屋敷のリフォームの合間に、息抜きを兼ねて王都にある【冒険者ギルド総本部】へと向かってみることにした。
流石は王都と言ったところか、ギルド大通りというものがあって【冒険者】【魔術】【武術】【商業】【錬金術】【農業】などの多種多様なギルドが並んでいた。その中でも一際大きな建物に【剣と盾】の大きい看板を揚げているのが冒険者ギルド総本部で、世界各地にある冒険者ギルドの全てを統括してる場所なの。
私たちを乗せた馬車が冒険者ギルド総本部の大きな建物の前に停まる。馬車から降りてから建物を見上げていると、思わず感嘆の言葉が口から漏れた。
「わぁ〜、凄く立派で大きな建物だね。これが冒険者ギルド総本部なんだね〜」
「確かに立派な建物なのですが、私は冒険者ギルドに良いイメージがありません。中へ入るとギルド職員の対応は、非常に残念なものかも知れませんから……」
私の感想を聞いたゼシカは、これまで冒険者ギルドが不手際を繰り返してたために、未だに冒険者ギルドへのイメージは悪いみたいで、アナとリューネも頷いていた。私もハッキリ言えば冒険者ギルドは好きとは言えないかった。
「まぁ、流石に冒険者ギルド総本部なんだから、ここは大丈夫じゃないのかな?」
「「そう願いたいです」」
冒険者ギルド=何かやらかすっていうイメージを、そろそろ挽回して欲しいと思いつつ、私たちは大きな扉を開けて冒険者ギルド総本部の建物の中へと入っていった。
これまでの冒険者ギルドなら、荒くれ者で溢れているのが普通だったけど、ここはそんな雰囲気は全くなかった。信じられないことに身嗜みをキチンと整えた冒険者が、受付の前で文句も言わずに並んでいるのだった。
予想とはあまりにも違い過ぎて、私は思わず口を滑らせてしまう。
「うん、これは逆にひくよね?」
「はい、なんか裏切られた感が半端ないです」
私が感想を口にすると、ゼシカたちも同意見だったようだ。王都にあるからそうなのかも知れないけど、他の冒険者ギルドとのあまりのギャップ差に、まるで異世界に来たのかと思ってしまうほどだった。
「とりあえず、更新課に並んでギルドカードの更新をしてもらうよ。そのあとは王都近辺にあるダンジョンの情報を教えてもらって、依頼の内容を確認してから帰ろうか」
「「かしこまりました」」
今までなら、女だけのパーティーだと冷ややかな視線と、脳筋な輩に声をかけられたりしたけど、ここでは全く絡まれることなく、私たちの順番が回ってきた。
何も起こらない方が良いんだけど、何かやらかすのが冒険者ギルドだと思ってたから、なぜが物足りなく感じる自分が居たのだった。
(こんなの冒険者ギルドじゃない! だってなんのイベントも起こらないんだもん!)