目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報

第84魔:すぐ行くよ。

 堕理雄君

 ちょっと聞きたいことがあるんだけど

 今少し時間大丈夫かな?

 22:17


 大丈夫だよ。珍しいな、菓乃子が俺に連絡してくるなんて。何、聞きたいことって?

 既読

 22:18


 今日って

 沙魔美氏は泊まりに来てる?

 22:18


 いや、今日は来てないよ。なんで?

 既読

 22:19


 あ!

 そうなんだ!

 ううん!

 何でもないの!

 気にしないで!

 じゃーねー!!

 22:19


 お前菓乃子じゃないだろ?

 既読

 22:19


 え!?

 なんで!?

 私は菓乃子だよ!!

 菓乃子に決まってるじゃん!!

 22:19


 さてはピッセだな?

 既読

 22:20


 ピッセじゃないよ!!!

 菓乃子だよ!!!

 22:20


 じゃあ今からピッセのスマホに電話してもいいか?

 既読

 22:20


 それはやめて!!

 わかったよ

 白状するわい

 ピッセやピッセ

 なんでわかったんや?

 22:21


 何となく。テンションもおかしいし。菓乃子はそんな頻繫に改行入れないしな。

 既読

 22:21


 ああそうか

 流石先輩やな

 一本取られたわ

 22:21


 なんでピッセが菓乃子のスマホ使ってんだよ? 今一緒にいるのか?

 既読

 22:21


 魔女には絶対黙っといてくれるか?

 22:22


 内容によるけどな。

 既読

 22:22


 実は今日は

 ウチが初めて菓乃子の家に泊まりに来とるんやけど

 そのことを魔女が知ったら

 またいろいろと茶々入れられそうやろ?

 せやから菓乃子が風呂入っとる間に

 菓乃子のスマホをコッソリ借りて

 こうして先輩に探り入れてみたってわけや

 22:23


 なるほどな。よくわかったよ。そういうことなら沙魔美には黙っといてやるから、安心しろよ。

 既読

 22:24


 ホンマか!

 サンキューな先輩!

 恩に着るで!

 22:24


 そうだピッセ。菓乃子の家に泊まるなら、菓乃子が喜ぶいいものを貸してやるから、玄関の鍵を開けて待っててくれよ。今から持ってってやるから。

 既読

 22:25


 何やええもんて?

 まあええか

 楽しみに待っとるで!

 22:25


 うん。すぐ行くよ。

 22:25







「沙魔美、風呂出たぞ。お前も入ってこいよ。――って、あれ!? お前何、俺のスマホ勝手に弄ってんだよ!?」

「あんの泥棒魚がああああああああ!!!!!」

「!?」


 沙魔美は鬼のような形相をしながら、目にも止まらぬ速さで玄関から出て行った。

 そしてその数秒後、何故か隣の部屋から、ピッセの断末魔の叫びが聞こえてきたのだった。


 どういうことなの……。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?