流石に100着を超えるのは多過ぎると思って、もっと減らすように声をかける。
「ねぇ……、流石に多過ぎないかな? 半分くらいでも十分だと思うんだけど?」
「えっ? なにを言われるのですか? これはあくまで春用のドレスであって、夏用、秋用、冬用のドレスも作る予定なんですよ?」
私が多過ぎると言ってるのに、ミネバは意味が判らないと言わんばかりか、季節ごとにドレスを作ると言い返してきた。その場に居た全員も『ウンウン』と頷いてるので、そのつもりのようだった。
「私の服をたくさん作り過ぎたら保管が大変じゃない? みんなも好きな服を作って楽しんだらよくない? その方が絶対に楽しいよね?」
「それについては全く問題ありません。我々の服には自動修復機能と、自動洗浄機能を付与していただければ、1着あれば十分です。保管場所は無限収納が可能なクローゼットを作って頂ければ、どれだけ作っても収納可能になりますので問題ありませんし、アリス様に着飾って頂くことが我々の楽しみです」
「「その通りです!」」
ミネバの完璧な返事に、みんなが声を揃えて応えた。数では勝てないけど少しでも抵抗を試みる。
「学園へは制服で通うわけだしさ、せめて半分にしない?」
「いいえ、アリス様は我々の主なのですよ。たくさんのドレスを身に着けて着飾って頂かないと、我々の楽しみが、あっ、ゴホゴホン、失礼致しました。着飾って頂くのも主としての務めかと思います」
「「思います!」」
一瞬、ミネバの本音が聞こえた気がした? まさか、私を着せ替え人形にして楽しもうとしているのかな?
「ちょっと、ミネバ? 私のことを着せ替え人形とか思っていないよね?」
「滅相もごさいません。アリス様の美しさは、着飾ることでさらにに輝くと思ってます。どうか、我々従者たちの願いを叶えくださいませんか?」
「「お願いします」」
ミネバの言葉のあとに、他の従者たちも頭を下げてくると、流石に『嫌だ』と断れず、認めるしかなかったの。
「う〜ん、判ったよ。お洒落は元々嫌いじゃないからね」
「「ありがとうございます」」
そんなわけで、龍鱗を使った貴重な糸を贅沢に使ったドレスをたくさん作ることになった。豪華な見た目だけではなく、物理攻撃と魔法攻撃を軽減させるので、防具を身に着けてない時でも、身の安全は守られるから安心かな?
次はミネバを筆頭にメイドや守衛たちの服と軽装備も作ることにした。私とゼシカたちには劣るけど竜鱗を使った糸で、ミネバにはツイードのスーツを、メイドにはシンプルなメイド服を黒白一着ずつ、守衛には合金を使った軽装備を作ったの。当然だけど自動修復と洗浄機能付ね。さらに守衛たちは、交代でダンジョンでレベル上げをする時ようにプレートアーマーを希望したので、ダマスカス合金で希望の物を作り上げた。
すると、イリスとクリスがピアスから元の姿に戻って、ねだるように話しかけてきた。どうやら服が欲しくなったらしい。
「「アリス様、ボク達も服が欲しい〜」」
「ゼシカ達と同じ服なんかどう?」
「「うん、ゼシカと同じ服でいい?」」
「「ありがとう〜」」
ようやく武器、防具、服の全てが揃った。
明日から英傑学園に入学までは、冒険者として思い切り活動することにしたの。入学すればダンジョン三昧とはいかないので、思い切り楽しむことにした。