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第25話 再びダンジョンへ

 年が明けて、グリエル英傑学園へ入学する日が近づいてきた。


 入学までの間は、ユーザニア市にあるダンジョン、嘆きの地下迷宮の攻略を続けた。最深部と言われている30階層の完全踏破を目指して、ダンジョン三昧の生活を続けていたの。


 ゼシカたちと一緒に最深部を踏破したいので、20階層のボス部屋に何度も挑戦したの。最初の頃は全く歯が立たず、軽くはね返されていたけど、挑み続けるうち自力をつけてきて、ようやく3人での勝利が見えてきた。


「さぁ、今日の最後にボス部屋へいくよ。アナとリューネはゼシカの指示に従うんだよ」

「「かしこまりました」」

「私が死霊王ワイトキングを抑えるから、アナは右のキメラを、リューネは左のキメラを頼むわね」

「「はい、姉様!」」


 ゼシカは、ボス部屋に入る前に2人へ指示を出してから、扉を開けて部屋の中へ進んで戦闘態勢をとる。


「作戦開始! 長くは死霊王ワイトキングを抑えられないから、迅速に撃破するのよ! 手間取れば死霊ワイトを召喚されて数的に不利に陥るからね」

「「はい、姉様!」」


 戦闘開始と同時に、ゼシカは死霊王ワイトキングへ矢を速射する。なにか動作に入ろうとすれば、透かさず矢を射って召喚をさせない。ゼシカが死霊王ワイトキングを抑えているうちに、アナは目の前のキメラと対峙して、ヒット&アウェイで着実にダメージを与えいく。


『シュ、シュ、シュン!』


「ガゥ、ゴルァ!」


 アナの的確な攻撃でキメラの動きが鈍くなると、ゼシカはその隙を見逃さず援護をする。


「そこっ!〚風槍ウィンドスピア〛!」


『シュバッ!』


「グルァー!」


 ゼシカの放った風槍が、キメラの右目に直撃すると、立ち上がって潰れた右目を前脚で押さえる。完全に無防備となった腹部が露わになると、アナはレイピアに火魔法を纏わせ、一気に距離をつめて魔法剣で腹部を切り裂く。


「姉様、ありがとう! 炎よ纏え〚炎剣フレイムソード〛!」


『ズバッ!』


「ゴルァーーーッ!」


 炎を纏ったレイピアにより腹部を引き裂かれると、同時に炎で体内を焼かれ、キメラは仰向けに倒れるとそのまま消滅した。


「アナ、よくやりました!」

「姉様の援護があったからだよ!」

「私は引き続き死霊王ワイトキングを抑えるから、リューネに合流してあげて」

「はい!」


 リューネは素早い動きのキメラを相手に、大きな大剣で互角に渡り合っていた。多少の傷は負っているけど、キメラも同様に傷を負っていたが、互いに決め手を欠いて膠着状態だった。


「リューネ、待たせたわね。私がキメラな注意を引くから、全力の一撃を打ち込むのよ!」

「うん、判った」


 合流したアナが、キメラを上回るスピードで突いては離れて、リューネの意識を完全に忘れさせる。リューネは気づかれないようにキメラの横へ移動すると、狙い澄ましたタイミングで最高の一撃を放った。


「ぶった斬るんだからっ!」


『ズ、バシューッ!』


「ガブッ……」


 リューネの大剣が首を捉えると、一気に切断されずにそのまま地面に叩きつけた。鈍い音と同時に首が『ブチリ』と体からちぎれるように離れると消滅したのだった。


「2人ともよくやったわ! あとは死霊王ワイトキングを倒せば終わりだから、油断せずに倒し切るからね」

「「はい!」」


 ゼシカは死霊王ワイトキングを相手に、1体の死霊ワイトも召喚させずにいた。アナの援護をしながら、完全に抑えきったのは見事の一言だ。


「私とアナで死霊王ワイトキングの左右に分かれて攻撃をするから、リューネは大砲の発射準備をしなさい。装填できたら撃つタイミング任せるわね」

「OK、任せて」

「アナ、いくよ!」

「はい!」


 ゼシカの合図と同時に左右に分かれて、アナはレイピアでヒット&アウェイ、ゼシカは弓で上下へ交互に矢を射って、死霊王ワイトキングになにもさせないでいると、リューネが2人に声をかける。


「お待たせ! ぶっ飛んじゃえーっ!」


『ド、バァーーーン!』


「……」


 リューネから放たれた砲撃が死霊王ワイトキングを通過すると、そのあとはなにも残っておらず、3人だけで20階層のボス部屋をクリアしたのだった。


(これなら、4人で先へ進めるね!)

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