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第94魔:SHOW!

 DJ.SAMAのウィッチナイトレイディオ~


「フィフティーフィフティー! ラジオの前のみなさんこんばんは。そして今お目覚めの方はグッモーニン! みなさんのお耳の恋人、『DJ.SAMAのウィッチナイトレディオ』のお時間どぅえす!」

「唐突に何か始まった!? 何なのこれ!? ここどこ!?」

「今夜はゲストとして、シンガーソングライターのダリオッティーに来てもらいましたー。フィフティーフィフティー!」

「その『フィフティーフィフティー!』ってのイラッとするからやめろ沙魔美。そして俺はシンガーソングライターではない。……とにかく状況を説明しろよ」

「何だよノリが悪いなオッティ~」

「早くも名前を略すんじゃねーよ!」

「そんなオッティ―のKY発言も、電波に乗ってリスナーのみんなに聴かれちゃってるんだぜ~」

「口調ムカつくッ! えっ、待って。これ、マジでラジオ放送しちゃってるの!?」

「だから何度もそう言ってるじゃないか、フィフティーフィフティー!」

「次『フィフティーフィフティー!』言ったら許さないぞ! そもそも『フィフティーフィフティー!』って何だよ」

「何事もフィフティーフィフティーにいこうぜっていう、DJ.SAMAからの世界に向けたメッセージだよオッティ~」

「この状況が既にフィフティーフィフティーじゃねーよ!? 急にこんなところ連れてこられて、ラジオ番組やらされて。新手の監禁じゃねーかこれ!」


 DJ.SAMAのウィッチナイトレイディオ~


「うるせーな!? さっきも流れてたけどこのジングル、クソダセーぞ!?」

「おやおや。どうやら今夜のオッティーは、ご機嫌が斜め45度みたいだね。まあ、それはそれとして」

「それはそれとするな!」

「まずはオープニングの曲紹介いってみまSHOW! 千葉県にお住まいの、ラジオネーム『カイチョー』さんからのリクエスト、ちっこいズで、『進藤神童マジしんどー』、どうぞ」

「絶対会長だこれ!」


 Hey! 俺の名前は進藤

 俺は斉藤

 俺は加藤


 俺は伊藤で

 あいつは佐藤

 せやかて工藤

 付和雷同Yeah!


 進藤神童マジしんどー

 100メートル走5秒台

 進藤神童マジしんどー

 右手の握力200キロ


「ハーイ。ラジオネーム『カイチョー』さんからのリクエストで、ちっこいズの、『進藤神童マジしんどー』でしたー。エイティートゥエンティー!」

「割合変わったな!?」

「だってオッティーが、『フィフティーフィフティー!』は言うなっていうから」

「行間を読めよ! 『フィフティーフィフティー!』じゃなきゃイイってわけじゃねーから!」


 DJ.SAMAのウィッチナイトレイディオ~


「ジングル入れんな!! もう怒りで血管がキレそうだ!!」

「さあ! 続いては、『DJ.SAMAのお悩み聞きまSHOW!』のコーナーいってみYO!」

「いつも思うけどこの手の回って、俺いなくてもいいよね?」

「このコーナーは、ワタクシDJ.SAMAがリスナーの方々のお悩み相談に乗るという、大人気コーナーになっておりマシュマシュ」

「世界で一番相談相手に向いてないだろお前!?」

「それでは今夜のお便りを紹介しマッシュ! 千葉県にお住まいの、ラジオネーム『デリヘルを家に呼んだら友達のお母さんがやって来た』さんからのお悩み」

「既に悩みの内容、大体わかったぞ!」

「『SAMAさんこんばんは』。はいこんばんは~。『実は僕は今、とある悩みを抱えています』。何かな~」

「合いの手ムカつく」

「『実は僕は、とあることがキッカケで、友達のお母さんを好きになってしまいました』」

「好きになっちゃったの!? チェンジしなかったの!?!?」

「『友達のお母さんは未亡人で、できれば僕の手で幸せにしてあげたいと思っています』」

「ハート強いね!? 昔友達のお母さんと結婚した野球選手いたけどね!」

「『ですが、僕のほうが大分年下ということもあり、何と言って告白したらいいか迷っています。SAMAさん、どうかベストな告白の台詞を考えていただけないでしょうか』。なるほどなるほど、よくわかりました」

「オイオイ大丈夫か? これ、結構ガチ目な悩み相談だぞ……」

「じゃあここは一つ、こんなアプローチの仕方はどうかな? 『僕の伯父さんが新しいクルーザーを買ったんだけど、よかったら今度、君も一緒に乗せてって頼んであげてもいいよ』」

「ス〇夫かよ!! 絶対にやめとけ!! そもそもクルーザーを持ってる伯父さんがいる人なんて、世の中に何人いるんだよ!?」

「ホントの〇太くんは文句ばっかりだなあ~」

「誰がだ! 俺がの〇太くんなら、お前はジャイ〇ンだろ!」

「えっ。てことは、それって……」

「それ以上は言うなッ!! マジでヤバいから!! いいからちゃんとリスナーの悩みに答えろよ!」

「フム。じゃあこんな告白はどうかな? 『いやあ、このお店のハンバーグ美味しいね。え? ハンバーグの中に何か入ってる? ――それは僕からの婚約指輪さ。僕と結婚を前提に、真剣にお付き合いしてください』」

「しないよ!! そんな肉汁まみれの指輪、嵌めたくないよ! お店の人もよく協力してくれたな!?」

「わかったわかった。ではこれなら大丈夫だよ。『ホラ、月が綺麗だね。え? 老眼でよく見えない? あ、そう……』」

「失敗してるじゃねーか!! お前は二度と相談には乗るなよ!!」


 ダリオッティーのM男ナイトレイディオ~


「勝手に人の名前をジングルに使うな!! それに俺はM男じゃねえ!!」

「エイティーフィフティー!」

「合計100じゃなくなった!?」

「それでは残念ですが、そろそろエンディングのお時間です。エンディング曲は千葉県にお住まいの、ラジオネーム『カイチョー』さんからのリクエスト、ちっこいズで、『きっとYUMEじゃない』、どうぞ」

「会長しかリクエスト出す人いないの!?」


 YUMEじゃなーい

 YUMEじゃなーいーんだー

 朝起きたら仮想通貨で600万損してたー


 YUMEじゃなーい

 YUMEじゃなーいーんだー

 彼女が裏垢で陰謀論吹聴してたー


「それはYUMEのほうが良かったね!!」

「また来週、この時間にお会いしまSHOW! エイティーエイティー!」

「二度と俺は呼ぶなよ!!」


 DJ.SAMAのウィッチナイトレイディオ~、オ~、オ~、オ~


「エコームカつくッ!」

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