大我を背中に背負いながら大輔は入学式に出た。大我は、ウィスキーを一気飲みして眠ってしまったのだ。健が心配そうに横にいる。
「入学式!晴れの舞台じゃないか!」
と大輔は笑いながら首席代表として体育館に向かった。体育館に着くとパイプ椅子に座って大我を大輔は起こした。
「ここは?」
まだ大我は寝ぼけているらしく
「入学式だぞ!」
と大輔に言われるまで分からない様子だった。
「こいつは失敬!」
と大我は反省してる様子だった。
「首席代表!冠城大輔君!」
と校長に呼ばれ大輔は檀上に堂々と立った。
「俺様は、冠城大輔!天下を取る漢だ!」
と大きく叫んだ。
会場は、一瞬静寂に包まれたが大歓声が沸き起こった。
大輔には、祝辞なんて屁の河童である。大輔は大輔らしい挨拶をしたのだ。
「大輔君、カッコイイよ!」
と席に戻って来た大輔に健が言った。
「紙一重だな。」
と大我が言った。こいつは御殿様じゃねー傾奇者だ。こいつの仲間になれば本当に天下が取れるかもしれねー!大我はワクワクした。こんな漢出会った事がねー。官僚の夢なんてちいせーよ!ビッグになりてーな。東大なんて屁の河童だ!
「大我、もう酔は醒めたか?」
と優しい声で大輔は大我に聞いてきた。
「おうよ!あのくらいの酒で情けねー!あとで花見に行こうぜ大輔!」
「おお!良いな!風流だな!」
健が、困った顔をしているが微笑ましく思っていた。