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第48話 先生は世界最強の魔導師

 本日は魔術の授業が行われる。魔術の教師は元宮廷魔導師団団長の肩書を持つ方で、世界最強の魔導師と言われる超大物らしい。


 そんな最強の魔導師も、戦場の最前線で戦い続けるうちに、心身ともに疲れきったらしく、将来有望な生徒がいるこのグリエル英傑学園で、自分の後継者となる人材を育成しようと思ったらしい。これって凄く運が良いことだと思った。


 早々に教室に着いて待機してると、リオネルがこちらを睨んでいた。あの視線がなんとかならないかと考えてると、突然『ボン』という音が教室に鳴り響いた。音が聞こえた教壇に目を向けると、女性が現れていて全員が驚いたけど、私は現れた理由を分析していた。


(魔力の波動を感じなかったから、今のは転移魔法陣を教壇に仕込んでたんだね)


「はい、お待たせしたわね。私があなたたちに魔術を教えることになった【ウィンディ.ユルティム】だよ。魔術の授業なんだけど、最初の1年間は魔力操作と魔力制御を中心にみっちりと鍛えるから、そのつもりで頑張るんだよ」

「「はい」」


 私は世界最強の魔導師と言うから、初老のお爺ちゃんをイメージしていたのに、目の前の先生は見た目は20代後半くらいで、金髪にサラサラのロングヘアーをしていて『ボン・キュッ・ボン』のグラマーなお姉さんだった。見た目からは『イケイケ』な授業方針かと思っていたのに、魔術の真髄を心得ているた素晴らしい先生だと思った。


 ウィンディ先生が1年間の授業方針を伝え終わると、マリアンヌが急に席を立ち上がった。


「先生、私たちはSクラスの生徒なんです。他のクラスのことは判りませんが、私たちは魔術の基礎は十分にできています。なので実戦的な魔術を教えていただきたいです」


 マリアンヌが自信満々の表情で発言すると、周りの生徒たちも『ウンウン』と頷いていた。その様子を見たウィンディ先生は驚いていて、私はその気持ちがよく判った。だって、魔力操作と魔力制御の訓練に終わりはなくて、どこまで洗練することができるからね。


「えっ……、あなたたちは魔力操作を十分に出来るというの? へぇ〜、グリエル英傑学園は凄い子ばかりなんだね。授業を始める前にみんなの魔力測定をしてから、演習場で授業をするからさ、その時に魔力操作の実力を見せてもらうね」

「はぁ……、判りましたわ」


 マリアンヌは呆れたような表情で返事をすると、ウィンディ先生はポーチから魔力測定機を取り出すと、Sクラス全員の魔力測定を始めるのだった。


「では、この魔力測定装置を使って、序列の下位から順番に測定していくよ。魔力が3,000Pを超えると宮廷魔術師クラス、6,000Pを超えると宮廷魔導師クラスだからね。ちなみに私の魔力は147,000Pだよ」

「10万Pを遥かに超えてる? 流石は世界最強の魔導師ウィンディ.ユルティムだ」


 マルクセスが『ボソッ』と呟いたのが聞こえた。ウィンディ先生ってそんなに凄いのか! 私の魔力って数字化けしていて判らないんだけど、魔力測定装置なら測れるのかな?


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