グリエル英傑学園の入学までに、なんとか嘆きの地下迷宮を踏破することができた。
私達は王都にある屋敷から、豪華な専用馬車に乗りながらグリエル英傑学園へ向う。
入学式に出席するのは、私とゼシカたち三姉妹を合わせた4人と、秘書官のミネバに執事長のシオンに、ルミナスの森で私に代わって統治してるフランシスコの3人が同行する。
学園の正門に馬車が到着すると、御者を勤めたアマンダが扉を開けると、ミネバを先頭に全員が馬車から降りる。学園の関係者が講堂へ誘導してるので、私たちは講堂を目指して歩いて行くと、1人の男性が私たちの方へ歩み寄ってきて声をかけてきた。
「コホン、アリス.フェリシアさんはどなたでしょうか?」
「私は秘書官のミネバと申します。アリス様に何かご用ですか?」
私が応える前にミネバが前に出て対応すると、少し眉間にシワを寄せてから返事をする。
「はい、首席合格者でアリスさんに、新入生代表の言葉を頂きたいと、事前に報告させてもらいましたが、学園側の手違いがあり、新入生総代が宣言をすることになりました。アリスさんが新入生代表として登壇することありません」
いきなり現れた男性は、首席合格者が新入生代表を務めて登壇して宣言を行っていたけど、宣言は新入生総代が務めると言ってきた。私としては面倒事がなくなって良かったと思ったんだけど、ミネバは男に対して怒り気味に抗議した。
「入学式の当日になって務めがなくなったなんて、余りにも失礼ではありませんか?」
「はっ? 平民風情が何を言ってるのですか? ここは世界最高峰の学び舎であるグリエル英傑学園なのです。その学園の入学式というめでたい日に、平民が新入生代表として登壇するなんてありえないでしょう」
私が平民ということで、完全に見下すように突っぱねてくると、フランシスコはグリエル英傑学園の創設者が残した言葉を例に上げて問いただした。
「全てにおいて平等であれ。学園を創設した勇者様のお言葉は無いと言うことなのですな?」
「はぁ~、そんなものは表向きな話ですよ。実際は高貴なる存在である我々貴族が、愚民ども導いてやってるのですよ。平民が我々に口出ししないでいただきたい。そういうことですから失礼します」
これ以上の会話は無用といった感じで、男は振り返ることなく講堂へと去って行った。まぁ、私にはどうでも良いことなんだけどね。ただ、私以外の全員が怒っているようなので、冷静になるようになだめる。
「まぁまぁ、新入生代表なんて面倒なことはさ、高貴なる貴族様たちに任せちゃえば良いんじゃない。さぁ、早く講堂へ行くよ」
「「かしこまりました……」」
みんな悔しそうな感じだ。新入生代表の晴れ姿を楽しみにしていたから、私としては面倒なイベントを回避できて嬉しいんだけどね。
私たちが講堂へ着くと、新入生席と保護者席に分かれる。私達がSクラスの席へ向うと、既に6人が席に着いていた。この人達が私のクラスメイトになるのかと思い目を送ると、1人だけこちらを睨んでいた。
(あっ、これはスルーするのがいいヤツだ)
なんか面倒臭そうなので、視線を合わせず完全にスルーして席に着いたの。