マルクセスまでの魔力測定が終わった。
次は私と従者たちの順番となり、一番手のリューネが教壇にあがると、魔力測定機に触れる前に私に声をかけてきた。
「アリス様、私は姉妹の中で1番魔術が苦手なので、アイツらよりも魔力が低いかもです」
「誰にでも得手不得手があるからさ、気にしなくても良いんだよ」
『コクッ』
軽く頷いたあと、リューネは魔力測定機に軽く手を当てると、これまでにない輝きを放った。これには他のクラスメイトたちからも『おぉ~!』と驚きの声があがる。これにはウィンディ先生も驚いたようで、魔力測定機に表示された数値を伝えた。
「あなた本当に魔法が苦手なのよね? 魔力81,500Pって学生の域を遥かに超えてるわ」
「うん、苦手、姉様たちはもっと凄いはず」
「そ、そうなの? 現状でも世界に名を轟かす英雄の資格を持ってるわよ」
ウィンディ先生に英雄の資格があると言われたけど、リューネは全く反応しなかった。英雄に憧れているデッカードなんて、リューネに対して嫉妬の炎を『メラメラ』と燃やしまくっているのが不憫に思えた。
「私はそんなモノに興味はない。アリス様の傍にいることが私の望みだから」
「リューネ、よく言いました。あなたの姉として誇らしく思うわ」
ゼシカは嬉しそうな表情で、席に戻るリューネの頭を撫でてから教壇へと向った。そして席に着いたリューネは『ニコッ』と笑みを浮かべながら私に話しかける。
「姉様に褒められました!」
「傍にいたいと言ってくれて、私も嬉しいよ。リューネありがとう!」
「はい」
私がリューネに声をかけていると、ゼシカが教壇に立って魔力測定機に触れようとするが、その前に『ボソッ』と呟いた。
「魔力量はアナには勝てないかな?」
『パァッーー!』
ゼシカが魔力測定機に触れると、目が眩むような輝きを放った。これはすごい数値が出ると期待してるんだけど、ウィンディ先生はなかなか魔力の数値を教えてくれない、不思議に思ってると理由が判った。
「目、目がぁ〜!」
うん、魔力測定機の光で目が『チカチカ』してしまい、数値を確認することができなかったみたい……。その様子を見たゼシカは、ため息をつきながら自分で魔力の数値を確認して伝えたのだった。
「はぁ~、私の魔力は216,000Pのようです」
「「!?」」
あまりにも大きな数値に、教室に居る誰もが言葉を失っていた。それは目が『チカチカ』状態から回復して、すぐに魔力測定機を確認したウィンディ先生の表情にも出ていた。
「本当に……、216,000Pだ。あの魔導の寵児と言われたゴルディ兄様に匹敵するなんて……」
「私はハーフエルフなので、そのへんの者よりは少しは魔力が高いのだと思います。次のアナは私を超えてるはずですよ」
涼しい顔をしたゼシカが教壇を降りていくと、アナは席を立って教壇へと向う途中、ゼシカと交差する時に声をかけあう。
「アナ、あなたの魔力で驚かせてあげなさい」
「はい、行ってきます」
そして、教壇にあがって魔力測定機に触れる前に、ウィンディ先生に顔を向けて声をかける。
「私が触れる時は目を閉じるように」
「わ、判ってるわ」
アナは『クスッ』と笑みを浮かべてから魔力測定機に手を伸ばして触れると、ゼシカの時/hと同じように激しい光を放った。
「もう大丈夫ですよ」
「ありがとう。えっと、魔力は318,000Pって嘘でしょ?」
ゼシカの数値で驚いていたのだから、それ以上の数値を見れば嘘だと思いたくなるよね。アナはそんなウィンディ先生を呆れ顔で声をかけた。
「この程度の数値で驚いて、アリス様の数値を見たら死にますよ?」
「じょ、冗談でしょ?」
アナの言葉を聞いたウィンディ先生は『ゴクリ』と生唾を飲む。他のクラスメイトたちはというと、さっきから口が開きっ放しだった。