リオネル襲来の騒ぎも一段落して、ようやく帰宅の途につくことがで、正門で馬車に乗り込んで屋敷を目指したの。
「あの馬鹿王子は、今後もアリス様に絡んで来ると思われるので、要注意人物として警戒することにします」
「姉様、警戒するのは面倒だから、さっさと消しちゃおうよ」
ゼシカがもの凄く不機嫌な表情になりながら、リオネルのことを警戒すると言うと、リューネが過激なことを言い出すので放ってはおけない。馬鹿とはいえ一国の王子だから消したら大問題になるし、国と揉めるような面倒ごとは御免被りたいからね。
「ダメダメ! 消しちゃダメだからね? あまりにウザかったら〚拒絶〛で絡まないようにするから!」
「かしこまりました」
リューネはかなり不満そうな表情だったけど、従者たちは私の決めたことには従ってくれるはずなので、リオネルを消すようなことはしないと思う。ただ、模擬戦などで対戦する時に、うっかり殺しちゃったりしないか、かなり不安になっている。
屋敷に戻ると、ルミナスの森からフランシスコがやって来ていて、初めての授業の感想を聞いてきた。
「アリス様、初めての授業はどうでしたか? 馬鹿な輩に絡まれたりはしませんでしたか?」
「授業は楽しかったよ。馬鹿と言って良いのか判らないけど、グリエル王国の第一王子がウザかったよ」
「あの馬鹿ですか……、模擬戦でうっかり殺せばよろしいのでは?」
「「なら、私が!」」
「ダメだからね! あんなのでも殺しちゃったらさ、国と絶対に揉めちゃうからね?」
フランシスコの言葉を聞いた3人は、殺る気まんまんで返事をするもんだから、慌てて3人を止めた。私が絡むと従者たちが過剰に反応すぎて困っちゃうよ……。
§従者たちの語らい§
アリスが就寝したあと、サロンに従者たちが集まると、ゼシカがグリエル英傑学園であったことを話し始めた。
「クラスの男どもがアリス様に好意を持っているのは、あの『ギラギラ』とした目を見れば一目瞭然。私としては、全員を処分してやりたいと思いました」
「死なない程度に痛めつけるのであれば、アリス様もダメとは言われないのでは?」
ミネバが殺さなければ問題ないと発言すると、その場にいた全員が目を見開いた。
「!?」
「とりあえず、クラスメイトに手を出すと気付かれる可能性があるので、他のクラスの生徒たちがなにかしてきた時は、後悔する程の苦痛を与えてやります」
ゼシカは主の目の届かない所で、無礼を働いた生徒を粛清すると伝えると、フランシスコは頷きながら応える。
「学園のことはゼシカに任せるよ。私は引き続きルミナスの森の全ての住民が、アリス様を信仰するように布教を続けさせてもらうよ」
「「全てはアリス様の為に!」」
そして翌日からは、アリスの知らないところで3人の従者たちが暗躍することで、Sクラス以外の男子生徒が原因不明の大怪我を負うという怪事件が、続発することになったのだった。