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第37話 Sクラスの十傑②

 デッカードも私の方へ顔を向けてから、首席の座を手にするとか言ってきた。このクラスの男子たちは、どうして自己紹介の最後に私の方を見るんだろう? そんなことをするからゼシカが反応しちゃうんだよね。


「クソ雑魚の分際で、アリス様のことを呼び捨てにするとは、痛みを持って判らすしかありませんね」

「おい、ゼシカ! 頼むからいちいち反応するな。それからデッカード、爆炎魔法なんて存在しないからな? お前が使ってるのは火魔法のことだからな。次は九席リオネル.グリエル!」


「我は世界最強であるグリエル王国の第一王子だ。お前たちとは生まれた時点で格が違う。男共は我の配下となり、女共は我の子を産めば良いのだ。そして世界の王となるリオネル王に仕えよ!」


 バカな癖に、どうしてあそこまで自信が漲っているんだろう? ゼシカもアレには絡むことはなかったのは、相手にするまでもないと思ったんだね。


「はい、あの馬鹿は放っておくからな。次は十席のマリアンヌ、アントワーヌ!」


「はい、グリエル王国アントワーヌ伯爵家の長女マリアンヌ.アントワーヌですわ。武術は扇を嗜み、魔術は火水の2属性を扱えます。そしてクリムゾン英傑学園卒業後は、王宮魔導師団に入ることが目標なのでよしなに」


 金髪縦ロールに青い瞳をした、絵に描いたようなお嬢様のマリアンヌも、私には絡んでこなかった。


「マリンアンヌまでが今年の十傑となる。見て判ると思うが、十傑は白の制服を着用し、授業への参加も個人に任されるという特権がある。落ちれば剥奪されるからそのつもりでな」

「「はい」」

「では、自己紹介を続けるぞ……」


 そのあともSクラスに在籍する20人全員の自己紹介が終わると、ブルース先生がこのあとの授業について説明を始める。十傑の私は特権があるから参加自由なんだけどね。


「よし、全員の自己紹介も終わったな。我々Sクラスは他のクラスとは違い、事細かなカリキュラムは存在しない。俺の裁量で授業を行うからな。午前の授業はここまでで、午後の授業は武術で俺と模擬戦をしてもらうぞ! 授業に参加する者は着替えを済ませて、第5闘技場へ集合するように。以上」

「「はい、ありがとうございました」」


 自己紹介も終わって、午後からはいよいよ本格的な授業が始まる。私たちは魔物との戦闘ばかりをしてきたので、対人戦闘を本格的に習うことを楽しみにしてたんだよね。午後の授業に向けて昼食を取りにいこうとすると、アルフォンスが声をかけてきた。


「アリスは午後の授業に出るのかな?」

「出るよ。入学したのに授業に出ないのは勿体ないからね!」

「そうだよね。僕も参加するつもりなんだよ。お昼はどうするの? 良かったら一緒に食堂へ行かない?」

「おい小僧! アリス様は中庭で我々と食事を取られます。食堂へはお一人でどうぞ!」

「そ、そうか……、では午後の授業で」

「うん、またあとでね」


 アルフォンスから食事へ誘われたけど、ゼシカが断った通り食事を持参してるので、4人で中庭に向かって食事を楽しんでから、午後の授業が行われる第5闘技場へと向かったのだった。


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