宝箱の確認は帰ってからのお楽しみってことで、30階層を目指して移動を始める。
「今日は30階層にあるボス部屋の前まで行くからね。そこで野営するからそのつもりでね」
「「かしこまりました」」
現れた魔物は私のサポートで、従者たちが仕留める形で倒していくけど、ボス部屋での戦いが原因で疲労したのか、動きにキレがないように感じた。
「3人は動きに精彩がないね。ここからは私が倒していくね。明日中にクリアしたいから、頑張ってついて来てね」
「「かしこまりました」」
「足を引っ張って申し訳ありません……」
「もう少し余裕を持って来るべきだったね。ダンジョンを甘く見てた私の責任だから気に病まないでね」
ゼシカは悔しそうに謝ったけど、厳しい行程を組んだ私にも責任がある。なので、気に病むことはないとだけ伝えておいた。
そこからは、私が先頭に立って強力な魔法をぶっ放して先を急ぐ、早く到着して休ませてあげたい。私はアーニャ様の加護で無限の魔力を持っているから、最高クラスの魔法を惜しみなく使い続けた。そのおかげもあり想像以上の早さで、30階層にあるボス部屋の前にたどり着いた。
「よし、お疲れ様! 誰も来ないと思うから、転移魔法陣を設置してから、ルミナスの森へ帰ってゆっくり休んで明日に備えちゃう?」
「大丈夫です! 直ぐに野営の準備をしますので、アリス様はしばらくお待ちください。アナ、リューネ、直ぐに準備に取りかかるわよ」
「「はい、姉様!」」
従者たちが疲れてるだろうと思って、ルミナスの森の屋敷へ帰ってゆっくりと休むことを提案したけど、ゼシカは迷わずに『NO』と答えた。従者としてのプライドが、疲れたことを理由に帰ることを許さなかったみたい。流石に手伝おうとしたんだけど、そのことに気づいたリューネが笑顔で断ったの。
「主人であるアリス様に手伝ってもらう訳にはいきません。私たちに全てお任せてお待ちください」
「うん、判った」
アナが┃妖精の
「お待たせしました。唐揚げとミンチカツとそぼろ丼になります」
「やっぱり肉なのね……」
「疲れを取るには肉一択ですから」
どんなに疲れていてもブレないゼシカ、私なら疲れ切ってる時はもっと軽い食べ物にするけどね。
私とゼシカは肉料理を普通に食べれたけど、アナとリューネはそぼろ丼をなんとか頬張っていた。そして食事を終えると疲れた身体を癒すために就寝する。翌朝となり朝食を取りながら、おそらく強敵が現れるボス部屋について、先に指示を出しておく。
「ボス部屋をクリアすれば、嘆きの地下迷宮の踏破になるけど、かなりの強敵が控えてると思うの。相手次第で〘拒絶〙を使って終わらせるからね」
「「かしこまりました」」
指示を終えると、私はボス部屋のドアを開けて中へと進んでいく、霧が発生して徐々に薄くなってくると、人型の魔物が現れたので鑑定する。
【ディアボロス】
【HP】15,000
【MP】12,000
【筋力】12,000
【防御】10,000
【敏捷】18,000
〚
超ヤバイのが出てた。普通に戦ったら私でも負けるかも知れない相手だったので、迷わずに〘拒絶〙を使うことにした。
「私は、ディアボロスが生存することを〚拒絶〛する」
「おいっ! 」
『ドサッ……』
本当に申しないないと思ったけど、〘拒絶〙を唱えたら『おいっ!』とディアボロスに突っ込まれたけど、次の瞬間には絶命していた。最強と言えるディアボロスとの戦いは、驚くほど呆気なく終わったけど、私たち光の絆は嘆きの地下迷宮を初めて踏破した冒険者となったのだった。
(強くなったらまた来ます……)
そんなわけで、魔石と宝箱を回収してルミナスの森へと戻って行ったのだった……。