アナの魔力測定が終わって、席に戻ってくるタイミングで私は立ち上がる。
「さぁ、主として良いところ見せないとね」
「「はい! アリス様のお力を奴らに見せつけてやりましょう!」」
私が3人の従者たちに声をかけると、声を揃えて返事してきた。私なら結構な魔力が出ると思うけど、みんなは3人の測定結果でお腹いっぱいになってるんじゃ? なんて思っていた。
「3人の魔力を見てるからさ、もう驚くことはないと思うんだけどね」
「「ご冗談!」」
「じゃあ、行ってくるよ」
私はゆっくりと教壇へ進むと、教室中からもの凄い視線を感じた。1人の視線を除けば取るに足らないモノだけど、リオネルの『ギラギラ』した視線だけは、なんとかして欲しいものだと思った。
みんなが注目をするなか、私が魔力測定機に近付くだけで輝きを放ち出す。既に魔力測定機が反応し始めているみたいだけど、そんなことを気にせず手を添えた瞬間。
『パキンッ!』
魔力測定機に付いてる水晶が砕け散ったのだった。3人の従者たちが魔力測定をしたために、水晶に傷でも付いていたのかな? かなり高価な物を壊しちゃったので謝ろうとすると、青褪めた表情のウィンディ先生が口を開いた。
「えっと……、アリスちゃんの魔力が測定機の限界を超えちゃってたみたいね。測定不能だから999,999Pってことにしておくね……」
「なんか、壊しちゃってごめんなさい」
「い、良いのよ……。さぁ……、魔力測定は済んだことだし、演習場でみんなの魔力操作を見せてもらうわよ」
「「はい」」
教室から演習場へ移動すると、ウィンディ先生はマリアンヌの言葉を信じて、簡単な説明を省いて魔力操作の授業を始めだした。
「みんなの魔力操作を見せてもらうね。こんな感じに得意な物を具現化して、自由に動かしてくれるかな」
そう言うとウィンディ先生は、魔力の硬貨を20枚具現化すると、規則正しい速度で8の字に動かした。
「えっ……、球体じゃなくて硬貨を具現化? しかもあんな数を複雑に動かしている」
マリアンヌは、ウィンディ先生の魔力操作を見て驚いたようだ。他の生徒たちも同様に驚いてるみたいで、ウィンディ先生はその様子を見て不思議そうな表情で話しかける。
「どうしたの? 魔力の具現化なんて基礎中の基礎なんだから、みんなできるんだよね?」
「すみません。私では硬貨の具現化もそのような複雑な動きはできません……」
「えっ、そうなの? 他のみんなも同じなのかな?」
「「はい……」」
他のクラスメイトたちも、マリアンヌと同じく悔しそうに返事をしているなか、私と従者たちは普段通りの魔力操作を、ウィンディ先生に確認をしてもらうことにした。
「えっと、こんな感じでも良いですか?」
私は魔力で短剣50本を具現化して『クルクル』と回転させながら8の字の動かすと、従者たちは先生と同じ硬貨20枚を具現化して8の字に動かした。
「えっと……、アリスちゃんは凄すぎるね。私にもそんな芸当は真似できないよ。4人は完全に魔力操作ができてるから、今日の授業は自習で良いよ」
「「はい」」
そんなわけで私たちは離れた場所で自習をすることになり、他のクラスメイトたちはお昼休憩を挟んで夕方まで、ウィンディ先生からの厳しい指導を受けて、魔力操作の基礎を叩き込まれていたの。
まぁ、魔力操作なんてコツさえ掴めば、あとは遊び感覚でできちゃうから、諦めずに頑張って欲しいね。
こうして2日目の授業が終わり、私たちは帰宅の途に着いたのだった。