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第29話 宝箱の中身

 嘆きの地下迷宮を踏破してからルミナスの森へと戻ると、並列思考セラフィムから連絡を受けたみたいで、ミネバたちが帰るのを待ち構えていて、フランシスコが全員を代表して祝いの言葉で出迎えてくれた。


「アリス様、嘆きの地下迷宮の完全踏破おめでとうございます」

「「おめでとうございます」」

「ありがとう、30階層のボス部屋で現れたディアボロスが強すぎてさ、最後はズルをして倒しちゃったけど、次は真正面からぶっ飛ばすよ」


 私が倒しきれなかった魔物と言うと、全員が驚きの表情を見せた。私の強さを身も持って知っている光地龍人アースドラゴニュートのガイアが、どんな魔物だったのか聞いてきた。


「アリス様が倒せない魔物とは、いったいどのような魔物だったのですか?」

「えっとね、見た目は龍人ドラゴニュートに近いけど、〚魂喰ソウルイート〛ってスキルを使う奴で、ステータスは全部10,000以上あるぶっ飛んだ奴だったよ」

「その魔物は赤黒い肌に、頭と肩から角が出ていませんでしたか?」


 ガイアの言葉を聞いて、ディアボロスの姿を思い出してみると、言われた通りの容姿だったと思った。ただ、戦えば負けると思い、ディアボロスに話しかける余裕はなかった。


「うん、そんな感じの奴だったよ。ガイアはそいつを知ってるの?」

「はい、古龍エンシェントドラゴンで間違いないかと思われます。負のオーラが力の根源で、その力は神に匹敵すると言われる神話級の化物です。よくぞご無事でした」


 アイツはそんなにヤバい奴だったのか……、本能に従って拒絶使って良かったよ。っていうか、拒絶って神話級の化物すら簡単に倒せるんだね。


「うん、私には〘拒絶〙があるからね。本能に従って手を出さなくて良かったよ。これがその時の魔石と宝箱だよ」

「「おぉ~!」」


 超特大の魔石と宝箱を見せると歓声があがる。良いタイミングなので、25階層の宝箱と合わせてこの場で開けてみることにした。


(あれっ? 粉だったのに魔石に戻ってる?)


『アリス様、私が天才に指示を出して万物創成で元の状態へ戻しておきました』

『ありがとう!』

『いいえ、当然のことをしただけです』


 なんと、並列思考セラフィムが修復してくれていた。本当に頼りになる相棒だと感心する。


「みんなも宝箱に興味あるでしょ? せっかくだからここで開けちゃおうか!」

「「是非、お願いします」」

「OK、開けちゃうよ。オープン!」


 2つの宝箱からは【光輪】【冷蔵庫】【直結式給水システムの設計図】【太陽光発電システムの設計図】【金塊】こんな感じの物だった。太陽光発電でさらに電気を確保できるので、各家庭に電気を供給できる目処はたったかな? 給水システムがあれば、各家庭に水を届けることも可能になるので、ルミナスの森での生活環境が一気に良くなりそうだね。金塊は調べなくても判るので、最後に残った光輪を鑑定して調べてみる。


【光輪】4枚組の光の輪で、使用者の思うままに扱うことができる。攻撃と防御とも優れた神話級のアイテム。


 ちょっと、見ただけでは判らないから、光輪使ってみることにする。


 軽く光輪に触れてみると、光り輝いて私の左腕にブレスレットのように装着てきた。次に左腕を前に向けて目の前に4つのリングを四方向に展開して、防御壁をイメージすると光の壁が現れた。


「なるほど、私のイメージした通りに動いてくれるんだね。攻撃する時は刃で斬り刻むイメージでもすればいいかな? えいっ!」


『シュパンッ!』


 私は1本の大木に向かって光輪を放って、四方向から同時に斬るイメージをすると、一瞬で大木が輪切りになった。


「これは凄く使い勝手が良いね。もっと色々な使い方ができそうだから、ダンジョンの魔物で試してみるよ」


 私が光輪を自在に扱ってると、フランシスコは胸元に両手を合わせながら、みんなの方へ体を向けていた。このパターンはかなりヤバイ気がする……


「光輪を自在に扱われるアリス様の神々しさ、ルミナス神アリス様!」

「「ルミナス神アリス様!」」


 その場にいた全員が私に対して跪いて祈り始めたのだった……


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