、凛として立っていた。


「お怪我はありませんか、お兄さん」

「あ、ああ、俺は大丈夫。ありがとう真衣ちゃん、助かったよ」

「どういたしまして。安心してください、穿いてま……じゃなかった、お兄さんは私がこの命に代えても必ず守ります」


 やだ……イケメン。

 おっと、コントをしてる場合じゃない。

 流石は真衣ちゃんの強靭な防御力といったところだが、やっぱり女の子を前線に出すのは気が引ける。


「真衣ちゃん、危ないからここは下がった方が……」

「こんのクソガキがあああ!!! 絶対ブチ殺してや……ん? 何だお前は?」


 え?

 いつの間にか伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスの目の前に、ピッセが立っていた。


「伝説の必殺拳技ファイナルアトミックインスタバエナッコウ」


 ドウッ


「ブッチッパ!」


 伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスの頭が吹き飛び、その巨躯は地響きを立てながら、大地に倒れ込んだ。


「なんや、手加減したんやがなあ。ホンマ軟弱なやっちゃで」


 ……ピッセ強。

 強キャラっぽいやつを、本当にワンパンで倒しちゃったよ。

 これ、ピッセさえいれば、魔王も楽勝じゃね?


「よくやったわカマセ。褒めてつかわす」

「ピッセや! 何でジブンはそんな偉そうやねん、魔女!」

「だってあなたより私のほうが強いもの。私が戦ったら他の人の出番がないから、私の優しさであなたに花を持たせてあげたのよ」

「ケッ! そいつはどーも!」

「あ、あの……」

「え?」


 先程助けた美女が、俺のところに駆け寄ってきた。


「危ないところを助けていただき、本当にありがとうございました」

「い、いえいえ、俺は実質、何もしてないですし……」

「そんな! 最初に駆けつけていただいたのは、あなた様です。とっても素敵でしたわ……」


 そう言うと美女は、潤んだ瞳で俺の手を握ってきた。

 あ、ヤバい。

 俺の後ろから、魔王顔負けの、魔女の殺気が漂ってくる。


「……堕理雄、あなたさては、『ゆうべはおたのしみでしたね』的な展開を狙っていたのね……」

「そんなわけないだろ! 俺はただこの人の命が危なかったから、助けようとしただけだ!」

「またそうやってあなたは……」

「はいはーい、痴話喧嘩はその辺にして、ご飯が出来たのでみんなで食べましょー」

「え? ご飯?」


 未来延ちゃんのほうを見ると、いつの間にか人数分ハンバーグが作られていた。


「……未来延ちゃん、そのハンバーグどうやって作ったの?」

「え? そこに食材が転がってたんで、それで作っただけですけど?」


 そう言って未来延ちゃんは、伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスの死骸を指差した。

 ウオオオオオオ!?

 マジか君!?

 いくら何でも、それはナシだろ!?


「アラ美味しい。流石未来延さんね」


 !?

 沙魔美が普通にハンバーグを食べている……。

 お前やっぱトンデモネーな。


「ホウ、お嬢のメシは相変わらず美味いのう」

「本当だ。味は牛肉みたいですね。お兄さんも一緒に食べましょうよ」

「あ……うん」


 あれ?

 俺がおかしいの?

 まあ、確かに見た目は牛っぽかったしな。

 じゃあ、一口だけ……。

 俺は恐る恐るハンバーグを口に入れた。

 ……。

 ウマい!!!

 よし! ここに異〇界食堂を開こう!(名案)


 そして俺達は食卓を囲みながら、助けた美女(エーコさんという名前らしい)から、この世界のあらましを聞くことになった。


「この世界は、つい先日まではとても平和だったんです。ですが、永年の封印から魔王が遂に目覚めてしまいまして……。それ以来、先程の四天王達を筆頭に、恐ろしい魔物が世界中に溢れかえってしまったのです」

「……なるほど」


 テンプレ中のテンプレな内容だな。

 ある意味わかりやすくていいが。


「じゃあその魔王を倒せば、この世界は平和になるってことですか?」

「ええ。ですが、魔王の住む城は強力な封印が施されており、封印を解くには、四天王を全員倒さなくてはならないのです」

「……ほほう」


 これまたメッチャよくあるパティーンだ。

 じゃあメンドイけど、世界中を回って、残り三人の四天王を倒さなくちゃいけないのか……。


「丁寧な説明台詞ありがとう、村人A子さん。ではここで、残りの四天王達の様子を見てみましょう」

「え? 沙魔美、見てみるって、どうやって?」

「出番よ! 菓乃子氏!」

「えっ、私!?」

「今こそあなたの、プロのストーキングを見せてちょうだい!」

「ええっ!? 沙魔美氏、プロのストーキングって何!?」

「いいから四天王のことを強く思い描くのよ!」

「え……あ、うん。やってはみるけど……」

「ヘル〇ェイク矢野のことは考えちゃダメよ」

「沙魔美氏、気が散るからそういうことは言わないで」

「シュン」


 菓乃子は目をつぶり眉間に皺を寄せて、何かを強く念じるようなポーズを取った。

 すると俺達の前にテレビのモニターのようなものが出現し、そのモニターにはいかにも四天王然(?)とした三体の凶悪そうなモンスターが映っていた。

 おおっ!?

 これ菓乃子が出したのか!?

 プロのストーキングスゲーな!

 ちなみに四天王達は、たけのこニョッキゲームで遊んでいた。

 四天王仲良いな!

 だが、俺達の視線に気付いたわけではないのだろうが、四天王達は急に真顔になった。


「おっ! いよいよアレが出るんじゃない!? 堕理雄!」

「は? アレって?」


 四天王達はこう言った。


「伝説の魔王軍四天王の一人アキラシミズニャッポリートベヒーモスがやられたようだな……」

「フフフ……奴は四天王の中でも最弱……」

「人間如きにやられるとは魔族のツラ汚しよ……」

「出たー!! 四天王なら一度は言ってみたい台詞第一位! 今の標準で録画して私にちょうだい、菓乃子氏!」

「あ、うん、いいけど……」


 お前絶対四天王のことバカにしてるだろ!?

 まあ沙魔美くらいのクソチートキャラなら、四天王なんてスラ〇ムみたいなもんだろうから、おちょくりたくもなるのかもしれないけど。

 モニターの中の四天王達は、言ってみたい台詞第一位を言えて満足したのか、各々のアジトに戻って行ったようだった。


「さてと、じゃあ順番に一匹ずつ倒していきましょっか。菓乃子氏、四天王の位置は特定できてるわよね?」

「う、うん。一番近いのは、北に百キロくらい行ったところかな」

「結構。では私の魔法で現地までワープしましょ」


 本当にこのパーティーチートすぎだろ。

 ぶっちゃけ俺は必要ないよね?


「待ってください!」

「え?」


 エーコさんが俺のところに来て、俺の手に何かを握らせた。

 何だ?

 俺が手を開くと、そこには鍵のようなものが乗っていた。


「……これは」

「私が泊まっている宿屋の合鍵です。先程のお礼がしたいので、今夜お一人で宿まで来ていただけませんか?」

「……」


 本当に『ゆうべはおたのしみでしたね』的な展開来ちゃった。


 後半に続くゼーット!!(突然の水木〇郎)

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